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2022年9月12日 (月)

プーチンがもし敗北したら日本の親ロシア派はどうする

 このところNHKの海外報道番組 (総合とBS) では,ウクライナ軍が反撃を開始したとBBCなどの記事をアナウンスするだけで,現地からの映像はこれまでのものの使いまわしばかりだった.
 しかし昨日は,違った.ウクライナ東部のハルキウ州のいくつかの地域をウクライナ軍が奪還して国旗を掲げ,一般市民が歓声をあげる様子の映像などが報道されたのである.
 同時にロシア国防省はその事実を間接的に認めたことも報道された.
 YouTube《ウクライナ軍 ハルキウ州での反撃強める ロシア国防省が事実上の撤退表明か》[掲載日 2022年9月11日] から引用する.
 
ロシア国防省は、ウクライナ北東部ハルキウ州に展開していた一部の部隊について、「再配置する」と発表しました。事実上の撤退表明とみられます。
 ロシア国防省は10日、声明を発表し、ハルキウ州のバラクレヤとイジューム周辺に展開していたロシア軍部隊について、「特別軍事作戦の目的を達成するためドネツク州方面に再配置する」と述べました。バラクレヤとイジューム地域からの事実上の撤退表明とみられます。
 ハルキウ州をめぐっては、ウクライナメディアが10日、イジュームの入り口にウクライナ軍が到達したと報じたほか、ウクライナ国防省がバラクレヤで軍が国旗を掲げている様子を公開するなどウクライナ側が反撃を強めています。
 
 三ヶ月くらい前には,ウクライナ軍の反攻は八月からだとの予想が西側メディアから流されていたが,なかなか始まらなかった.
 ゼレンスキー大統領は NATO 加盟諸国に武器弾薬を提供するよう要求してきた (要請ではなく要求だったのは,ゼレンスキー大統領には西側諸国の防衛戦争を担っているとの意識があったからである).
 かつてソ連の圧政下にあった東欧諸国のほとんどはウクライナ支援の意思を示したが,実際には支援したくても兵器をたくさん保有しているわけではないから,ソ連から独立した時に確保した第二次大戦時の戦車をウクライナに送った.
 その穴埋めに,ドイツが東欧諸国にドイツの兵器を供給するとの約束ができたのであるが,ドイツは履行をしぶった.
 このドイツの二枚舌は,ショルツ独首相が青年時代から思想的に親ロシアだったからだ.
 NATO 諸国内の親ロシア派はドイツとフランスだが,米国は独仏両国を批判することを避け,ウクライナに対する莫大な戦費と兵器の供給を黙々と続けた.英国は,ウクライナ軍が NATO 規格の兵器を扱えるように,ウクライナ軍兵士の訓練を行った.
 米英両国の援助の甲斐あって,予想より一ヶ月遅れたが,ようやくウクライナ軍は東部奪還の戦果を上げつつある.
 
 このような現況下,もしもロシアがウクライナ侵略戦争に失敗して撤退したとしたら,日本のアンチ・ウクライナ論者はどういう態度を取るだろう.
 筋金入りの親ロシア派である鈴木宗男は,テレビのコメント芸人ではないから,以前として親ロシア派であり続けるだろう.
 
 コメント芸人である橋下徹や玉川徹らは「プーチンの戦争」が始まった当初,無茶苦茶な理由でウクライナ政府を攻撃した.
 橋下徹は「大国ロシアと戦って勝てるわけがないから,ウクライナは降伏すべきだ」と述べた.いわゆる「力による現状変更」を諸手を挙げて賛同したのである.
 玉川徹は,ロシア侵攻前のウクライナ領土を,ロシアとウクライナで分割せよと主張した.玉川は,いつもはリベラルの仮面をかぶっているが,実は侵略戦争を肯定する思想の持ち主であることを世間に晒してしまった.
 この二人は,ウクライナが勝とうが負けようが,彼らの生活には無関係のことだ.彼らは,最初はプーチンの言い分を認めていたが,もしウクライナがロシアによる侵略に対する防衛に成功すれば,今度はゼレンスキーを称賛するだろう.テレビ業界を泳ぎ渡るのが彼らの生き方だからである.彼らの世渡り上手を非難するひとはいるだろうが,知らぬふりをしていれば皆そのうち忘れてくれる.

 もう一人.
 日本共産党の機関紙「赤旗」に時折寄稿している作曲家の三枝成彰は,ロシアが侵略を開始した当初から「ロシアに抵抗するな」とウクライナを批判し続けていたが,遂にはゼレンスキー大統領を東条英機になぞらえる暴挙に出た.(《三枝成彰の中高年革命 国の威信より重いのは国民の命…戦争で奪われた領土は返ってこない》[掲載日 2022年7月23日 06:00])
 三枝の倒錯した歴史認識では,元々旧ソ連=ロシアのものだった土地を奪い取ってウクライナは独立したのである.
 それをプーチンは奪還しようとしている.従って正義はプーチンの側にある.ウクライナこそが侵略者であり,ゼレンスキーは東条英機であり,ロシアは祖国防衛戦争を戦っているのである.これが三枝の歴史認識だ.
 ゼレンスキー大統領を東条英機になぞらえたのは,日本の著名人の中で三枝成彰ただ一人である.鈴木宗男より過激だ.
 三枝がロシアに肩入れしたのは,マスコミ業界で飯を食っていないからである.言いたい放題を書き殴ったせいで原稿料が入ってこなくなっても,三枝には痛くも痒くもない.
 三枝は左翼を自称している.日刊ゲンダイ《大御所の左翼作曲家に楯突いた僕が左翼に置かれるおかしさ》[掲載日 2018年11月3日 06:00] に次の記述がある.
 
その昔、音楽家の7割は左翼だった。僕は朝日新聞に嫌われていたけど、だからといって右翼でもないし読売新聞に可愛がられたわけでもない。いつの時代も中間というのは居づらいものだけど、気が付けば左がいなくなって、真ん中が左になった。それで僕も今は左翼じゃないかという位置に立っている》(引用文中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
 
 日本の政治状況にまだ左翼が存在していた時代に生きてきた私のような老人の目から見ると,プーチンの戦争を公然と支持する三枝成彰は,左翼ではあり得ない.プーチンと同じスターリニストである.スターリニズムは旧ソ連共産党の中に生じた右翼的全体主義であり,ナチズムによく似ている.
 日本共産党は昔,旧ソ連共産党と中国共産党と喧嘩別れしたが,今も日本共産党は,旧ソ連共産党=スターリニストの党の組織原理であった「民主集中制」を組織原理としている.
 三枝成彰が,時たま「赤旗」に寄稿しているのは,スターリニストとしての親和性があるからに違いない.
 もしもウクライナがロシアの侵略に対して勝利したら,鈴木宗男が所属し,鈴木宗男を擁護してきた「維新」はどういう態度を示すだろう.
 プーチンの戦争を支持しゼレンスキーを東条英機呼ばわりした三枝成彰を,現在も日本共産党は絶縁していないが,プーチンが敗北したらどうするんだろうと興味がわく.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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