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2023年2月17日 (金)

自動包餡機の思い出

 ロケットニュース《有名な「萩の月」をようやく初めて食べてみたら、黙りこくるしかなかった / 恐るべき幸福製造機について》[掲載日 2023年2月17日 10:30] に「萩の月」絶賛記事が載っていた.その記事から下に引用する.
 
全国的に有名な土産である仙台銘菓「萩の月」。筆者はこれを食べたことがない。ずっと気になっているにもかかわらずである。
……
 さておきその包装を開けると、黄金色の饅頭がお出ましした。萩の咲き乱れる宮城野、その空に浮かぶ月をかたどったデザインだという。さんざん興味を抱いておきながら、「萩の月」の由来はこのたび初めて知った。
 筆者の知識不足というより、由来まで知っている人は少ないのではないか。この国の大半の人は脳内で「萩の月」に「あの美味しいやつ」とルビを振っているのではなかろうか。それほどに歴史よりもクオリティ先行型の土産という認識がある。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 仙台銘菓「萩の月」は創作洋菓子の中でも屈指の知名度ではないか.
 Wikipedia【萩の月】に次の記述がある.
 
三菱瓦斯化学との3年以上にわたる共同研究の結果、脱酸素剤の原料の鉄の臭いが食品に移らないよう活性炭が加えられた脱酸素剤「エージレス」が完成。酸素が入らないよう密閉したフィルムで個包装された生菓子「萩の月」は、この「エージレス」を同包することで、保存料なしでも日持ちする土産品「仙台銘菓 萩の月」へと生まれ変わった。1979年(昭和54年)9月から一般発売される際には、フィルム個包装した上にさらに機内菓子からの伝統の小さな箱で個包装して販売された。
 航空便利用客の間で爆発的な人気となった「萩の月」であったが、松任谷由実がラジオ番組内で「萩の月」を絶賛し、「萩の月を凍らせてから半解凍の状態で食べるのが一番好き」と語ったことがきっかけで一般にブレイクしたという逸話もある。また赤塚不二夫の漫画作品にも登場するなど、名称は全国区へ浸透した。
 同社は、各地から来た人が集散する仙台駅・仙台空港・百貨店に店子店舗を展開し、さらに、モータリゼーション進展に合わせて主要幹線道路やインターチェンジ近くにお土産品ロードサイド店舗を展開し、「萩の月」は仙台土産として定着していった。また、お中元・お歳暮の贈答品として宮城県民が用いたことも、「萩の月」が全国に知られた銘菓となった要因と見られる。
「萩の月」の知名度が上がるにつれ、日本各地で模倣品が発売されるようになり、現在は菓子の1つのジャンルになりつつある。模倣品の商品名は、萩の月へのオマージュからか、「月」が名称に含まれる例が多い。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
「萩の月」は知名度が高いが,類似品が多いことでも有名である.全国の類似品を集めたまとめサイトもあるくらいだ.w (《「萩の月」を探せ》[掲載日 2005年12月31日])
 類似品の多さについて,あるブログの記事《萩の月には類似品が沢山ある??その理由はなに??色々と集めてみました!!》[掲載日 2023年2月16日] には下記のことが書かれている.
 
なぜこんなにも類似品が多いのでしょうか。
 それは人気菓子であること以外に実はこんな理由が!!
 それは意匠登録の問題です。
 実は「萩の月」の場合、この意匠登録をしていないのです。
 意匠登録とは次のように定められています。
 
 意匠権とは、新規性と創作性などの一定の登録要件を具備している場合に特許庁が登録することにより発生する独占排他権であって、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合、建築物の形状等又は画像であって視覚を通じて美感を起についての権利をいう。
引用:Wikipedia
 
 なぜ萩の月はこれを行わなかったのか、その真意は定かではありません。
 おそらくと思われるのが、この意匠登録の手続きが少々時間がかかるということ。
 また、特許権を取得した場合一定期間商品の製造法に関して公開しなければならないことがあげられます。
 登録した場合のメリットとデメリットを考えたときデメリットの方が大きいと考えたのではないでしょうか。
 
 上に引用したブログの筆者は《なぜ萩の月はこれを行わなかったのか、その真意は定かではありません。おそらくと思われるのが、この意匠登録の手続きが少々時間がかかるということ。また、特許権を取得した場合一定期間商品の製造法に関して公開しなければならないことがあげられます。登録した場合のメリットとデメリットを考えたときデメリットの方が大きいと考えたのではないでしょうか。》と述べている.
 
