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2022年11月18日 (金)

黙食が救いになることがある

 毎日新聞《居酒屋との矛盾、説明できますか? 子供の9割「黙食やめて」》[掲載日 2022年11月17日 11:30] から下に引用する.
 
新型コロナウイルスの感染者が国内で確認されてから来年1月で3年。母親の小野真帆さん(30)は、世の中全般の感染対策が緩和に向かうなかで、学校の黙食が続く現状に疑問を感じる。
「『大人は居酒屋に飲みに行けたり、ランチで話をしたりできるのに、なんで給食の黙食は変わらないの?』と多くの子どもが疑問に思っています。それに対して、納得できる説明をしている大人はいません」
 小野さんは、感染状況に合わせた黙食などの緩和を求めて立ち上がった。自らが代表を務める「全国有志子どもを思う会」(本部・東京都渋谷区)は5月16日~7月3日、インターネット上でアンケートを実施。未就学児から小中学生を中心に、その保護者など1593人から回答を得た。
 「黙食についてどう思いますか」という質問に対して「悪い」が最も多く79・0%、「どちらでもない」が15・4%、「良い」が5・5%と続いた。
 「給食はお話ししながら食べたいですか」に対しては「したい」が90・4%、「どちらでもない」が6・4%、「したくない」が3・2%と続いた。9割が黙食をやめたいとする実態が浮かんだ。調査終了から4カ月以上がたち、全国旅行支援も始まっていることなどから、現在はその割合が増えている可能性がある。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 昔々,私が小学生だった昭和三十年代は,いわゆる団塊世代が大量に学校を通過していく時代で,県庁所在地にあった私の小学校では一学級は五十人を軽く超えた.
 全国平均では,昭和三十三年の文部省「学校基本調査」によれば,昭和二十四年生まれの小学校学級人数は四十八人であった.
 これに対して平成十六年には,二十六人に大幅減少している.
 団塊世代の義務教育時代,教室は満杯で,私の小学校 (群馬県前橋市立南小学校) では一学年に何学級あったのか忘れたが,私が通った群馬県前橋市立第一中学校には一学年に十三学級があった.三学年で計四十学級あったからものすごい.
 こんな時代だから,小学校は学区が狭い (低学年児童が徒歩で通学できる範囲に設定される) 関係で生徒数が少ないから何とか給食を実施できたが,複数の小学校から生徒が集まる巨大な中学は全校二千人の生徒がいたので,学校給食をするには規模が大きすぎて不可能だった.(自衛隊駐屯地の給食かよw)
 そのため,家庭から弁当を持ってくる生徒も少しいたが,ほとんどは業者が販売するパンを買って食べていた.毎日毎日,数千個のカレーパンとかジャムパンが昼頃に学校に運ばれてくるのだ.
 小学校も中学校も現在は一学級の生徒数が少なくて教室の広さに余裕があるから,授業の内容によって机を並べ替える (「島」を作ったりする) のではないかと思うが,昔は常に机の配置は「スクール形式」だった.教室内は過密で「机の島」は作れなかったからである.
 当然,給食の時間でも,みんな黒板の方を向いて食べた.給食を食べながら仲の良い友達とおしゃべりをするなんてできない相談だった.
 だからみんな黙々と,できるだけ短時間に食べ終えるようにした.黙食だ.
 食べ終われば席を離れてもいいから,誰か一人の机のところに数人が集まっておしゃべりするもよし,校庭でドッジボールをして遊ぶもよし,楽しい昼休み時間を確保したいから,ゆっくり会話を楽しみながら給食を食べるなんて考えもしなかったものだ.
 
 ところがいつしか,生徒数が減って教室に余裕ができて,学級をいくつかのグループに分けて給食を食べるのが普通になった.
 食事は楽しく会話しながら食べるべきだと言う建前のようなものができたのだ.(*脚註1)
 そしてこのあたりから,給食の時間が,仲間外れを作るイジメの場になっていった.ネットを探せば,いくつもいくつも,給食の時間に仲間外れにされた人たちの悲しい思い出を私たちは見つけることができる.(*脚註2)
 上に紹介した記事に《給食はお話ししながら食べたいですか」に対しては「したい」が90・4%、「どちらでもない」が6・4%、「したくない」が3・2%と続いた 》とある.これは,一学級に一人は仲間外れの児童生徒がいることを想像させる数字だ.
 黙食反対運動を立ち上げた「全国有志子どもを思う会」(本部・東京都渋谷区) 代表の小野さんには,給食の時間に仲間外れにされて,黙って食べるしかない子のことなんか眼中にないのだろう.

(*脚註)
1. 「会話しながら楽しく食事」という建前とは逆に,平成時代の家庭の食事は,家族が別々に,それぞれ一人で黙って食べる「個食」化が進行した.「全国有志子どもを思う会」代表の小野さんには「個食」の現実は見えないのだろう.
2. 「会話しながら楽しく食事」という建前は「一人で食事をするのは恥ずかしいこと」という風潮を生んだ.この建前からこぼれ落ち,仲間外れにされた大学生や会社員がトイレで昼食をとるのを便所飯という.尾木直樹氏の調査 (大学生が対象) によれば,便所飯の経験者は2.3%であった.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)




 

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