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2022年5月 5日 (木)

こんなはずでは /工事中

 おそらくドローンから撮影した映像と思われるが,ロシアの戦車隊がウクライナの都市部で破壊の限りを尽くす様子が,NHK《キャッチ!世界のトップニュース》で時々放送される.
 その映像を観ていて疑問に思うのは,ロシアの戦車兵には経済観念というものが不足しているんじゃないか,ということだ.
 例えば,元々は五階あるいは六階建てだったと思われる集合住宅の周りをロ軍の戦車数台が取り囲み,砲撃によって既にほぼ瓦礫と化している建物を,さらに砲撃している映像だ.彼らロシア兵は,崩壊して誰もいなくなった建物に,なぜ戦車で砲撃を続けるのか.少し考えてみた.
 
 第二次大戦中の独ソ戦で敵味方数千台の戦車と自走砲が激突し,ソ連軍がドイツ軍に莫大な損害を与えたクルスクの戦いで,ソ連軍はドイツ軍を押し返して現ウクライナのキーウを奪回した.
 このような過去の大戦車戦における成功体験からロシア軍は脱却できていないようにみえる.ウクライナ侵攻直後にロシア軍は,戦車とその他の装甲車両を一列縦隊にして,60km以上の車列で街道を進軍したが,これが躓きの始まりだった.
 西側メディアの報道によれば,一列縦隊は機甲部隊による侵攻としては正常ではないという.
 つまり先頭を行く戦車隊が雪解けの泥にはまって立ち往生したあと,この一列縦隊は前に進めなくなったのである.
 しかも,侵攻ロシア軍の主力である大隊戦術群 (BTG) であるが,その欠陥がここで露呈した.
 Wikipedia【大隊戦術群】には,次の記述がある.
 
大隊戦術群または大隊戦術グループは、ロシア陸軍によって展開される高水準の即応能力を保った諸兵科連合機動部隊である。大隊戦術群は典型的には、防空、砲兵、工兵、および後方支援部隊を増強された2から4個中隊の大隊 (典型的には機械化歩兵) から構成され、陸軍守備旅団から形成される。戦車中隊およびロケット砲も典型的にこういった集団を強化する。大隊戦術群は2013年から2015年のロシアによるウクライナへの軍事介入 (特にドンバス戦争) の主力を形成した。
 ロシア国防大臣セルゲイ・ショイグによれば、2021年8月現在で、ロシアはおよそ170個大隊戦術群を有していた。各大隊戦術群は約600人から800人の将校および兵士 (そのうちおおまかに200人が歩兵) を有し、典型的にはおおよそ10台の戦車と40台の歩兵戦闘車を含む車両が配備される。
 
 またBBC NEWS《なぜロシア軍の全長64キロの車列は動きを止めたのか ウクライナ首都近郊》[掲載日 2022年3月4日] は次のように伝えた.
 
巨大車列が止まった理由について、兵站や機械的な問題に加え、ウクライナ軍による予想外の抵抗や、ロシア兵の士気の低さなどが推測されている。
 英政府は、軍用車の故障や渋滞が問題の要因になっているとしている。食料や燃料が不足しているほか、劣化して整備不良のタイヤも問題になっている可能性があるという。
 英軍統合司令部の元司令官、サー・リチャード・バロンズはBBCラジオに対して、「燃料、食料、部品、タイヤなどを輸送するための兵站が、大破綻している(中略)多くの車両が次々と泥にはまって動けなくなり、車両を移動させるのが難しくなった」のだと話した。
 

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