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2022年3月 9日 (水)

ロシアの非人道回廊

 耄碌するに従い人間は,知識や経験を新しい順に忘れて行き,最後は古い思い出の中に生きるようになる.
 プーチンがそれだ.
 いまプーチンの頭の中には,第二次大戦におけるソ連の成功した作戦が,昨日のことのように思い出されているに違いない.
 おそらくその一つは,カティンの森事件だ.
 
 第二次大戦の初期,ナチス・ドイツとソ連は結託して,ポーランドを侵略した.ソ連は,捕虜にしたポーランド軍兵士を,最初から生かしておくつもりはなかった.
 そこで悪魔のような計画が作られた.ポーランド人捕虜を虐殺し,それをナチス・ドイツがやったことにするのである.
 Wikipedia【カティンの森事件】から下に引用する.
 
ポーランド人捕虜はコジェルスク、スタロビエルスク(英語版)、オスタシュコフの3つの収容所へ分けて入れられた。その中の1つの収容所において1940年の春から夏にかけて、NKVDの関係者がポーランド人捕虜に対し「諸君らは帰国が許されるのでこれより西へ向かう」という説明を行った。この知らせを聞いた捕虜たちは皆喜んだが、「西へ向かう」という言葉が死を表す不吉なスラングでもあることを知っていた少数の捕虜は不安を感じ、素直に喜べなかった。彼らは列車に乗せられると、言葉通り西へ向かい、そのまま消息不明となる。
 
 プーチンのロシアは,スターリンのソ連の直系だ.ソ連以来のロシア伝統のやり方は,ただ普通に人々を殺すのではない.騙した挙句に殺すのである.
 プーチンが提案した「人道回廊」はロシアに続いている.ウクライナ人たちをそこで待っているのは強制収容所だ.
 強制収容所に集められたウクライナ人避難民は殺戮され,穴に放り込んで埋められ,行方不明とされるだろう.
 プーチンは「行方不明のウクライナ避難民は,フクライナ政府の謀略で殺された」と宣伝するに違いない.カティンの森の再現だ.
「カティンの森事件」の真相を知っている私たちは,プーチンに騙されないが,耄碌したプーチンは「この作戦はうまく行く」と思っているだろう.プーチンの頭の中はスターリンの亡霊が占領しているからだ.
 
 ゼレンスキー大統領は「プーチンの人道回廊」を拒否し,徹底抗戦を宣言した.
 テレビのコメンテーターである橋下徹と玉川徹は「命を守るのが大事だ」という名目で,ウクライナはロシアに降伏すべきだと主張している.
 しかし降伏したらどうなるかを欧州の人々は知っている.ウクライナの人々は捕らえられて過酷な強制労働をさせられるのだ.
 そして働けなくなったら銃殺される.それが第二次大戦以来のソ連=ロシアが捕虜を遇するやり方だと,私たち日本人は身に染みて知っている.私たちは,シベリア抑留で無念の死を死んだ日本人約五万八千人を忘れない.
 おそらくそれを遥かに上回るウクライナ人を,プーチンは殺すつもりだ.第二次大戦後最大のジェノサイドが予定されているに違いない.
 
 ゼレンスキー大統領は昨日,英国下院においてリモートの演説を行い,徹底抗戦を表明した.
 その演説でゼレンスキー大統領は,1940年6月4日の英国下院におけるチャーチルの演説 (“We Shall Fight on the Beaches”の演説名で知られる) の最期の部分にある表現“We Shall Fight”の反復を借りた.
 チャーチル演説の終わりの部分を下に記す.(音源は《YouTube;Winston S Churchill: We Shall Fight on the Beaches》にある)
 
 Even though large tracts of Europe and many old and famous States have fallen or may fall into the grip of the Gestapo and all the odious apparatus of Nazi rule, we shall not flag or fail.
 We shall go on to the end, we shall fight in France, we shall fight on the seas and oceans, we shall fight with growing confidence and growing strength in the air, we shall defend our Island, whatever the cost may be, we shall fight on the beaches, we shall fight on the landing grounds, we shall fight in the fields and in the streets, we shall fight in the hills; we shall never surrender, and even if, which I do not for a moment believe, this Island or a large part of it were subjugated and starving, then our Empire beyond the seas, armed and guarded by the British Fleet, would carry on the struggle, until, in God's good time, the New World, with all its power and might, steps forth to the rescue and the liberation of the old.
 
 今朝のNHKのニュースはゼレンスキー大統領の徹底抗戦宣言を報道した.ニュース画面に映し出されたゼレンスキー演説を聴く下院議員たちの厳粛な面持ちが印象的であった.
 

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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)

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