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2022年12月19日 (月)

コンビニの理不尽店員

 コンビニのスタッフはほんとに大変だ.コンビニのレジでスタッフが客の理不尽な振る舞いに耐えている様子が書かれているブログ記事を,私は何度も読んだことがある.
 日刊SPA! に浜カツトシさんという元はコンビニ店員だったライターが,コンビニでのトラブルを記事にして連載している.読むとなかなかおもしろいことが書いてある.(バックナンバーはここ)
 しかし当然だが,浜氏はスタッフ側の立場で,コンビニに来る迷惑客や理不尽なクレーマーなどについて書いている.
 ならば,というわけで私は逆に,コンビニの迷惑店員について書いてみる.
 
 ある日,うちの近所のファミマでパンとか菓子をカゴに入れてレジに行ったら,レジカウンターには私の前に若い女性客がいて,彼女が買った商品を,レジの女性スタッフがバーコードをスキャンしている最中だった. このスタッフは推定年齢七十歳くらいの老女である.以下,昭和の歌姫の大ヒット曲にちなんでこのスタッフを「老女A」と呼ぶ.
 で,私は若い女性客の1メートルほど斜め後ろに立って,老女Aの作業を見ていた.
 老女Aは,レジカゴから商品を手に取ってスキャンを続けていたが,何を思ったか,カゴに一つ商品が残っているのにスキャン操作を終了してしまった.
 老女Aは「****円頂戴します」といった途端に,スキャンし忘れた品がカゴの中にあることに気が付いた.そして客に,酒焼けしたような低いダミ声でこう言った.
「お客さま,申し訳ありませんが,一つレジを通し忘れました」
 これは,よくあるうっかりミスだと思う.だが年季の入った老女Aは並みの店員ではない.次の一言が凄かった.
「なので,この商品は買わないことにして頂けませんか? そうでないとレジを打ち直ししなきゃなりませんので」
 女性客は一瞬,老女Aが言っていることが理解できずにポカンとしていた.そこで老女Aは,もうヒト押しした.
「お客さま,申し訳ありませんが,これは今度おいでになった時にでもお買い上げください」
 ようやく老女Aが何を言っているか理解した女性客は,激怒した.
 
女性客「あんたさあ,客が買いたい物を,買うなってよく言えるね!
老女A「申し訳ありません」(← 誠意のない平板なダミ声)
女性客「この店でさあ,レジを間違うのって,あんただけだよ!」(一見客ではない近所の人らしい)
老女A「申し訳ありません」(← 誠意の全くない平板なダミ声)
女性客「だいたいさ,あんた,お釣りを放り投げるよね!そんなことすんの,あんただけだよ!
老女A「申し訳ありません」(← 自分が悪いとは微塵も思っていない,モウシワケアリマセンという合成音声のよう)
女性客「お釣りのお札だってさ,あんた裏表バラバラにお皿の中に入れるよね,だめだよそんなん!」(皿とは カルトン のこと)
(女性客は,老女Aに対する日頃の鬱憤が爆発したようだった)
女性客「このあいだもさあ
(と言いかけたところに,レジでの騒ぎに気が付いた若いスタッフが走ってやってきた)
 
「シャインニカワリマス (社員に代わります)」と無表情な老女Aは平坦なダミ声で言って,男性スタッフの後ろに下がってフンと横を向いた.
 男性の社員スタッフは平身低頭して,怒った女性客にお詫びして帰ってもらった.
 
