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2023年7月30日 (日)

対語 /工事中

 テレビを観ていると,出演者の中に「他人事」のことを「たにんごと」と言う人がいる.
 NHKの朝のドラマに出ている俳優の大東駿介は,《あさイチ》(7/31) に出て明瞭に「たにんごと」と言っていた.
 さすがにNHKも民放も現役のアナウンサーたちは「ひとごと」と言うが,神田愛花さんが「ワイドナショー」に出た時に「たにんご」と言いかけて慌てて「ひとごと」と訂正したのを聞いたことがある.
 和語の「ひとごと」を「他人事」と書くのは一種の当て字 (下記の註を参照のこと) なのであるが,「他人事」と書いて「ひとごと」と読むのは古くからの習慣なので,若い神田さんが,つい字面そのまま「たにんごと」と言ってしまっても仕方ないだろう.私は女性には寛容なのである.
 あの有働由美子さんだってデビューした頃はほんとに酷くて,地名は読めない人名は間違う四文字熟語は知らないという三重苦だったのだ.
 だから神田愛花さんにも期待しよう.
 
(註) Wikipedia【当て字】から引用.
当て字は、「(当座の)字を当てる」という日本語の表現に由来した概念であり、通例は漢字の転用についていう。具体的には、
・漢字の字義を無視し、読み方のみを考慮して漢字を当てる場合。狭義にはこれのみを指す。借字ともいう。仮借を参照。
・漢字の読み方を無視し、字義のみを考慮して漢字を当てる場合。広義にはこれを含む解釈もある。なお六書の「転注」がこれを指すとする学説がある。日本語の熟字訓も含まれる。
の両者をいう。
 
「ひとごと」を「他人事」と書くのは《漢字の読み方を無視し、字義のみを考慮して漢字を当て》た,広義の当て字なのである.
 当て字は好ましいことではないとする立場からすると,「ひとごと」はそのまま「ひとごと」あるいは「ひと事」と書くのがよい.こう書けば誰も誤読しないからである.NHKはその立場であり,放送画面やウェブのニュースでは「ひと事」と表示している.民放もそれに倣っている.
 
 江戸時代の文献資料のことは私は門外漢なのでそれはさておき,明治大正昭和の作家たちは,古くからある和語の「ひとごと」を「他人事」と書いている.
 和語なんだから仮名書きにすりゃいいと私は思うが,文士作家のつまらぬ虚栄心からか,彼らは漢字で書きたがったのだ.
 その一例で,遠藤周作は随筆中で「閑話休題」と書いてこれに「さて」とルビを振っているが,つまらぬことをするものだ.「さて」と書けばいいのである.
 で,「ひとごと」を皆が「他人事」と書いているうちに,これを「たにんごと」と読む人が発生した.
「他人事」を素直に読めば「たにんごと」であるから,当然ながらこの読みがどんどん普及し,現在では「たにんごと」という読みが優勢になっている.(NHKの調査による;NHK放送技術研究所《「ひとごと (人事)」と「たにんごと (他人事)」
 新しく「たにんごと」という言葉が発生したわけだ.すると,

)
 

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