« 味噌汁に「千代の一番」などを使うのは屋上屋を重ねることだ /工事中 | トップページ | マイナンバーカードには何枚も顔写真を載せてもいいという仕様にしたらどうか »

2022年11月 3日 (木)

汚れつちまつた悲しみに

 コロナ禍は私たちの生活全般に影響を与えたが,プラスの影響としては,手指を洗う,消毒するという衛生習慣が国民に広まったことがある.
 なにしろスーパーだろうがデパートだろうが銀行だろうが,不特定多数の人々が集散する場所には消毒用アルコールのボトルが置かれているのである.こんなに人々が手指の衛生に努めている状況は日本の歴史上はじめてのことだ.
 
 余談だが,幼稚園とか小学校には手洗い場とか水飲み場とかいう設備があって,横長のシンクに水道蛇口がいくつも並んでいる.
 児童生徒は庭で遊んだあと,手洗い場で汚れた手を洗って建屋の中に入るわけだ.
 その水道蛇口にはネットでできている袋状のもの (通販ではミカンネットでヒットする) がぶら下げてあり,中に石ケンが入っている.
 こうすると石ケンがどこかに行ってしまうことがなくなるので大した発明だと思うが,実はこれ,昭和三十年代の私が子供だった時代にはなかった.しかし昭和五十年代の後半,私の子供たちが幼稚園に通った頃にはもうあった.
 ということは,昭和四十年代に日本国民の衛生意識は高まったと考えられる.ちょうど昭和四十年代に寄生虫 (回虫) 感染が激減し,私の記憶ではこの頃,小学校で定期的に児童に駆虫薬を服用させる必要がなくなったことと軌を一にしている.
 回虫感染が激減したのは,江戸時代以来連綿と行われてきた人糞肥料を畑に撒くことを止めて化学肥料が置き換わったり農薬が多用されるようになったこと,野菜等を生で食べる際には中性洗剤で洗うことを当時の厚生省が国民に啓蒙したこと,環境に常在していた回虫卵が口に入らぬように手指の洗浄が励行されたこと,などである.
 時代的なことについての資料を探したら,岡山県公式サイトに,保健福祉部生活衛生課のコンテンツ《回虫症》があった.下に一部を引用する.やはり昭和四十年代に変化があったとしている.
 
回虫という名前を聞いて、懐かしいと思われる方は多いと思います。
 日本では、昔からよく知られている寄生虫で、昭和40年代までは国民の約4割が感染していた、ある意味「国民病」のような感染症でした。しかし、公衆衛生の向上した現代日本では、感染事例をあまり聞かなくなりました。
 しかし、世界中ではまだ多くの人が感染している寄生虫です。また、日本でも少しずつではありますが、感染事例報告数が増えてきています。
 回虫症は、感染経路が複雑多岐に渡り、また、回虫を持っている動物種も非常に多いのですが、予防できる感染症なので、確かな知識を身につけましょう。
 
 話を元に戻す.
 私が利用しているスーパーでは,入り口のレジ籠が積まれているところにアルコール消毒剤のボトルが置かれている.
 スーパーの一つは,レジ籠自体を専用の装置で消毒している (ダイエー).別のスーパーではキッチンペーパーを無料提供していて,これにアルコール消毒剤をスプレーし,レジ籠のハンドルを拭き取り消毒できるようにしている (サミット).
 店側の配慮は行き届いているのだが,最近は手指の消毒をきちんとしない人が増えている.全く消毒しないで店内に入っていく人もいる.
 こういう人が,野菜などにペタペタ触れるかと思うと,少々不快である.コロナ禍以前は気にならなかったのであるが.
「スーパー野菜売り場あるある」の一つだが,ナスとかキュウリとかバラ売りの野菜や果物を,手に取っては元に戻す中年女性が多い.
 たった一つのリンゴをレジ籠に入れるまでに,十個くらいのリンゴを手に取っては戻す作業を繰り返している ババア 中年女性を目撃すると,手に取ると糖度がわかる特異体質なのかと思ってしまう.
 果物は糖度を掌で測定しているとしても,ズッキーニを握りしめて遠い目をしているのはなぜなんだろう.
 
 というわけで,スーパーに昼過ぎに行ったりすると,リンゴは客に触られまくった状態になっている.
 キウイやオレンジは皮を剥いて食べるから,別に触られまくった状態でも構わないのだが,リンゴは皮ごと食べる時のパキッという食感もおいしさなので,できれば皮を剥かずに衛生的な状態で口に入れたいと思う.
 そこで色々と検討した結果を申し上げる.
 下のスクリーン・ショットはアマゾンの商品ページから作成した.これは実店舗では見かけないかも知れないが,通販で容易に購入できるフマキラーの製品だ.商品名が「食品用アルコール除菌フードキーパー」と長いのはなぜか理由がわからない.
 
20221103a
 
 まな板や食器を消毒するためのアルコール製剤は他にもあるが,野菜や果実に直接使用可能であるという点で,私見では上のフマキラーの製品がもっとも優れている.
 エタノール濃度はあえて53%と低くしているので消毒力はかなり低いのであるが,クエン酸と乳酸を使用して酸性にすることで,消毒力を高くし,その結果としてエタノールを噴霧したときの刺激臭を抑えている.
 配合されているグレープフルーツ抽出物と茶の成分の効果は不明だが,おそらく褐変しやすい野菜の保存性に効果があるのだろう.
 これがあれば,ババア 中年女性客にさわられいじられまくった可哀そうな中原中也的野菜でも,買ってあげることができる.
 さわられまくり野菜の一つであるレタスは,外側の葉にスプレーして数秒後に流水で洗い流す.
 ナスは加熱することがほとんどなので,水洗いでゴミを落とすだけでいいが,キュウリは生食だから消毒すると精神衛生的によい.
 特に糠漬けにするキュウリは,雑菌だらけのままで大切にしている糠床に入れたくないので,私は消毒を励行している.
 リンゴは,薄手のキッチンペーパーにスプレーし,これで表面を拭き取るとよい.リンゴは品種によって,完熟すると皮からワックス (消化できない成分) が分泌されてベタベタになって気持ち悪い (手もベタベタになるくらいだ) が,この「……フードキーパー」で拭き取るとさっぱりと清潔感がでる.この製品はコロナ共存時代のキッチンツールとしてお勧めしたい.
 
*********************************************
ウクライナに自由と光あれ
Pics2693_20220307154501
(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


|

« 味噌汁に「千代の一番」などを使うのは屋上屋を重ねることだ /工事中 | トップページ | マイナンバーカードには何枚も顔写真を載せてもいいという仕様にしたらどうか »

新・雑事雑感」カテゴリの記事