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2023年1月22日 (日)

うろ覚えの知識を披露して間違ってしまった管理栄養士

 GetNavi web《徳川家康の死因? 現代の栄養学で考える危険&優秀な「食べ合わせ」》[掲載日 2023年1月21日 21:32] から下に引用する.
 
2023年の大河ドラマは、徳川家康が主人公。戦国武将にしては異例の長寿ながら、死因は胃がんを “鯛の天ぷら” の食べ過ぎで悪化させたことが一説とされているように、食あたりはまさに命取りです。
 なかでも “食べ合わせ” は、不調を招く原因となることもあり、現代人も気を付けたいところ。今回は、古くから言い伝えられている「ウナギと梅干し」「天ぷらとスイカ」などの合食禁や、実際体に良い・悪い食べ合わせについて、管理栄養士の森由香子さんに、現代の栄養学の視点から教えていただきました。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 引用した記事の筆者である管理栄養士の森田由香子さんは,取材に対して次のように答えている.修正されるかも知れないのでスクリーンショットで引用する.
 
20230122b
 
 この一節は,コーヒーに含まれているシュウ酸が尿路結石の原因の一つであると述べているのだが,上のスクリーンショットの中に赤い下線を引いて示した箇所が嘘である.
 まず,尿路結石について.
 尿路結石は,腎臓から尿路に排出されたシュウ酸やリン酸などが,尿路でカルシウムイオンと結合して結晶化したものである.
 この結晶はシュウ酸カルシウムとリン酸カルシウムの混合物であることが多い (発見率44.3%) が,その他にリン酸カルシウム (同16.8%),シュウ酸カルシウム1水塩 (同12.2%),尿酸 (同7.6%) などがある.(出典;梅山知一, 小川由英『日本泌尿器科學會雑誌』75巻7号,1984年)
 カルシウムは摂取された飲食物に由来し,そのほとんどは骨にリン酸カルシウムとして存在する.
 カルシウム塩から解離したカルシウムイオンには生体における重要な役割があり,細胞と血液中での濃度が厳密にコントロールされている.
 カルシウムイオンは必要レベルを下回れば骨から供給され,上回れば腎臓から尿中に排出される.
 リン酸も重要な生体物質であり,生体濃度はコントロールされていて,飲食品からの摂取量が多いと尿に排出される.
 これに対してシュウ酸には生理的および栄養的な意義はない.飲食物に含まれていたシュウ酸は消化管で吸収されたあと血中に入り,腎臓に運ばれて尿に排出されるだけである.
 尿に排出されたシュウ酸イオンやリン酸イオンは血液中よりも濃縮されていて,同様に排出されたカルシウムイオンと結合して生じたシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムは一時的に尿中で飽和濃度になることがある.
 この時に微結晶が生じることがあるが,普通は飽和濃度以下になると再溶解して膀胱を経て体外に排出される.
 ところが結晶が再溶解しないで大きくなることがあり,これが尿路結石である.
 
 さて管理栄養士の森田由香子さんは,コーヒーに牛乳を加えるとコーヒー中に含まれるシュウ酸はシュウ酸カルシウムになって,《シュウ酸カルシウムになれば、シュウ酸は消化管に吸収されることがなく尿と一緒に出て行く》と述べているが,森田さんの体は特殊で,消化管で吸収されないはずのシュウ酸カルシウムが,何故か腎臓にワープして尿に排出されるようだ.なぜ特殊かというと,私たち普通の人間の場合は,消化管で吸収されなかったシュウ酸カルシウムは大便中に留まって排便されるからである.
 という言い方は嫌味が過ぎるかも知れぬ.しかし管理栄養士の医学知識は一般人と大差ないのであるから,メディアの取材を受けても医学的なことには触れないのがよかろうと思う.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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