お笑い系弁護士橋下徹は「損害をドーンと賠償」とかるーく述べた
スポニチアネックス《橋下徹氏 迷惑行為抑止に「懲罰的賠償」導入を提案「ドーンと賠償することで歯止めにするのは一つの方法」》[掲載日 2023年2月13日 19:34] から下に引用する.
《元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(53)が13日、フジテレビ系「Live News イット!」(月~金曜後3・45)にコメンテーターとして生出演し、飲食店などで客が迷惑行為を行う動画が拡散した問題についてコメントした。》
《英国や米国では、不法行為の加害者に大きな制裁を加えることで、将来の抑止効果を期待する懲罰的損害賠償が制度化されている。橋下氏は「日本の場合は懲罰的賠償はないので、損害というのが生じた損害だけなんですよ。損害賠償が。ものすごい額が低い」と、日本の現状を説明。「額が低いから、迷惑動画を上げて、損害賠償を払うことより、広告が付いた方が得になるとか、そういう判断になってくる」と問題点を指摘し、「おすしの部分だけの賠償とか、お掃除費用だけじゃなくて、企業が被った損害をドーンと賠償することで、歯止めにするのは一つの方法だと思います」と自身の見解を示した。》
橋下が言う「懲罰的賠償」を唱える法学研究者が日本国内にもいるが,日本では導入されることはない.
なぜなら「懲罰的損害賠償は認めない」とする判例 (最高裁が示した判断) が既にあるからである.(事件番号;平成5(オ)1762/裁判年月日;平成9年7月11日/法廷名;最高裁判所第二小法廷/判例集・民集第51巻6号2573頁)
以下に当該判例の一部を引用する.文字を着色強調した部分が,その最高裁判断を示す箇所である.
《我が国の不法行為に基づく損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれを賠償させることにより、被害者が被った不利益を補てんして、不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであり(最高裁昭和六三年(オ)第一七四九号平成五年三月二四日大法廷判決・民集四七巻四号三〇三九頁参照)、加害者に対する制裁や、将来における同様の行為の抑止、すなわち一般予防を目的とするものではない。もっとも、加害者に対して損害賠償義務を課することによって、結果的に加害者に対する制裁ないし一般予防の効果を生ずることがあるとしても、それは被害者が被った不利益を回復するために加害者に対し損害賠償義務を負わせたことの反射的、副次的な効果にすぎず、加害者に対する制裁及び一般予防を本来的な目的とする懲罰的損害賠償の制度とは本質的に異なるというべきである。我が国においては加害者に対して制裁を科し、将来の同様の行為を抑止することは、刑事上又は行政上の制裁にゆだねられているのである。そうしてみると、不法行為の当事者間において、被害者が加害者から、実際に生じた損害の賠償に加えて、制裁及び一般予防を目的とする賠償金の支払を受け得るとすることは、右に見た我が国における不法行為に基づく損害賠償制度の基本原則ないし基本理念と相いれないものであると認められる。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
また上記引用の冒頭にある《我が国の不法行為に基づく損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれを賠償させることにより、被害者が被った不利益を補てんして、不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とする》および《我が国においては加害者に対して制裁を科し、将来の同様の行為を抑止することは、刑事上又は行政上の制裁にゆだねられている》は,一般に「民刑峻別」と呼ばれる法理念で,内閣法制局がこれを堅持していることは,そこら辺の法学部学生でも承知しているし,私のような理系人間でも知っている.
コメント芸人の橋下徹は《企業が被った損害をドーンと賠償する》などとふざけているが,ことはそんな軽い話ではないのである.
もしも迷惑行為を蒙った企業が《損害をドーンと賠償する》ような請求をすれば,裁判は必ず最高裁まで行く.
これは,そういう事実を視聴者に隠して,事件をお笑いレベルの話にしてしまう橋下徹の弁護士としての知的能力に疑問符が付けられる発言である.
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ウクライナに自由と光あれ
(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)
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