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2022年7月20日 (水)

反ワクチン&ノー・マスク政党

 参院選の前にNHKテレビの放送をオンにしたら参政党の政見放送をやっていた.
 ちょうど例のインチキ「学者」である武田邦彦立候補者が出てきて,なんだか意味不明なことを語った.
 武田邦彦は,テレビで顔が売れている (フジテレビ《ほんまでっか!?TV》の準レギュラー) ので,学者だと誤解している人が多いだろうが,似非学者,トンデモ学者と呼ぶに相応しい知能レベルの人間である.
 中部大学が武田邦彦を雇っていた理由は不明であるが,武田が在職 (参院選の前に退任) していたおかげで中部大学は誰が見ても三流私立大との評価が確定してしまった.(落選後の現在は客員教授)
 武田のからっぽな頭から出てくるトンデモ発言はWikipedia【武田邦彦】に,テンコ盛りに記述されているのでここでは紹介を略するが,Wikipediaに載っていないバカ発言を一つ下に挙げる.
 武田が《ほんまでっか!?TV》で「病原性の高いウイルスが発生する地域はバナナの栽培地域と重なるので,新型コロナウイルスも起源はバナナ栽培地帯だ」と述べ,「バナナを食べると感染すると言うデマは,このことが根拠になっている」とした.
 もちろん,「病原性の高いウイルスがバナナの栽培地帯と重なる」というのは武田邦彦発のデマである.デマの根拠をデマで解説するという離れ業だ.w
 コロナ禍の初期に「バナナを食べると感染する」というデマが広まった.(産経新聞《「バナナ食べると感染」急速に広がる新型肺炎のデマ》[掲載日 2020年1月27日 17:31])
 たぶん武田の 老いた もといボケた 頭の中には,ある種の糸状菌のためにバナナが枯れる病気である「新パナマ病」(*註) に関する聞きかじり知識があって,どういう思考回路か常識人には理解不能であるが,この「新パナマ病」が新型コロナウイルス感染症と脳内で結びついたのだと思われる.武田にとっては糸状菌もウイルスも一緒くたなのである.武田は高校の生物学の内容ももうわからなくなっていると思われる.
 
(*註) 土壌を介して伝染する植物病原糸状菌が根から侵入して導管を通して侵入し,維管束を破壊して立ち枯れを起こすバナナの病気.
 
 人は老いると独善的妄想にふけるようになる.
 武田個人の公式サイト (現在は更新停止) に《なぜ文化人とマスコミはウソをつくのか?》と題した雑文があるが,この表題は,武田本人は自分を嘘つきだとは思っていないことを示している.同時に武田は,自分は文化人だと思っていないことも示している.もし武田本人が自分は文化人だと思っているなら《なぜ文化人とマスコミはウソをつくのか?》という文章は嘘だということになる.見事な入れ子構造の矛盾撞着で,ここまで立派にボケている人間は珍しい.
 さて,テレビによく出てくる人物で,公然と反ワクチンあるいは反マスクを唱えているのは,武田邦彦の他に三浦瑠麗と古市憲寿と宮根誠司がいる.
 三浦はコロナ禍の初期から「コロナよりインフルエンザの方が危険」と主張し,今もこれを取り下げていない.そして反マスクをテレビで主張している.反マスクの根拠を問われて「マスクをしようが外そうが,感染する時は感染するから,マスク着用は無意味だ」と述べた.(フジテレビ《ワイドナショー》に出演した際にこう述べた;マスク着用には,自分の感染防止のためではなく,公衆衛生的な意味があることを理解していないことを露呈した)
 古市憲寿は,自分が反マスクであることについては,「(自分が) マスクするかしないかはケース・バイ・ケースだ」と述べて,自らの旗幟は不鮮明にしつつ,しかしマスク着用者は批判した.(テレビ朝日《中居正広のニュースな会》での発言)
 宮根誠司は「屋外でマスクをする人としない人が混在するのはトラブルを招くから,政府は屋外ではマスクを外すことを義務付けるべきだ」と述べた.(自らがМCをしている日本テレビ《情報ライブ ミヤネ屋》での発言;日本政府はマスク着用を義務付けていないが,逆に宮根はマスク非着用を義務付けろと主張した)
 テレビでの露出が少ない木村盛世 (元厚労省技官) と岩田健太郎 (神戸大学病院感染症内科) も反マスク論者だが,社会的影響力があまりないからここでは論評しない.
 以上の諸氏は反マスクの立場は明らかにしているが,反ワクチンかどうかはわからない.
 しかしテレビに出演回数が多い武田邦彦は,以上の人々とは異なり,明らかに反ワクチンの立場を明確にしている.それも荒唐無稽な反ワクチン・デマの発信者だ.(*註1)
 
