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2022年6月11日 (土)

鎮痛剤中毒あるいは依存症

 テレ朝news《ワクチン長引く副反応の実態「このまま死んでしまうのか…」体調不良に加え経済負担も》[掲載日 2022年6月10日 23:41] から下に引用する.
 
札幌市でもワクチンによる副作用を訴える人がいます。
 とよひら公園内科クリニック・藤本晶子院長:「“コロナの後遺症”の患者さんを50名くらい診ているが、その人たちと同じような、あちこちの痛み、慢性疲労症候群のような倦怠感、ワクチンの後、そういう症状が続いていたというところで、ワクチンの副反応が続いていると考えた」
 佐藤さん (仮名) 41歳。去年5月、ファイザー社のワクチンを接種。すぐにアナフィラキシーを発症しました。1週間後には、頭痛、全身の痛みやしびれ、倦怠感。徐々に左耳が聞こえなくなり、今はほとんど聞こえません。12月からは動悸も始まりました。今も、痛みで胸や頭をおさえます。朝昼晩、薬は欠かせません。
 佐藤さん (仮名) :「痛み止めだけ処方では間に合わないので、市販で80錠の箱を買っている。一箱で半月分
 休日は、ほとんど寝て過ごしますが、仕事は続けています。
 佐藤さん (仮名) :「見た目としては頭が痛いだけでしょう、疲れているだけでしょう、と。休んでいたら『怠け者だよね』という感じになる」》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 上の引用文中に,ただならぬことが書かれているので,その箇所を着色強調した.
 ワクチン接種が開始された直後,厚労省はQ&Aに,上腕部に鈍痛が生じる副反応に関して推奨される鎮痛剤としてアセトアミノフェンを主剤とする市販薬を例示した (新セデス錠,ナロン錠,ノーシン錠など).
 ところがこれを,ワクチン副反応に対する恐怖心を抱いた市民が「アセトアミノフェン系鎮痛剤しか服用してはいけない」と誤解して薬局に押し掛け,一時的に店頭からこれらが払底するという事態を招いた.
 慌てた厚労省はすぐに訂正し,どこの薬局でも販売している非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs) でも問題はないとした.下に主なNSAIDsを列挙する.
 
【病院で処方される主なNSAIDs】
 アスピリン
 ロキソプロフェン
 ジクロフェナク
 インドメタシン
 メフェナム酸
 スルピリン
 アセトアミノフェン
 その他
【市販薬の主なNSAIDs】
 アスピリン
 イブプロフェン
 エテンザミド
 イソプロピルアンチピリン
 アセトアミノフェン
 その他
 
 冒頭に掲げたテレ朝newsに登場する患者の佐藤さんは《痛み止めだけ処方では間に合わないので、市販で80錠の箱を買っている。一箱で半月分》と述べている.動画を確認すると,佐藤さんが手に持っているのは「バファリンA 80錠入り」のパッケージである.
 恐るべきことに,この人は一ヶ月にバファリンAだけで160錠という大量の鎮痛薬を服用しているのである.
 そこで公式サイト掲載のバファリンAの概要をコピーして下に紹介する.(資料;Wikipedia【バファリン】)

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【バファリンA 製品概要】

[成分 (2錠中)]
 有効成分   アスピリン (アセチルサリチル酸)
 含量     660mg
 はたらき   熱を下げ痛みをおさえます。

[効能]
 (1) 頭痛・月経痛 (生理痛)・関節痛・神経痛・腰痛・筋肉痛・肩こり痛・咽喉痛・歯痛・抜歯後の疼痛・打撲痛・ねんざ痛・骨折痛・外傷痛・耳痛の鎮痛
 (2) 悪寒・発熱時の解熱
 
[用法・用量]
 なるべく空腹時をさけて服用してください。服用間隔は6時間以上おいてください。
 次の量を水又はぬるま湯にて服用してください。
 年齢        1回量  1日服用回数
 成人 (15才以上)  2錠   2回を限度とする
 15才未満    服用しないこと
 
