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2023年7月26日 (水)

逆カスハラか?

 逆カスハラと言うべき珍しい事件があった.(「カスハラ」の語義は後述)
 これを報じた神戸新聞NEXT《レシートいらない→渡す→投げ返され、さらに… コンビニ店員が客と口論の末、暴行 尼崎》[掲載日 2023年7月26日 14:26] から下に引用する.
 
口論の末、コンビニ店内で客を殴るなどしたとして、兵庫県警尼崎北署は25日、暴行の疑いで、同県尼崎市のコンビニ店員の男(22)を現行犯逮捕した。
 逮捕容疑は同日午後8時ごろ、尼崎市武庫之荘2のコンビニ店で、客の男性(73)=尼崎市=を押し倒して顔を殴るなどの暴行を加えた疑い。調べに容疑を認めている。
 同署によると、男がレジ打ちをしていた際、男性が缶ビールを購入。男性は「レシートはいらない」と言ったが男がレシートを手渡し、男性が投げ返したことで口論となったという。
 男性の缶ビールを男が倒したことなどで口論はヒートアップ。バックヤードでも言い合いとなり、男が暴行を加えたという。
 
 Wikipedia【カスタマーハラスメント】によれば,カスタマーハラスメントとは《暴行・脅迫・暴言・不当な要求といった、顧客による著しい迷惑行為のことである。略してカスハラともいう》である.
 すなわち逆カスハラとは「暴行・脅迫・暴言・不当な要求といった、店員による著しい迷惑行為のこと」である.w
 冒頭に紹介した神戸新聞の報道を読んだ時,私は一瞬誤解した.
 レシートの要る要らないを巡ってコンビニ店員と客がトラブルになり,「客が店員を押し倒して顔を殴る暴行を加えた」のかと思ったのである.
 しかし事実は逆で,店員が客に暴行したのである.これはとても珍しい.
 
 そもそも,店側がレシートを客に渡すのはデフォの義務ではない.
 というのは,民法486条の定めで《弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる》となっているからで,すなわち消費者がレシートの発行を要求した時は発行しなければならないが,要求していない場合は発行する必要はない.
 少し前までのスーパーのレジのように,レジのシステム上,紙のレシートが自動的に発行されてしまうこともあるが,キャッシュレス決済の普及に伴い決済履歴を紙のレシートで確認する人が減った.そのため最近のセルフまたはセミセルフレジでは端末画面上の「レシート発行」ボタンを押さないと,紙のレシート発行が省略されるようになっている.
 
 これに対して,コンビニや小規模の飲食店では,レジ担当の店員が客に「レシート要りますか?」と訊くことが多い.
 客が「要らない」と言えばレシートを発行しないし,「要る」と答えればレシートを発行するわけだ.
 この際に,自動的に紙レシートが発行されてしまうタイプのレジ機の店では,客が「要らない」と断ったら店員はその紙レシートを手元のゴミ箱に捨てればいい.
 紙レシートの要不要を客に訊ねずにレシートをくれる店員もいるが,そのレシートを手渡された客は,不要ならばカウンターの上に置かれている「不要レシート入れ」と書かれた箱に入れればよい.
 こういうふうに世の中のレジ界隈は何の問題もなく日々が過ぎて行く.
 
 ではなぜ事件があった兵庫県尼崎市の当該コンビニで,客が《レシートはいらない》と言ったのにもかかわらず店員が無理矢理に《レシートを手渡し》,さらに客の男性が怒ってレシートを《投げ返したことで口論となった》のか.
 上に述べたように普通は,客が《レシートはいらない》と言ったら,店員はそのレシートを捨てるだけのことなのである.
 しかるになぜ店員は逆上したか.
 この事件の謎を解くポイントは,客が七十三歳だという点にある.
 至極ありそうな話をすれば,私と同い年のこの老人客は当該コンビニの常連であるが,嫌われ者の迷惑客なのである.
 店員がレシートを出さずに「ありがとうございましたー」というと「お前は言われないとレシートを出さんのか!」と激怒するのだ.
 それではというわけで,言われなくてもレシートを発行して手渡すと「ワシがいつレシートをくれと言ったか?ああ?」と絡んでくる.
 困った店員が「レシートは要りますか?」と訊くと,「要るか要らないか,状況をみて判断しろ!仕事のできない若造はいつもこうだ!指示待ち人間か,お前は!」と怒鳴る.
 ああ言えばこう言う,こう言えば上祐 (死語) だ.(中居正広の番組でオウム真理教サリン事件特集をやっていたのを観て,上祐を思いだした)
 世の中に置いていかれた老人にとって,若者にネチネチ絡むのは,彼らなりの悲しいコミュニケーションなのである.
 私もそうなのでよくわかる.ヾ(--;)ダメゼッタイ
 
