習皇帝の台湾進攻 /工事中
昨年末,筑波大学の中村逸郎教授 (専門は現代ロシア政治/現在は同大学名誉教授) はロシアがウクライナを侵略する可能性に言及していた (FRIDAY《プーチン大統領が目論む「ウクライナ侵攻」の勝算》[掲載日 2021年12月24日]).
中村教授の他に慶應義塾大学の廣瀬陽子教授も,ロシア政治の専門家としてテレビの報道番組に出演することが多かったが,廣瀬教授はウクライナ侵攻はないと見ていた.(SPINEAR《ロシアは、なぜウクライナ周辺に軍を集結させているのか》[掲載日 2022年2月8日 09:06])
一般人である私は,ロシア研究者は中村教授と廣瀬教授しか知らないのだが,ロシア研究者の大勢は廣瀬教授と同じくウクライナ侵攻はないと考えていたようだ.
コロナ禍でも殺人事件でも芸能人の不倫でも国際政治でも,テレビの情報番組というものは,お笑い芸人や気象予報士,元野球選手などのコメンテイターたちが「ああだこうだ」と述べるのであるが,橋下徹や玉川徹などこのテのコメント芸人たちは異口同音に「ロシアとウクライナは兄弟国だからロシアは侵攻しない」と言っていた.
しかし,ロシアとウクライナが兄弟国だというのはロシアによるプロパガンダであることを,NHKは《映像の世紀 バタフライエフェクト スターリンとプーチン》で示した.独裁者スターリンの圧政の最大の被害者はウクライナの人々だったのである.ウクライナ人を殲滅するために行われた人為的大飢饉をホロドモールというが,これはスターリン飢饉とも呼ばれる.
余談だが,プーチンがウクライナ侵略を開始した時に,ホロドモールに言及して「ロシアとウクライナは兄弟国」が嘘であることを指摘したのはタレントのカズレーザーと池上彰だけであった.さすがである.
さてしかし,プーチンはウクライナを侵略開始した.
この事態に,廣瀬教授は大きなショックを受けた.自分の研究に基づけば「プーチンの戦争」は起きないはずだったのである.
それから一ヶ月余,廣瀬教授は慶應義塾大学湘南キャンパスの公式サイトのコンテンツ《おかしら日記》に《研究は戦争を止められないのか》[掲載日 2022年4月5日] を寄稿した.以下に抜粋引用する.
《2月24日、目覚めると世界が変わっていた。ロシアがウクライナに侵攻し、全く大義のない戦争が始まったのだ。そして、その日、私は重要な研究対象の一つを失い、これまでの研究人生で構築してきたセオリーは水泡と化した。
……
これらの研究成果に基づけば、ロシアがウクライナに侵攻するはずはなかった。紛争勃発前夜まで、私は「侵攻はない」と自信を持って主張していたのだ。しかし、侵攻は起きてしまった。その時、「私が知っている」ロシアは消滅し、私が構築してきた議論も崩壊した。自分の長年の研究は何だったのだろうか、そして人間は戦争を防げないのか、という絶望的な気持ちに苛まれた。
……
研究は戦争を止められない。しかし、研究が果たせる役割もゼロではないはずだ。私の旧ソ連研究は一旦振り出しに戻ったが、また心新たに旧ソ連研究に取り組みたいと思っている。そして、今回の戦争にショックを受けている方々にも、ぜひそれぞれの分野で研究をしていただきたいし、この新しいパラダイムに挑戦できるのは総合政策的アプローチしかないと確信する。研究が世界平和に貢献できる日がくることを祈るばかりだ。》
廣瀬教授の研究は戦争抑止に資するはずだった.しかし戦争は起きた.上に紹介した寄稿に,この現実を踏まえて再度学問を構築し直すとの決意が述べられている.
廣瀬教授の決意に,学問における誠意,研究者の矜持を見る思いがするのは私だけではあるまい.
それにしても,中村逸郎教授や廣瀬陽子教授のように,「今そこにある」現代世界の危機に向き合い,自らの主張を国民に対して広く発信 (できればテレビで) する人物が,中国に関しては居ないように思われるのはなぜか.
私たちの目に触れないところで,きっと議論はなされているのだろう.
しかし,私たちにはその議論は届いていない.
習近平は,
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