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2022年3月26日 (土)

自分しか信用しない老人にならぬように心したい

 AERAdot.《なぜ大半のロシア人は政府を信じてしまう? 下重暁子「素朴で人がいいが…」》[掲載日 2022年3月25日 07:00] から下に一部を引用する.
 
戦争が終わった後、日本では昨日まで「天皇陛下万歳」と言っていた先生や親など大人たちが、突然これからは民主主義だと言い始めた。その時から私は自分で見たり考えたりしたこと以外信用できないと知った。
 
 終戦時に下重暁子さんは九歳であった.国民学校初等科三年生だ.
 いくら下重さんが幼少時から利発な子であったとはいえ,九歳の子が,天皇陛下万歳だとか民主主義だとか,さらには《その時から私は自分で見たり考えたりしたこと以外信用できないと知った》などと哲学的なことを考えるものだろうか.
 人は,他人の経験を我がものとすることができる.これが学ぶということである.
 しかし下重さんの《その時から私は自分で見たり考えたりしたこと以外信用できないと知った》は,おそらく「構成的記憶」である.学んだのではなく,あとから「あの時,私はこう思った」はずだと思い込んだのだ.
 悲しいことに,自分で自分の記憶を捏造してしまうことは,よくあることだ.
 最も有名な例は,妹尾河童 (昭和五年生まれ) の書いた『少年H』である.
 この『少年H』に書かれていることは,山中恒によって妹尾の捏造であることが実証されたのであるが,山中による反証がなかったら,書いてあることは事実とされた可能性が高い.(山中恒『間違いだらけの少年H―銃後生活史の研究と手引き』)
 Wikipedia【少年H】は,この件について次のように記している.
 
作品に対する批判
 同世代で児童文学作家の山中恒は、「作中に夥しい数の事実誤認や歴史的齟齬がみられること」や、「主人公やその家族の視点が当時の一般的な日本人の感覚から大きく乖離していること」、「戦後になるまで誰も知らなかったはずの事実をまるで未来からでも来たかのように予言していること」、さらに「自身が編纂に関わった書物の記述がその誤りの部分も含めてまるごと引用されている点」などを自著『間違いだらけの少年H』で指摘し、『少年H』は妹尾の自伝でもなんでもなく、戦後的な価値観や思想に基づいて初めから結論ありきで描かれた作品であると看破し、「年表と新聞の縮刷版をふくらませて作り上げたような作品」「戦争体験者の酒の席での与太話を小説風にまとめただけのもの」と酷評した。さらに、2001年(平成13年)に山中は『「少年H」の盲点』という批判書を出版した。
 妹尾はあくまでも「自らの記憶と体験を元に書いた作品である」との主張を撤回してはいないが、山中の挙げた具体的な誤りや欺瞞の指摘に対しては口を閉ざし、一切の反論を行っていない。ただし『少年H』の文庫化に際しては、山中に指摘された部分を中心に何箇所もの訂正や変更、削除などが行われている。
 
 下重さんよりも年上の妹尾河童でも,少年がそんなことを考えるはずがない,と実証的に批判された.ましてや幼い下重さんにおいてをや.
 下重さんだけではない.『少年H』の帯に推薦文を書いた立花隆,澤地久枝,椎名誠らも,妹尾河童と同じく戦時中の自分の記憶を捏造してしまった人々である.(というか,昭和十五年生まれの立花隆と昭和十九年生まれの椎名誠は妹尾とは世代が違うのに,たぶん『少年H』を読まずに推薦した w)
 また『少年H』とは別のことだが,下重さんとは別の作家が全く同じこと《……自分で考えたりしたこと以外信用できない》と書いているのを読んで,その人の経歴をWikipediaで調べたら,その人は終戦時に三歳児だったことがある.w
 記憶というものにはこういうことがあるので,私は自分がはっきり記憶している (と思い込んでいる) ことをブログに書く際にも,念のために資料を調べる.
 そうすると自分の記憶違いを発見することがあるので,そういう確認の習慣は大切だと思う.
 
 ところで下重さんは,このAERAの記事の中で《国連は何をしているのか。常任理事国にロシアのいる安保理決議は難しいとしても、総会の賛成多数で採択したはずの非難決議は何の効力ももたないのか》と書いている.
 先日 (3/3) に国連総会で採択されたロシアに対する非難決議は,「ロシアを従わせる」という意味では効力を持たない.
 その意味では「効力はない」が,世界中の諸国に自由主義諸国が大切にしている価値観をアピールする上で非常に有効であった.
 またこの決議によって,中国やインドなど帝国主義国家ならびにその衛星国家と,その他の民主主義国とを,私たちは峻別することができた.
 そんなことはNHKの報道をきちんと観ていれば,いやというほど理解できる.しかるにいまさら《何の効力ももたないのか》などと,何とまあ寝ぼけたことを言っているのか,この人は.
 必要な情報を自ら遮断して《自分で見たり考えたりしたこと以外信用》しないから,この体たらくなのである.いい歳をして情けないことだ.
 
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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