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2022年4月14日 (木)

自由と民主主義の危機

 一昨日の記事《英国は最後まで戦う》に私は次のように書いた.
 
しかも今,中道の現職マクロン大統領は,極右のルペン候補に肉薄されて危うい.ルペンは親ロシアであるから,ルペンが当選した最悪の場合,フランスはロシア制裁から離脱する可能性が出てきた.NATO離脱もあり得る.
 
 仏大統領選の状況を見て嫌な予感がしたので上のように書いたのだが,案の定だ.
 共同通信《「NATO軍事機構を離脱」=ルペン氏が提唱―仏大統領選》[掲載日 2022年4月14日 08:11] から下に引用する.
 
フランス大統領選の決選投票でマクロン大統領と2度目の対決に臨む極右政党「国民連合(RN)」のルペン候補は13日、記者会見し、大統領に就任すれば「北大西洋条約機構(NATO)の統合軍事機構から離脱したい」と述べた。その上で、ウクライナ戦争が終結したらNATOとロシアは「戦略的和解」に至るべきだと主張した。
 フランスでは、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ルペン氏とロシアのプーチン大統領との交遊を問題視する声が高まっている。ルペン氏は会見で、ロシアとNATOの関係改善は「フランスと欧州の利益だ」と強調。ロシアとの協調はフランスの国益だと正当化することで、批判をかわす思惑があるとみられる。
 
 ルペンはEU離脱を以前から主張しているが,それに加えてNATO離脱を公然と口にした.
 もしルペンが当選すると,欧州のど真ん中にロシアの友好国ができることになる.
 ロシアの,ウクライナの次の標的がポーランドであることは明らかだが,前門のプーチン,後門のルペンという情勢になったら,ポーランドは安全保障上で非常に苦しい立場に置かれることになる.
 それどころか,第二次大戦後の国際情勢の枠組が大きく変化することになる.
 
 プーチンだって以前は柔軟な政治家の仮面を被っていた.しかし次第に強権的独裁者としての本性を現わしておぞましい鬼畜となった.
 ルペンもそうなるのではないかと私は思う.極右というのはそういうものだ.ソフトな主張をして大衆に取り入り,次第に権力に接近するのが極右だ.権力を奪取すればあとはどうにでもなる.それが極右だ.
 
 日本のメディアの仏特派員が語るところでは,フランス人は「ウクライナがどうなろうと知ったこっちゃないよ」という傾向があるようだ.
 もしルペンが当選してフランスが反ロシア包囲網から離脱すると,米国のロシア経済制裁方針は破綻する.そうなるとロシアのポーランド侵略が,にわかに現実性を帯びてくる.
 そんなことになっても平気なのか,フランス人!と世界の人が詰問しても,我関せずというのが現在のフランスだろう.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)

 
 

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