マンガ作者と読者の交流
先週掲載した記事《焼夷弾の思い出》[掲載日 2022年3月7日] に次のように書いた.
《「大吉じいちゃん」はねこまきさんの父上がモデルとのこと.作品に描かれた戦時中のことは,父上から伝えられた知識に基づいていたのであった.これで大いに納得がいった.》
ところが『ねことじいちゃん』を順次読み進んでいったら,第五巻の巻末に,逝去なさった工藤孝夫というかたへの謝辞が掲載されていた.
作者のねこまきさんは工藤さんのブログの読者で,工藤さんが体験した戦争のことや若い時の暮しに想を得て,第三巻以降の作品中に取り入れてきたのだという.作者と工藤さんに直接の交流があったかどうかは書かれていない.
もちろん焼夷弾消火訓練のことは,ねこまきさんの父上からの聞き伝えもあるだろうが,他にも作品の時代考証にブログなどの情報を用いたらしい.
マンガは,普通は作者が一人で創作するものだろうが,こういう描き方もあるようだと私は初めて知った.
それはこのブログで何度か取り上げた『夜回り猫』も同様で,その作者の深谷かほるさんは,交流のある読者の実体験を作品に採り入れていると明記している.
アマゾンの『夜廻り猫』レビューを読むと,深谷さんの創作方法を批判する人がいるが,私はよいと思う.むしろ作品に深みが出るように思うのである.
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