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2022年9月20日 (火)

砲台に棺を載せてどうする

 東スポWeb《三浦瑠麗氏 英女王と安倍氏の〝国葬比較〟に「厳かさ違う」「そんなこと当たり前」》[掲載日 2022年9月20日 11:07] から引用する.
 
エリザベス女王の国葬は19日午前11時(日本時間午後7時)からロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われ、天皇、皇后両陛下 をはじめ、世界各国の王族や首脳ら2000人以上が参列。
… (中略) …
 一方、安倍元首相の国葬は27日に迫っている。いまだ反対意見も多く、英女王の国葬とのコントラストが際立つ。
 これに三浦氏は「今朝の番組はエリザベス2世の国葬。安倍元総理との比較の話を振られる」とした上で「女王が亡くなったときの国葬と、国に功績があった方の国葬では、英国でも国内の受け止めや儀式の厳かさは当然違う。そんなことは当たり前だが、戦後日本は国として人を悼むことを考えてこなかったので参照地点を海外に求めがち」と持論の展開した。
 続くツイートでも「日本に置き直せば御大喪と功績のあった人の国葬は同じにはならないのは当然だ。今後の論点は、天皇陛下が出席なさるような国葬を日本は必要とするのか否か。また政教分離の観点から葬儀の宗教性をどこまで排除すべきなのかということだろう」と指摘。
 国葬自体のスタイルについても「英国は戦勝国だから王室が軍服をきて砲台に棺を載せるなどが可能なのであって、日本が国家というものをどう考えていくかというのはそんなに単純ではないわけですね」と現実的な課題を突きつけた。》(引用文中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
 
 いつもテレビに出てきてはエラソーな態度で小癪な発言を垂れている三浦瑠麗の無知は,いくらコメント芸人とはいえ,全国の年寄りたちが情けなさに落涙するほどのものだ.(例えばFLASH《三浦瑠麗氏、まさかの「村八分」誤用にツッコミ殺到…「国葬欠席」を批判するツイートが大炎上》[掲載日 2022年9月10日 19:54])
 三浦の無知発言の例を,女性自身《三浦瑠麗『ワイドナショー』で「大喪の礼」読み間違いに「本当に政治学者?」と疑問噴出》[掲載日 2022年8月2日 11:00] から引用する.
 
国際政治学者の三浦瑠麗氏(41)が、31日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)に出演し、天皇と上皇の国葬である「大喪(たいそう)の礼」を「たいもの礼」と言い間違えたことにより、ネットで集中砲火を浴びている。
日本で少し私が憂慮するのは、天皇陛下の国葬は当然だと、これはもう“たいもの礼”だと。天皇陛下という方は国民のために祈っていただいている、本当にプライバシーを自己犠牲している。だから権威は認めるけど、民主主義で選んだ総理大臣に対して、毀誉褒貶もあろうだけれども、政治はダメってのは民主的にはおかしいと思っているんです。》(引用文中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
 
 私はこの時の放送を視聴していたのだが,三浦が《たいもの礼》と言った時,出演していた他のタレントや芸人たちが「はあ?」という顔をしたのがおもしろかった.
 昭和天皇崩御の時に行われた大喪の礼は国内全メディアが大々的に報道したから,ある程度の年齢以上の人たちは大喪の礼の読みは「たいそうのれい」であることを知っている.
 当時の三浦瑠麗は既に小学生だったから,もちろん大喪の礼の読みは知っていなければいけない.また,その後に義務教育を受ける過程で何度も大喪の礼の読みを知る機会はあったはずである.
 それなのに三浦はテレビに出て「たいものれい」と発音した.この女は,これまで何度も「たいものれい」と言ってきたのだろうが,誰も「それは,たいそうのれい,と読むんだよ」と教えてくれなかったのである.
 
 この小さな事件で,三浦瑠麗がとんだ食わせ者であることがあることがバレてしまった.
 普通の人間なら「大喪の礼は鬼門だ,クワバラクワバラ」というわけでこの話題には近寄らぬだろうが,そこは無知の強みで,堂々と《日本に置き直せば御大喪……》ツイートした.三浦の頭の中ではきっと御大喪を「ごたいも」と読んだであろう.w
 
 三浦の「たいも」のことはそれでいいとして,問題は《英国は戦勝国だから王室が軍服をきて砲台に棺を載せる》だ.
 砲台とは大砲などの火器を設置するための台座である.Wikipedia【砲台】に以下の説明がある.
 
