「プーチンの正義」を小原ブラスは語った
在日ロシア人でタレントの小原ブラスは,いわゆる「プーチンの正義」について語った.
神戸新聞NEXT《ロシア出身、姫路育ちの小原ブラスさん ウクライナ侵攻に「未来考え、世論つくることが大切」》[掲載日 2022年4月4日 08:30] から引用する.
《例えば『ウクライナの民間人が犠牲になっている』という事実を一つとっても、西側は『ロシア軍の攻撃によって亡くなった』と伝えている。一方、ロシアは『ウクライナ軍が人間の盾として民間人を使い、犠牲になった』と報じている。一つの出来事が全く違うものとして、捉えられています。私たちの視点が正しいかどうか、別の見方があるということを常に意識しておくことが必要です。》
事実と「視点」とやらを一緒くたにしてしまう知能程度では,どんなデマでも正しいことになる.
欧米メディアの取材者が撮影した映像を私は観た.ブチャの道路に放置された遺体があった.
その死者は,犬のリードを繋いだ自転車に乗って,犬の散歩に出たところを射殺されたものと考えられた.
横転した自転車にリードを繋がれたままの犬は,帰らぬ主人の側に伏せの姿勢で待ち続けていた.また散歩に連れて行ってもらえるのを,何日も何日も.その映像を観て,私は泣いた.
小原ブラスは,自転車に乗って散歩にでた市民を「人間の盾」だという.小原が言う「人間の盾」は散歩をするというのだ.
別の取材者に対して,ブチャで生き残った老婦人は「市民たちが建物に集められ,そこに立て籠もったロシア兵がウクライナ人を無差別射撃した」と証言した.
小原ブラスよ,これを人質=人間の盾と呼ぶのではないのか.
私たちの健全な常識では,「視点」は複数あっても,事実は一つだ.
しかし小原ブラスは「視点」ごとに別の「事実」があると言う.それを「プーチンの正義」と呼ぶのだ.
《いつかロシアが自由な国になったら、思い出の場所を訪れてみたいです》
ロシアは,中世以来このかた,一度たりとも自由の国であったことはない.
かつてはロシア皇帝が農奴を暴力で支配した.次は共産党書記長という皇帝が暴力で市民と農民を支配した.
大統領制が敷かれたあとは,大統領が独裁する国となった.
これからもロシアは,大統領という皇帝が支配する国であり続けるだろう.
いずれの日にかプーチンが倒されるのも暴力によるに違いない.そして今度は将軍という皇帝が独裁する.
かくも暴力で血塗られたロシアの地で「自由」なのはロシア人だけだ.小原ブラスは,そこで思い出にひたるがよい.
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