[使用上の注意]
■してはいけないこと(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用・事故が起こりやすくなる)
……(略)
2.本剤を服用している間は、次のいずれの医薬品も服用しないでください
他の解熱鎮痛薬、かぜ薬、鎮静薬
……(略)
4.長期連続して服用しないでください
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 上記の用法・用量によれば,成人では一日に4錠が最大量である.
 ところが佐藤さんは,一ヶ月に180錠を服用している.つまり一日に6錠を服用している.指定量を全く無視しているのだ.
 さらに,ワクチン第一回接種以来ずっと服用し続けているから「長期連用禁止」も無視している.
 これに加えて,佐藤さんのかかりつけ医である「とよひら公園内科クリニック (藤本晶子院長)」が処方した鎮痛剤がある.従って「他の鎮痛剤との併用禁止」も無視している.
 佐藤さんは,なぜこんな鎮痛剤漬けの状態に陥ったのか.まずバファリンの乱用から検討してみる.
 バファリンAの製品概要とは別のコンテンツ《その痛み我慢してない? 鎮痛薬の正しい知識》に次の記載がある.
 
通常、市販の鎮痛薬で耐性はできない
 市販の鎮痛薬※は、用法・用量を守って服用すれば耐性ができることはありません。ただし、月に10日以上飲み続けると、逆に薬剤の使用過多による頭痛 (薬物乱用頭痛) を引き起こすリスクがあります。用法・用量を必ず守って服用してください。※NSAIDs (非ステロイド性消炎鎮痛薬)》(引用文中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
 
 なぜこんな重要な注意事項を [使用上の注意] に記載しないのか,理解に苦しむ.
 新型コロナウイルス感染症のワクチンによる後遺症であると,佐藤さん本人もかかりつけ医師も思い込んでいる症状すなわち《見た目としては頭が痛いだけでしょう、疲れているだけでしょう、と。休んでいたら『怠け者だよね』という感じになる》は,実はバファリンAと「とよひら公園内科クリニック」が処方した鎮痛剤の合計で非ステロイド系抗炎症薬最大用量の実に2.5倍にも達する異常な乱用がもたらした薬物乱用頭痛だったのである.
 おそらく「とよひら公園内科クリニック」の藤本医師は,佐藤さんがバファリンを乱用していることは知らされていない.
 もし知れば,ただちに制止したはずだ.
 佐藤さんは,かかりつけ医師の処方した鎮痛剤は調剤薬局で購入するわけだが,その薬局ではロキソニンを買うことは不可能だ.薬物乱用であることがその薬局の薬剤師にバレることが確実だからである.(第1類医薬品は,薬剤師が対面販売する義務があるため)
 バファリンAは2類だから棚から取ってレジに行けば買えるが,それにしても行きつけの調剤薬局では顔見知りの薬剤師にバレる可能性が高い.
 そうなると別のドラッグストアに行かねばならないが,毎月160錠もの非ステロイド系抗炎症薬を買い続けたら,レジ打ちするだけの店員から見ても不審者間違いなしだ.
 それを避けるために,複数のドラッグストアを使うことになる.
 このような苦労をしつつ,佐藤さんはますます薬物乱用頭痛を激しくしていくのだ.
 
 こんな異常な,特殊な事例を何の不思議もなく報道するテレ朝newsの不見識に呆れる.
 この例は,新型コロナウイルス・ワクチンの後遺症ではなく,それを契機として罹患した薬物中毒あるいは依存症である.
 佐藤さんの異常行動に気が付かなかったかかりつけ医にも多少の責任はあるが,しかし根本的には,第2類の鎮痛剤が存在することに問題がある.バファリンその他を含めて,非ステロイド系抗炎症薬には連用副作用 (乱用頭痛) があるのだから,すべて鎮痛剤は第1類とすべきなのではないか.冒頭のテレ朝newsを視聴してそう確信した.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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