ドレッシングで炊き込み御飯は無理がある
先日 (3/15) 放送されたテレビ朝日《家事ヤロウ》で,食品会社数社が,自社製品を使用した炊き込み御飯を競作した.
バカリズム,カズレーザー,中丸の三人がその中で一位に推したのは,ピエトロが提案した「きのこの洋風炊き込みごはん」である.
三人が口を揃えて「んまっ」と絶賛したので,炊き込み御飯好きの私としては是非とも食べてみたいと思った.
レシピ掲載ページはここ.下に材料表を引用する.
材料(2~3人前)
ぶなしめじ 1/2袋 (50g)
舞茸 1/2袋 (50g)
米 2合
ピエトロドレッシング 和風しょうゆ 大さじ5
粉チーズ 適量
パセリ 適量
作りかたで,特に注意すべきことはない.
米には,使い慣れた山形のつや姫を使用した.
食べてみた結果,残念ながら,おいしいとは言い難いものができた.
まず,具材のキノコが少なくて貧相である.
次に,ピエトロのドレッシング大さじ五は,油を入れすぎである.
炊き上がると,炊飯器の内釜の壁は油でギトギトになっている.
キノコ御飯を器に盛り,食べ終わるとその器も油ぎっている.
この油まみれ状態のために,炊き込み御飯の食味はかなり落ちていると言わざるを得ない.
私は食用油製造会社の研究員だったので,米に食用油を加えて炊飯したときの飯粒の状態を顕微鏡で観察したことがある.
炊飯時に加えた油脂は,炊飯後は飯粒の表面を均一一様にコーティングしているのではなく,油滴となって付着している.
そして油脂の量を増やしても付着する液滴は増えずに,大きい油滴となって飯粒から分離してしまうのである.これが油ギトギトになってしまう理由だ.
もし油を多く入れた炊き込み御飯を作りたいのであれば,元々が固体の油と水との乳化物であるマーガリンやバターのほうが,油滴となって分離しにくいため,ドレッシング用の液体油よりも適している.
つまり,分離型ドレッシングであるピエトロのドレッシングでおいしい炊き込み御飯を作るのは,最初から無理があるのだ.(サラダドレッシングには,フレンチドレッシングのように油と水が分離している分離型ドレッシングと,クリームのように乳化していて分離しない乳化型がある)
言わずもがな,ピエトロのサラダドレッシングは,野菜にかけて食べるのがおいしい.それを目的として研究開発されたものなのである.手に取るなやはり野に置け蓮華草.ちょっと違うな.まあいいや.
というわけで,私が提案するキノコ御飯は以下の通り.
材料(2~3人前)
ぶなしめじ 1/2袋 (50g)
舞茸 1袋 (100g)
エリンギ 大きいのを1本 (切手大にスライス)
米 (無洗米つや姫) 2合
白醤油 (盛田 特級) 大さじ2
粉末昆布出汁 (リケン 素材力だし) 1スティック (5g)
切れてるバター 2個 (16g)
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