大きな大砲を防衛上の重要地点や交通の要衝など軍事戦略的・地理的に有利な地点で射界が広く取れる高所に設置して、敵の侵攻に対して効果的な防衛拠点とするものである。また、反動の大きな大砲を専用の砲台に設置することで運用の利便性を高め、同時に命中精度の向上も期待している。 土地を整地しただけの仮設のものから、石組みやレンガ組み、コンクリート造で掩体を作り陣地や保塁としたもの、さらに火薬庫、兵舎などの関連施設を併設して要塞化したものもある。
 代表的なものに海上の艦船を砲撃するために海岸線近くに設けられる沿岸砲台があり、幕末に築かれた台場もその一種である。
設置される大砲はカノン砲か榴弾砲であり、沿岸砲台の場合には移動目標である軍艦に命中させるためにカノン砲であることが多い。
 
 東京都港区の地名「お台場」が幕末に設置された砲台に由来することは,ほぼ常識だ.
 横須賀港沖の猿島も砲台の跡があるので有名であり,観光地化している.
 お台場でも猿島でも,砲台跡の実物を目にすれば砲台は地面に固定されていることが一目瞭然である.
英国は戦勝国だから王室が軍服をきて砲台に棺を載せる》と書いているところをみると,三浦瑠麗は砲台を見たことがない.砲台の何たるかを知らない.
 知らなければ調べて書けばいいだけだが,無知な人間は調べるということをしない.そして恥をかく.
 棺を砲台に載せてどうする.それでは運べぬよ.w
 敵味方両軍が大砲を撃ち合う近代の地上戦闘では,大砲は砲台に載せては使用されない.ある地点で砲撃を行ったら,別の地点へと移動して,また砲撃を再開するという形で運用する.
 その移動手段には二種類ある.ウクライナとロシアの戦闘場面を報道で見て知っている人は多かろう.
 一つは,大砲を砲架に搭載し,移動に際しては自動車で牽引する.二つ目の方法は,大砲と自動車を合体させる.これが自走砲である.
 大砲を自動車で牽引する際に,車輪の付いた台車に大砲を載せて運ぶ.この移動式の台を砲車と呼ぶ.
 Wikipedia【砲車】には以下の説明がある.《砲車は大砲を運搬移動するために砲架に2輪あるいは4輪の車輪を取り付けた台車のことである。
 砲台と砲車の区別もわからぬということは,毎日のようにテレビで放送されるウクライナ軍の戦闘シーンを三浦瑠麗は漫然としか見ていないのだろう.それでテレビのコメント芸人が勤まると思っているのだろうか.ああ恥ずかしい.
 
 ちなみに,エリザベス女王の棺を載せた砲車は,ウェリントン兵舎の王立騎馬砲兵隊 (Royal Horse Artillery;1793年創立) が所有する砲車である.
 ビクトリア女王 (1819年5月24日 - 1901年1月22日) の葬儀は,女王の生前の意思により軍葬の様式で行われた.砲兵隊の馬が引く砲車に棺を載せるのは,ビクトリア女王の葬儀が最初であり,以後,これが英国王室の伝統となった.(ビクトリア女王の葬送隊列を若き日の夏目漱石が目にしたのはよく知られている)
 故エリザベス二世女王も自分の葬儀をどのように行うかを生前に決めていたとのことであるが,彼女自身が第二次大戦時には軍務に就いたことがある (その時の若き女王の凛々しい姿を撮った写真はよく知られている) から,自らの葬儀を王室伝統通り軍葬の様式とすることには何の問題もなかったろう.
 三浦は《英国は戦勝国だから王室が軍服をきて砲台に棺を載せる》と述べているが,葬儀を軍葬様式として砲車に棺を載せるのは英国君主の葬儀の伝統である.英国が第二次大戦の戦勝国だったこととは全く無関係のことだ.そんなことも知らぬのか,三浦は.付け加えれば,英国王室の主なメンバーは軍人である.王室を離脱したために軍を退役した元王室の一人 (クランクイン!《ヘンリー王子、葬儀での軍服着用について声明発表》[掲載日 2022年9月14日 12:17]) と,不名誉な事情で軍務を解かれた一人 (通夜には軍装を認められたが葬儀では不可) がモーニング・コートを着用して葬列に加わっていたのは,軍装の着用を国王に許されなかったからである.
 さらにちなみに,エリザベス女王の棺を運ぶ葬送隊列の中に,軍装のアン王女の姿があったのは,彼女が王立婦人海軍 (Women's Royal Naval Service;ただしこの名称の組織は,現在は海軍に統合されて現存しない) 最高司令官 (名誉職である) だからである.
 こういうことも英国トリビアであるが,無知な三浦瑠麗は知らないだろうなあ.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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