焼きおにぎらず
冷凍食品の焼きおにぎりに,私はいくつも不満を持っている.
どこのメーカーの製品も,醤油味の炊き込みご飯を三角に成形してあぶったものを焼きおにぎりとしているが,これは昔ながらの焼きおにぎりとは作り方が全く異なるものだ.市販冷凍食品の焼きおにぎりは,食感がフニャフニャしていて,おいしくない.ちゃんと焼けていないから,醤油が焼ける香ばしさがない.
昔ながらの焼きおにぎりの作りかたは,まず白飯でプレーンなおにぎりを作る.
理想的にはこれを焼き網に載せて,七輪とか火鉢など,下からの弱火で焼く.
火鉢で焼く時の別法で,俵形のお握りをアルミ箔に包み,これを火鉢の灰の中に埋めるというのがある.これは戦後昭和のテレビ放送草創期にNHKの料理番組で,もはや伝説上の料理研究家となった江上トミ先生が披露した方法である.昭和三十年代に小学生だった私が最初に拵えた焼きおにぎりが,これであった.
とはいえ火鉢で焼きお握りを焼くのは今の一般家庭では無理だが,キャンプ飯に応用できるので,既にこれをご存知の向きは多かろう.
私は七輪も火鉢も持っていないのでガスコンロで焼こうと思うのだが,拙宅の古いガスコンロに焼き網を載せると加熱防止センサーが作動してしまってうまくいかない.
センサーを騙すツールも市販されているが,そこまでするか,という気がしないでもない.最近のガスコンロの機種では,過熱防止センサーを解除可能なものがあるが,焼きおにぎりのためにガスコンロを買い替えるわけにはいかない.
さればとてガスコンロの魚焼きグリルでも焼くことはできるが,後始末がめんどくさい.
以上の方法に比べるとお手軽なオーブントースターでも,時間はかかるがおにぎりを焼くことはできるので,その変法を試みた.
まずグラタン皿の底と,底に近いあたりの内壁にバターを塗る.飯粒が焼き付くのを避けるためと,風味付けのためである.個包装 (十グラム) になっているバターの半分でよい.
次にサトウ食品のパックご飯「銀シャリ」(内容量二百グラム) を,包装に書いてある指示通りに加熱する.熱々になったパックご飯をグラタン皿の上で逆さまにし,ご飯を落とし入れる.こうすると,ご飯の表面がおにぎりのように平らになる.(できあがり写真を参照)
ご飯をスプーンなどでパックから何度かに分けて入れると,ご飯の表面が凸凹になり,焼きムラができたり焦げたりする.
このパックご飯「銀シャリ」は味がよいし,スーパーで一個百円以下で売られていることがあるので,お勧めである.通常価格は百四十円くらいだ.
続いてオーブントースターのヒーターを上面だけのモード (五百ワット) で十五分ほど焼く.うっすらと色がついて,ご飯の表面がかりっとするのが目安だ.
そのように焼けたらオーブントースターの扉を開けて,料理用の刷毛で焼けたご飯に濃口醤油を塗る.刷毛は餅を焼く時にも使えるから,一つあると便利だ.シリコン製の刷毛は醤油を含むことができないので不可.細いナイロン毛の刷毛を使う.
醤油は多めに塗るとよいだろう.続いて,塗った醤油が焼けておいしそうな匂いがするまで更に数分焼く.
ご飯の表面がカリカリになったら,オーブントースターからグラタン皿を取り出し,バターの残りを上に載せて追いバターにする.
これで出来上がり.醤油とバターの量はお好みだから,二回目には自分の好みがわかるだろう.
ついでに書くと,醤油の代わりに好みの味噌をゆるく水でといて塗ると「味噌焼きおにぎらず」だ.これは味噌に手を加えてネギ味噌にすると絶品である.
以上のやり方のよい点は,おにぎりを作らずに済むことだから,その手間が気にならないなら普通におにぎりを作ってオーブントースターで焼けばよいことは無論である.
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ウクライナに自由と光あれ
(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)
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