 以前,別の客と老女Aがトラブっているのを見たことがあるが,その時の原因は,老女Aのおカネの扱いが乱暴だということだった.
 老女Aは,誰彼の区別なく平等に無礼に接客するのであるらしい.よかったよかった.ヾ(--;)
 このコンビニには若いバイトさんたちが何人もシフトに入っているのだが,お釣りの出し方はみんなちゃんとしている.
 釣り銭に千円札が複数ある場合は,札の表を上にして耳を揃え,声を出して金額を数え,「お確かめください」と言って小銭とは別に客に渡す.札は手渡し (両手で札の両端を持って渡す) でもいいし,カルトンに置いてもいい.
 それに続いて小銭をカルトンに置く.
 かつては小銭をジャラジャラと客の掌に渡すことがあったが,コロナ禍以降,現金の受け渡しはカルトン経由で行うことが普通になった.
 また以前は,ちょっとかわいい女性店員さんが,彼女の左掌を上に向けて,客の上に向けた掌の下に添える (ただし触れない) ように置き,客の掌に小銭をやさしく置くというやり方 (業種によってはこの方法がマニュアル化されていた) があった.これは,小銭がこぼれ落ちませんように,という心遣いの表現だった.
 この表現があざとく進化して,女性店員さんは左掌を,男性客の右手の甲に下からそっと触れてしまうようにする店があり,こういう店は 淡い下心のある 男のリピーターが増えた.このやり方の原型は,酒場でホステスが客の膝上あたりにさりげなく手を置くという所作で,
 そうではなくて茶髪のニイチャンが,そいつの左掌が客の右掌を下から握るようにする店があり,こういう店は閑古鳥が鳴いた.今なら完全なセクハラということで一騒ぎになる.
 かように,釣り銭の受け渡しは店の繁盛に影響するものであるから,疎かにはできないのである.
 とはいうものの,コロナ禍のせいでコンビニのレジ担当スタッフはラテックス製ディスポーザブル手袋を着用することが多くなり,以前のようなやり方は見られなくなった.
  
 老女Aの驚くべき接客は他にもある.
 買い物をした客が「レシートちょうだい」と言うと,レジの周りに散らばっているレシートを適当に拾って客に渡す.客がレシートを一瞥して「こんなのオレは買ってないよ!」とクレームを付けると「申し訳ありません」と平板なダミ声で言い,また別のレシートを適当に選んで客に渡す.
「だからあ,オレのレシートをくれよ!」
「申し訳ありません」
 以下,これが繰り返される.
 
 私が経験した老女Aの接客実例.
 ある日,私はNHKの受信料払込用紙を持ってファミマに行った.
「これ.お願いします」と言って払込用紙を老女Aに渡し,カルトンに一万円札を置いた.
 老女Aは,払込用紙にポンポンと日付スタンプを押し,レジ操作をしてから,お釣りをカルトンに放り入れた.
 そのまま何も言わないので私は「領収証をください」と言った.
 すると老女Aは,レジ機から打ちだされたレシートを「どうぞ」と私に差し出した.
 私は「それはレシート.払込用紙の右端に領収証があるから,それを切り取るんだ」
 老女Aは「なるほどー」と言った.こいつは何年ここのレジをやってるんだよ.泣
 このことがあったあと,老女Aがレジカウンターにいる時は,私は代金払込はしないようにした.
 
 その他に,老女Aはレジ打ちしながら商品を床に落とし,それを棚にある商品と交換せずそのまま売ろうとして客とモメたのを見たことがある.
 ある日,私がアイスクリームをカゴに入れてレジに行くと,運悪く老女Aがレジにいて,その時もバーコードをスキャンする時にアイスを床に落とした.
 この日の老女Aは殊勝で,というか当たり前のことだが,「商品を交換致します」と言った.
 そしてやつは,レジから離れたところにあるアイスクリーム類の冷凍ショーケースに行き,「お客さま~お客さま~」と私を呼んだ.
 何事かと思って冷凍ショーケースのところに行くと,老女Aは「落っこちたアイスは,どれですか?」と言った.
 落っこちたんじゃなくて,お前が落としたんだろーが! 自分が何を落っことしたのか確認もしなかったのか!
 おのれの失敗なのに,冷凍ショーケースまで客を呼びつけて平然としている老女Aの理不尽さに,私は頭がクラクラとしたが,そこは人生七十二年も生きた年の功である.すぐ冷静になって「チョコモナカジャンボだよ」と指さした.
 
 老女Aの理不尽な接客態度のために,客とモメているのは何度も目撃した.こういうコンビニはめずらしいと思うのだが,しかし老女Aはクビにならない.昔からこのファミマで働いて,客を困らせている.もしかするとオーナーの母親とか,そんなんじゃなかろうかと思っている今日この頃である.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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