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2022年5月30日 (月)

生姜の味噌漬け [5/30の追記あり]

 生姜の味噌漬けはおいしい.
 スーパーの店頭ではあまり見かけないが,通販にはある.
 例えばアマゾンに出品されているこれ (↓).
 
20220529a
 
 商品説明には《昔造りの本格的な田舎味噌漬です》とあるが,原材料は以下の通り.
 
生姜{国産},味噌・食塩・調味料 (アミノ酸等)・甘味料 (ステビア),保存料 (ソルビン酸K)・着色料 (黄4・黄5)
 
 ステビアにソルビン酸K,合成着色料をぶち込んでおいて,どこが《昔造り》なんだか.現代的製法とでもしなさい.
 この青森屋とかいう店の商品は言語道断だが,合成着色料不使用の他の商品も,ほとんどが保存料を使用している.保存料不使用の味噌漬けもあるにはあるが,その代わりに酸味料を使用しており,嫌な酸味があって不味い.
 味噌漬けの他にも保存料を使っている食品は多いが,それらは本来は保存料を使用しないで作るものだ.それを無理やり商品化するために,保存料を使わざるを得ないのである.
 例えば佃煮は本来,醤油と砂糖,水飴で調味し,水分活性を可及的に少なくして保存性を高めた食品であるが,伝統的製法に従わず,保存料を使用したものがあるので注意が必要だ.
 全国水産加工業協同組合連合会の《安心・安全への取り組み 佃煮の製造工程》には《また、食品衛生法で使用基準のある保存料・ソルビン酸は、佃煮1kgに対してソルビン酸として含まれる量が1.0g以下として規定されているので、計量や混合に際しては正確さが要求されます》とあり,保存料を使用する際の注意点まで書かれている.w
 
 というわけで,生姜の味噌漬けは自作するしかない.
 材料には,冷蔵庫にイチビキの「無添加八丁味噌」とマルコメの「料亭の味 無添加」があったので,これを使う.
 イチビキの「無添加八丁味噌」(*註1) を保存容器に百五十グラムを量り取る.これはちょっと古いせいか硬くなっていたので,味醂 (*註2) 大さじ二杯を加えて練った.本来の八丁味噌は愛知県岡崎市八帖町 (旧八丁町) の二つの製造所 (合資会社八丁味噌, 株式会社まるや八丁味噌) の製品だけであるとされているのは承知の上で,ここでは便宜的にサードパーティであるイチビキの製品も括弧付きの「八丁味噌」とした.八丁味噌のブランド問題についてはWikipedia【八丁味噌】に詳しい.
 次にこれにマルコメの「料亭の味 無添加」(*註3) 百五十グラムを加えて練る.
 下の註にそれぞれの原材料を示す.日本の伝統的醸造食品は原料を海外に頼っていることがよくわかる.
(*註1):イチビキ「無添加八丁味噌」;大豆 (アメリカ産又はカナダ産), 食塩
(*註2):トップバリュ「純米本みりん」;もち米 (タイ産, 国産), 米こうじ (タイ産米, 国産米), 醸造アルコール
(*註3):マルコメ「料亭の味 無添加」;米 (日本又はタイ又はその他), 大豆, 食塩
 
 今回の自家製生姜の味噌漬けに,イチビキとマルコメの味噌を使用したのは,冷蔵庫の在庫整理のためであり他意はない.料理好き諸兄はそれぞれの冷蔵庫の味噌をテキトーに混ぜて使われたい.味噌は,一種類よりも幾つかを合わせるのがおいしいと和田明日香さんが述べておられる.
 さて生姜.
 いま店頭に出回っている新生姜がよい.これをよく洗い,繊維の多そうなところは切り落とす.
 ピンポン玉ほどの大きさにカットして,四~五つを先ほど合わせた味噌に漬け込んで冷蔵庫へ.
 すぐ水が上がって来るので,味噌の上面を厚手のキッチンペーパーで押さえておく.
 冷蔵庫で五日間くらい漬けると食べ頃になる.味見をして丁度よければ,味噌を洗い落として薄く切る.
 熱々の白い飯のおかずに,これくらいうまいものは滅多にない.
 
 残った味噌は,味見しながら砂糖か味醂で甘みを調節して,魚の味噌煮に使う.すぐに使わない場合は冷凍してしまう.
 新生姜のほかに,谷中生姜は元々が味噌と相性の良いものだから,その味噌漬けもおいしい.ただし漬ける時間は短くする.キリリと冷やした焼酎の酒肴に向く.
 
[5/30追記]
 私の郷里である群馬県前橋市には,創業明治二十三年という老舗の漬物屋「たむらや」がある.
 その店の生姜の味噌漬けの原材料を,同社の通販サイトから下に引用する.この商品の賞味期限は商品到着後約二ヶ月という長期間である.
生姜 (タイ),漬け原材料 [みそ, 糖類 (ブドウ糖, オリゴ糖),しょうゆ,米発酵調味液,発酵調味料,りんご酢,酵母エキス] / 調味料 (アミノ酸),酢酸(Na),pH調整剤,唐辛子抽出物,酸味料,ホップ
 この異様に技巧的なレシピを一読して,素朴な漬物のはずの生姜の味噌漬けなのに,ここまでせにゃあかんのかと嘆息せざるを得ない.こんなレシピになってしまったのは《調味料 (アミノ酸)》(←別名「日持ち向上剤」という),《酢酸(Na)》,《pH調整剤》,《酸味料》を駆使して賞味期限二ヶ月を確保しないと商売上の都合が悪いからだろう.
 そして長い賞味期限と引き換えに失った素朴な味わいを《糖類 (ブドウ糖, オリゴ糖)》,《米発酵調味料》,《発酵調味料》,《酵母エキス》等の人工的な食材でコテコテに厚化粧している.私はこの味噌漬けの味をどうしても好きになれない.
 生姜の味噌漬けなんてものは,夏の声を聞いたら出回る生姜を買ってきて,在りものの味噌に漬けて,漬け上がったらすぐに食べればいいのである.しかるに「たむらや」は賞味期限二ヶ月のために本来の味わいを台無しにしてしまった.過ぎたるは及ばざるが如し.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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