 またベリーベスト法律事務所サイトの《萩の月の類似品が多発!SNSを賑わせたジェネリック萩の月問題とは》[掲載日 2021年12月9日] には,若い弁護士が以下のことを述べている.
 
先日、Twitter上でこの「萩の月」と似たお菓子の画像とともに「やばい…ジェネリック萩の月って感じ…」とツイートされたところ、同様に萩の月の類似品の報告ツイートが相次ぎ、1万件近いツイートを集め、話題となりました。
 ほかにも北海道の「マルセイバターサンド」に酷似するお菓子の報告もあり、このようなケースがめずらしくないことがわかりました。既にあるお菓子と類似するお菓子を製造販売することは法的に問題ないのでしょうか。
 知的財産権の問題を数多く扱ってきたベリーベスト法律事務所の弁護士が説明します。
……
 自社のお菓子の模倣を防ぐ方法としては、法律上、上記4つの方法があると考えられます。
 すなわち、お菓子の製造方法について特許登録を受ける方法、お菓子の形状・外観について意匠登録又は立体商標として商標登録を受ける方法、最後に、不正競争防止法により保護される方法です。
「萩の月」について、2017年6月の本稿執筆日現在、特許登録と意匠登録及び立体商標登録についてはいずれもなされておらず、商標登録のみがなされています。そのため、お菓子の製法や外観を模倣していたとしても、直ちに権利を侵害しているとはいえません。
 しかし、意匠法によって保護されるためには意匠登録をしなければなりません。意匠登録には手続きの手間や費用が生じるので、意匠登録がされないままに商品が発売されることも多いのです。
 また、意匠は、特許と同様に登録要件として“新規性”が要求されており「公然知られた意匠」は、登録できません(意匠法3条1項1号)。すでに30年以上前から販売されている萩の月は「公然知られた」といえるため、今から申請しても、意匠での登録は難しいと考えられます。
……
 実は、製造方法の特許権を取得すると一定期間権利を独占できるのと引き換えに、法律上、製造方法を公開しなければなりません。権利期間を過ぎた後は、公開された製造方法をもとに模倣されても特許権侵害を主張できなくなるというデメリットがあります。
 特許権の存続期間は、原則として特許出願の日から20年ですので、仮に萩の月が30年前の発売当初より特許登録されていた場合には、現在は特許の存続期間を過ぎていることになります。
 このようにあえて製造方法の特許を取らず、製造方法を企業秘密にすることで模倣を防いでいる有名な例にコカ・コーラの製造方法があります。このようにお菓子の模倣を法律上防ぐ手段には限界があり、現実的に模倣を防ぐのはなかなか難しい状況といえます。
 萩の月が模倣を防ぐために特許を取得しないかどうかはわかりませんが、シンプルなように思える萩の月には30年ものロングセラーを支えた何かがあります。「マネできるものならマネてみろ」というスタンスなのかもしれません。
 
 この引用の一つ上に引用したブログ記事《萩の月には類似品が沢山ある??その理由はなに??色々と集めてみました!!》は,「萩の月」の類似品について書かれているが,この記事自体がベリーベスト法律事務所の記事を骨子をほぼパクッた類似品だ.w
 で,「萩の月」類似品についての私の記憶しているところを一つ紹介する.
 正確な時期は記録がないのだが,たぶん「萩の月」が一般発売された昭和五十四年 (1979年) 頃のことだったと思う.
 私は食品製造機械の大きな展示会で,様々な最新鋭機器を観て歩いた.
 食品製造機械に「自動包餡機」というものがある.簡単にいうと饅頭状の食品を製造する機械だ.
 某自動包餡機メーカーのブースに立ち寄ってみたところ,その機械で製造できる菓子のサンプルが陳列されていた.
 それはどうみても「萩の月」だった.
 ブースにいた自動包餡機メーカーの社員に説明を聞いたところ,その洋菓子のレシピと製造ノウハウは,自動包餡機メーカーが保有していると言った.
 そして「萩の月」以外の食品メーカーが同じ製品を製造販売しても権利侵害にならないように,「萩の月」メーカーとは契約ができているから大丈夫,どんどん類似品を作って売ってくださいと語った.その自動包餡機は,和洋菓子のレシピと製造技術とワンセットで販売していますとのことだった.
 なるほどねーと私はいい勉強をした.その自動包餡機に限らず,汎用ではない生産機械というものは,それで何を作るかという技術とワンセットになっているものなのである.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)



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