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2023年6月23日 (金)

生活保護申請の拒否

 東京新聞《困窮外国人の生活保護を拒否 愛知・安城「ホームレス状態だ」》[掲載日 2023年6月21日 21:44] から下に引用する.
 
愛知県安城市の生活保護担当職員が昨年11月、困窮し窓口を訪れた日系ブラジル人女性(42)に対し、実際には県営住宅の居住実態があるにもかかわらずホームレス状態だとして「生活保護では助けられない」と誤った説明をし、申請拒否していたことが21日分かった。共同通信が音声データを入手した。
……
 女性は定住者の在留資格がある。コロナ禍で職を失い、乳児を抱えて生活苦となり県営住宅の家賃を滞納していた。
 対応した市職員2人は昨年11月22日、女性の家賃滞納を問題視し「ルール違反して不法占拠して住んでるから屋根があるだけでしょ。何でその実態をホームレスじゃないって言えます?」と詰問した。
 政府通知でホームレス状態でも申請は可能となっている。
 
「ホームレス状態では生活保護を受けられない」というのは,自治体の生活保護担当部署が,生活保護申請を拒否する (これは違法行為) ときの常套句である.
 たまたま生活保護申請者が,困窮者支援の活動をしている人の支援を受けていた場合に問題化して新聞記事になるが,明るみに出ない生活保護申請拒否は,昔から連綿と行われている.
 私が若い頃に問題化した記事で覚えているのは,「電話を所有していると生活保護は受けられない」「テレビや冷蔵庫は贅沢品なので,持っていると生活保護を受けられない」等々,あの手この手の嘘を吐きまくって生活保護担当部署は生活保護申請を拒否してきた.
 現在は「ホームレス状態では生活保護を受けられない」というのが流行りのようだ.
 例えば一昨年も同じ違法行為が発覚した.週刊女性PRIME《生活保護申請を退ける役所窓口「非情な言い分」 「録音テープ」で判明した横浜市神奈川区の対応》[掲載日 2021年3月21日 16:00] から引用する.
 
注目したいのは、ここで相談係はまるで施設入所が生活保護の前提であるかのような説明をしていますが、これは虚偽の説明にあたります。施設入所の強制は生活保護法30条違反にあたります。本人が嫌がる場合は別の選択肢を考える責任が福祉事務所側にはあります。
 
 詳しくは週刊女性PRIMEの記事に書かれているが,要するに「ホームレス状態では生活保護を受けられない」との違法な理屈で,全国の自治体が足並み揃えて,生活保護申請を拒否しているのが実態だと言われている.
 つまり横浜市神奈川区による生活保護申請拒否事件を,安城市の職員は重々承知の上で,しかし「バレなければいい」として生活保護申請拒否したのである.
 東京新聞の記事に《政府通知でホームレス状態でも申請は可能となっている》と書かれているように,確かに以下の政府通知が存在する.
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ホームレスに対する生活保護の適用について
平成15年7月31日
社援保発第0731001号
(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局保護課長通知)
 
 本日、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成14年法律第105号。以下「法」という。)第8条の規定に基づき、別添のとおり、厚生労働省・国土交通省告示第1号をもって「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)が定められた。
 基本方針では、ホームレスに対する生活保護法による保護の実施に関する事項についても定められているところであるが、今般、下記のとおり、ホームレスに対する生活保護の適用に関する具体的な取扱いを定めたので、了知の上、生活保護の適正な実施に遺漏なきを期されたい。
 なお、本通知の1については、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定による処理基準である。
 また、「ホームレスに対する生活保護の適用について」(平成14年8月7日社援保発第0807001号本職通知)は廃止する。
 

1 ホームレスに対する生活保護の適用に関する基本的な考え方
 生活保護は、資産、能力等を活用しても、最低限度の生活を維持できない者、すなわち、真に生活に困窮する者に対して最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度であり、ホームレスに対する生活保護の適用に当たっては、居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものでないことに留意し、生活保護を適正に実施する。
(以下省略)
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 この厚生労働省課長通知を,自治体の生活保護担当者が知らないわけがないのである.
 しかるになぜ横浜市や安城市の職員は違法な生活保護申請拒否を行ったのか.
 実は昭和五十六年に,生活保護の適用を厳格化する厚生省社会局保護課長・監査指導課長通知 社保第123号「生活保護の適正実施の推進について」という通知が発出されており,これが生活保護申請者にとって高いハードルになっている.
 また《生活保護法(旧法)が戦後立案されるにあたり、全額を国庫負担とすると地方自治体が選挙対策などとして無責任に支給を増やし濫給するのではないかとの厚生省判断によって歴史的に地方自治体負担があり、保護率が上昇するとその分だけ自治体負担が重くなる仕組みとなっている》(Wikipedia【生活保護問題】) ことも,自治体が生活保護申請を拒否する要因である.
 社援保発第0731001号《ホームレスに対する生活保護の適用に当たっては、居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものでないことに留意し、生活保護を適正に実施する》は政府厚労省のタテマエであり,生活保護費の自治体負担はホンネであるといえる.生活保護費の自治体負担がある限り,自治体は生活保護申請を拒否し続けるだろう.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)

 

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