ロシアのCOVID19状況 侵略戦争と感染症対策
世界のコロナ禍は今どうなっているのか.日本の国民が知りたいと思っていることを,メディアが的確に把握しているのかどうか疑問だ.
例えば,ワクチンの接種がようやく軌道に乗り始めた頃,ロシア製ワクチンと中国製ワクチンの品質 (効力) に疑問が指摘された.
両国の国民も彼らの国のワクチンを信用していないと,西側メディアは報道した.
例えば,読売新聞オンライン《ロシア製ワクチン、WHO承認下りず米への入国許可対象外に…不信感から接種率も低迷》[掲載日 2021年10月20日 06:39] では以下のように報道された.
《ロシアのプーチン政権が、新型コロナウイルスの国産ワクチン「スプートニクV」を世界保健機関(WHO)に承認されず、苦境に立たされている。11月8日に始まる米国の入国規制では、スプートニクVの接種証明は入国許可の対象外で、政権が注力するワクチン外交の打撃になるためだ。露国内ではワクチンへの不信感から接種が伸び悩み、感染状況の深刻化を招いている。
……
露国内ではプーチン政権への根強い不信感もあり、ワクチン接種が低迷している。接種データを集計しているサイトによると、接種を完了したのは19日現在で、総人口の約32%にとどまる。
累計感染者数が世界で5番目に多いロシアは、ここにきて感染状況が最悪になっている。19日発表の過去24時間の死者数は1015人で最多を記録し、新規感染者数も3万3740人と、6日連続で3万人の大台を超えた。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
ロシアのロシアの独立系世論調査機関「レバダ・センター」が四月下旬に調査した結果では,プーチン支持率は82%もある.ウクライナ侵攻支持率は何とまあ74%もあり,圧倒的にロシア政府は国民に支持されている.つまり読売新聞に書かれている《露国内ではプーチン政権への根強い不信感もあり》は真っ赤な嘘である.ロシア国民のワクチン接種率の低いことが事実なら,それは別の原因によるとみていい.
さて昨年秋の時点ではロシアは最悪の感染状況だと読売は伝えたが,今はどうなっているか.韓国の情報サイト“CoronaBoard日本語版”によれば,累計感染者ランキング上位は以下の通り.(7/22現在)
1. アメリカ
2. インド
3. ブラジル
4. フランス
5. ドイツ
6. イギリス
7. イタリア
8. 韓国
9. ロシア
10. トルコ
11. スペイン
12. 日本
以上の感染状況に大きな影響を与えていると考えられるワクチンの接種データを見てみよう.
米国の情報サイト“Our World in Data”によれば,累計感染者が世界最大である米国の必要回数ワクチン接種率は実は67%に達している.これは米国が,ワクチンを接種して感染をまぬがれた人々と,ワクチン接種よりは感染を選択する人々に二分されていることを示しているかも知れない.
それはともかくこのデータベースを基にNHKが集計したところによると,人口100人当たりのワクチン接種回数ランキングは以下の通りである.(特設サイト「世界のワクチン接種状況」7月22日現在)
1. 韓国
2. ベトナム
3. 中国
4. イタリア
5. 日本
6. イギリス
7. ドイツ
8. フランス
9. ブラジル
10. タイ
11. アメリカ
12. トルコ
13. イラン
14. バングラデシュ
15. メキシコ
16. インドネシア
17. インド
18. フィリピン
19. パキスタン
20. ロシア
最新情報は上記のリンク先を確認して頂きたいが,韓国は有効性の確かなmRNAタイプのワクチンを世界で最もたくさん接種しているにも関わらず,感染状況はロシアと大差ない.
ロシアは,世界保健機構が有効性が低いと評価した低品質なロシア製ワクチンを用いて,しかも接種率が非常に低いにも関わらず,韓国と感染状況は大差ないし,米英独仏よりも感染は抑制されている.
どういうわけだ.不思議だ.
マクロ的にもミクロ的にも銃後に憂いがあったりしたら侵略戦争の遂行は容易ではなかろう.ミクロな視点から見ると,例えばもしロシア国内で新型コロナが猛威をふるっていたら,侵略戦争の前線に送り込まれたロシア兵たちは自分の妻子のことが心配で,ウクライナの老人や子供や女性たちをあのように気楽に殺しまくってはいられないはずだ.ロシアの我が家にいる自分の家族が健康で大丈夫だからこそ,ロシア兵は心置きなくウクライナを侵略できるというものだ.
こうしてみると,ロシアが,ウクライナ東部と南部をほぼ完全に制圧掌握できたのは,ロシア内地ではコロナ禍が下火であることが影響を及ぼしていると考えられる.昨年十月の時点で上記の読売新聞記事によれば,ロシアの新型コロナウイルス感染症の累計感染者は世界五位だったが,その後はNATOの中核諸国である英仏独伊よりも感染者は少なくなった.
かつてスペイン風邪は,参戦各国の軍隊において猖獗を極めた.また軍隊を介して,最初の感染例である米国から欧州と全世界に伝播した.軍隊組織は呼吸器感染症に対して脆弱なのである.(参考資料:NHK《映像の世紀 バタフライエフェクト スペインかぜ 恐怖の連鎖》)
それ故プーチンは,ロシア国内の新型コロナ感染拡大が下火になった状況を見て「今だっ!」とウクライナ侵攻を決断したのではないか.
その後はプーチンの目論見通り,ロシアの侵略軍内で感染が拡大した様子はなく,フランスやイギリスの報道記者たちが撮影した映像でも,ロシア兵士たちはマスク非着用である.
欧米のシンクタンクの推計によれば,ロシア兵の戦死は一万人をはるかに上回っている.
ということは,ウクライナ侵略が開始されて以降,ロシア国内の後方部隊から新たに万を超す兵が補充されたはずである.
しかしその補充兵が新型コロナを最前線の部隊に持ち込んで感染を拡大したという報道はない.
欧米のメディアも,日本のメディアも全く無関心のように見えるが,「如何にしてロシア軍はコロナ禍を免れたか」は極めて重要な問題であると思われる.
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ウクライナに自由と光あれ
(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)
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