 というわけで,毎日毎日カスハラ爺に絡まれていた若い店員の心中で,怒りが臨界点の寸前であったと想像される.
 そこに現れたカスハラ爺はこの日,缶ビール一本を買ってレジに行った.
 レシートを出さないと「黙っててもレシートを出せ!」と怒鳴られるから,缶ビール一本を計上したレシート打ち出して爺に渡した.
 すると爺は激怒して,「缶ビール一本だけだからレシートなんか要らない.レシートってのは,ビールとおつまみとかを合計する計算書だということを知らんのか.馬鹿かお前は」と言って,レシートを店員の顔に投げつけた.
 これで店員の頭の中でプチっと何かが切れた.
 警察に通報されてクビになっても構うものか.
 そう思って爺を押し倒して顔にパンチを叩き込み,鉄拳制裁 天誅 暴行を加えたのであろう.
 
 コンビニ店員が客を殴るのは尋常ではない.殴ったからには,そこに何らかの背景事情があるはずだ.
 話が長いが要するに,新聞というものは,テキストの事実報道だけではいけない.そんなことではネットどころかテレビにも勝てない.
 上に書いた私の推察のように,事件の背景にあるものを調査し,カスハラ爺と社会との関りとかなんとかに斬り込むことが新聞記事には必要なのである.新聞読者は,新聞に調査報道を期待しているのだ.
 
「犬が人を噛んでもニュースにならないが,人が犬を噛んだらニュースになる」は,恣意的なプロパガンダで有名な,英国の「新聞王」と言われた初代ノースクリフ子爵アルフレッド・チャールズ・ウィリアム・ハームズワース (1865年7月15日 - 1922年8月14日) の言葉だ.
 神戸新聞の記者はアルフレッド・ハームズワースの言葉に忠実に「客が店員を殴ってもニュースにならないが,店員が客を殴るとニュースになる」と思って記事にしたのかも知れないが,それは百年前の古びたジャーナリズムである.
 
[余談]
「犬が人を噛んでもニュースにならないが,人が犬を噛んだらニュースになる」で検索をかけたら,早稲田大学の学生と思われる大野史顕という人物が書いた拙い文章がヒットした.題は《人生の大きさ》で,たぶん卒論の中間発表の原稿である.
 その中に次の箇所があるので下に紹介する. 
20230727a2
 上の引用文中に赤い下線を引いたのは私だが,大丈夫か,大野史顕君.卒論で人名を間違ったら致命的だ.
 既述の初代ノースクリフ子爵アルフレッド・チャールズ・ウィリアム・ハームズワースは,Alfred Charles William Harmsworth, 1st Viscount Northcliffe である.通称は,和文ではアルフレッド・ハームズワースでよい.英文なら Alfred C. W. Harmsworth と書く.
 大野史顕君がかなりのおバカであることは,アルフレッド・ハームズワースの名前を“Alfred North Cliffe”と書いていることでわかる.
 “North Cliffe”ではなくて“Northcliffe”が正しい.しかも“Northcliffe”は人名ではなく英ケント州サネットにある彼の領地の名称だ.貴族は領地名を付けて呼ぶからである.またおそらく“Northcliffe”は,サネットの北側が海に面した崖であることに因むのだろう.
 ここで問題は,早稲田大学の卒論指導の先生たちが大野史顕君のウソ発表原稿を受理した上に,中間発表会で質疑応答までしていることだ.
 まともな先生なら書き直しを命じるところだ.大丈夫か,早稲田大学.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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