(*註) Wikipedia【武田邦彦】に載っているワクチンに関する武田の爆笑トンデモ主張の抜粋 (以下,文字の着色と下線による強調は当ブログの筆者が行った)
2021年2月12日トモダチTVによるYouTube番組内において、現状のイギリスのワクチン接種状況から考察すると日本の高校生320万人全員にワクチンを接種した場合、確率的に50人が死亡するか、それに相当する副作用に見舞われると発言をしている
今回の遺伝子ワクチンの長期的な副作用として、女性が子供を産もうとした時に不妊になる可能性が否定できず、そして、長期的には体に変調をきたし死亡する場合がある。さらに長期的になると接種された人の遺伝子の中に接種されたウイルス遺伝子が入り込み、それが表に出てくる。例えば子供を産むと子供の手先がウイルスの形をしている場合があると主張している
インドでは糞口感染を引き起こしている新型コロナウイルスが蔓延しているので、強力な生ワクチンがガンジス川にある。ガンジス川の水を汲んできて日本でその水をワクチンとして売る方法もあるとパンデミック収束に対しての解決案を提示した
 
 武田の反ワクチン言説に目を付けたのが,参政党の事務局長である神谷宗幣だ.神谷宗幣は武田邦彦を参院選に担いで,国民の中に,新型コロナウイルス感染症ワクチンに対する恐怖感を煽った.
 しかし役者が悪かった.武田邦彦はトンデモな人物として有名だから,反ワクチン運動を扇動するつもりが,参政党にトンデモ政党というイメージが付いてしまった.
 元々,私たち一般国民が感じている参政党のイメージは「ワクチン陰謀論を煽っている連中」というもので,街頭演説にはノー・マスクの不気味な人々が集まっているという報道を観て知っている.その様子は,健全な良識ある市民には思われない.
 そこへもってきて,ヘイト・スピーチ (*註2) で世人の眉をひそめさせた武田邦彦が参政党から立候補したので,増々参政党のくらーいイメージは増幅した.
 
(*註2) Wikipedia【武田邦彦】から引用する.
2019年8月27日CBCテレビの生放送の情報番組「ゴゴスマ -GO GO!Smile!-」の日韓関係の特集コーナーにて韓国で日本人女性が韓国人男性に髪をつかまれるなどした映像が拡散したことを受け、「路上で日本人の女性観光客を襲うなんていうのは、世界で韓国しかありませんよ」「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しないといかん」などと発言。共演者から「それは言いすぎ」などといさめられた。30日は司会の石井亮次アナウンサーが番組冒頭で「ヘイト(スピーチ)や犯罪の助長を容認することはできません。不快な思いをされた方々におわびいたします」と頭を下げた。》(文字を着色した箇所は大学教員の主張として前代未聞だが,中部大学は不問に付した)
 
 この舌禍事件がまだ忘れられていないのに,武田邦彦を参院選に擁立した参政党は,武田のヘイトスピーチを容認し,参政党は「反ワクチン&ノー・マスク」に加えて「ヘイト」の色付けもされた.
 こうして今回の参院選を迎えた参政党は,以前は神谷宗幣と並んで参政党共同代表だった吉野敏明 (歯科医) の伝手で銀座の高級クラブ経営者である河西泉緒を擁立した.そしてこの女が,参院選の最中に武田邦彦を圧倒するほどの舌禍事件を起こした.通称「夜回り先生」の水谷修氏を誹謗中傷したのである.(デイリー《「夜回り先生に襲われた」発言の参政党・河西氏を水谷修氏が名誉毀損で提訴「子どもたちの心に動揺」》[掲載日 2022年7月19日])
 水谷修氏は参院選終了後にただちに提訴したが,選挙期間中は,警察も軽々に動けなかったという.
 ということは,選挙選中ならデマでも誹謗中傷でも,やりたい放題だということだ.
 水谷氏に訴えられた参政党は,比例代表で当選した神谷宗幣と党代表の松田学,落選した河西泉緒本人が記者会見して,街頭演説中の「夜回り先生」は水谷氏ではない別人だと言い訳した.水谷氏は,そんな言い訳が通用するものかと述べたが,そりゃそうだ.(デイリー《「夜回り先生に襲われた」発言の参政党・河西泉緒氏が釈明 水谷修氏のことではなく「切り取られてしまった」》[掲載日 2022年7月15日])
 これで参政党は稀代のデマゴーグ武田邦彦と嘘つき河西泉緒という二枚看板を党員として抱えるデマ政党となったのだが,今はまだ舌禍を起こしていない党員に,前共同代表である赤尾由美がいる.
 赤尾由美は,昭和史に燦然と輝く道化右翼,赤尾敏の姪だ.必ずや次の選挙では何かしらの問題を起こすだろう.
 こうしてみると参政党は,同じトンデモ体質であるN党の立花孝志あたりと合流する可能性が考えられる.そんなことを想像すると,私たち年寄りは安心して死ねぬ.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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