現代日本の住宅問題を高齢社会との関係で論じない評論家
大原みはるという文筆家を紹介する.自称の肩書は「行政評論家」で,夫が詐欺師の自称「国際政治学者」と同じく怪しげなデマゴーグの雰囲気を漂わせている.
大原の評論記事をよく載せている現代ビジネス誌にあるプロフィールを下に引用する.
《1974年生まれ。兵庫県出身。大学卒業後、学習塾や資格試験スクールの講師、役所の外郭団体、個人向けコンサルティング営業などを経て、地域政策をメインテーマとする行政評論家として活動。2004年に宅地建物取引主任者(当時)登録。ウェブサイト『絶対賃貸派』主宰。著書に『公務員試験のカラクリ』『住みたいまちランキングの罠』(ともに光文社新書)など。》(引用文中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
大原の個人サイト《絶対賃貸派》が,立ち位置をあからさまに示している.また大原みはるが現代ビジネス誌に掲載した最近の記事のタイトルは以下の通り.
* 「家賃を払うのは損」「持ち家はいい資産になる」…“マイホーム推進派”の主張を論破する
* 「賃貸より持ち家」の人が犯している「致命的な勘違い」…簡単に“損得”を判断できない理由
* 分譲マンション「管理組合」の理事長、実は知られざる「凄まじい役得」があった…!
もう,意図がわかり易すぎて鼻白んでしまう.
大原の記事のどれもこれも,賃貸住宅と持ち家の比較を,金銭の損得勘定のみで論じている.しかしそのような議論は,現在は七十歳を過ぎた高齢者が現役勤労世代であった頃の話である.
いわゆる団塊世代が高齢者になった現在,現役勤労世代も,住宅問題を損得だけで考えるわけには行かなくなった.高齢者の住宅問題は,年金問題や介護保険問題,さらに誰が高齢者を介護するのかという問題を通じて,現役世代にも影響するからである.
では高齢者の住宅問題とは何か.それは一つには,持ち家派の高齢者たちから生じる大量の空き家問題である.
また賃貸住宅派の独居老人たちにとっては,住宅問題はどこで息を引き取るかということである.寝たきりになっても賃貸に住み続けることができて,その住宅をあとは野となれの事故物件にしてお陀仏できればラッキーだが,運悪くマンションの老朽化などで退去せざるを得なくなった場合が困る.新規に高齢者を受け入れてくれる一般賃貸住宅は少ないからである.
その場合は介護付き高齢者住宅があるが,それに転居できるくらいの資産を蓄えていなかった場合は悲惨だ.初期費用が必要であるし,入居したあとも,厚生年金だけで住める高齢者施設は少ないのである.
かように今は「賃貸か持ち家か」という議論は単純な損得勘定ではなく,いわゆる終活の話,つまり売れない空き家をどうするか,あるいは介護問題なのである.
大原某はまだ若いが,それでも日本の現状から遠く離れた「評論」をしていいことにはならない.
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ウクライナに自由と光あれ
(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)
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