持続可能でない調理ツール
ロケットニュース24《【ズボラ速報】ニトリの「まな板シート」が時短に便利! 「フライパン用ホイル」と合わせれば洗い物ゼロに》[掲載日 2022年2月28日 08:00] に料理の際の便利アイテムのことが書かれていた.筆者は御花畑マリコというひと.
《いきなりですが、洗い物って面倒くさくないですか。あ、「べつに面倒くさくない」という人はここから先は読まなくても大丈夫です。
近頃、ニトリやカインズで話題になっている「まな板シート」って知ってます? 名前のとおり、まな板に敷く使い捨てシートなんですけど、これがめっちゃズボラの料理に便利なんですよ!》
《シートとホイルを捨てるだけで、食べ終わってもまな板もバットもフライパンも皿もピカピカのまま! なんと洗い物は包丁と箸だけで済みました。
「まな板シート」と「フライパン用ホイル」があれば洗い物がめっちゃ減って時短にもなるのです! オーッホッホッホ!》
《ちなみに、まな板シートは頑丈なので何度か洗って再利用できるけど、お肉や魚などのナマモノを切ったあとは廃棄推奨とのこと。》
今シーズン限りで放送終了した番組のテレビ朝日系《芸能人常識チェック》で,芸能人の皿洗いのやり方をチェックしたことがあった.
この放送では,他の番組では「おばか」枠に入っているダレノガレ明美さんが,見事な手際で汚れた食器を少ない水で洗い上げ,視聴者の好感度を大きく上げたのが話題となった.実は私も彼女の手際のよさを見て驚いたのであったが,彼女の言によれば父親に躾けられたのだという.なるほど.(まいじつ《『トリニク』ダレノガレ明美の好感度“V字回復”?「ギャップが最高」》[掲載日 2021年6月2日 11:03])
ダレノガレさんと同じく「おばか」枠に入っている『AKB48』の柏木由紀さんは,大量の水を使ってなお皿をきれいに洗えなかったのだが,由紀さんのファンがそんなことで動じるはずはなく,「そこがまたかわいい」として,ゆきりんの高い好感度は揺るがなかったという.よかったよかった.
で,ダレノガレさんがその時に披露した皿洗いのやり方は,まず皿の激しい汚れを紙で拭き取ってしまうということであった.
これはよく知られた家事の基礎知識であり,ダレノガレさんは知識をちゃんと実行できるということなのである.
私の場合は,使い捨てる紙を工夫している.基本的には安いトイレットペーパーを使う.固い脂汚れを拭き取る場合は破れにくい「ペーパーふきん」とか「ペーパータオル」と呼ばれている紙を使う.鶏のもも肉を焼いたときのように溶け出た脂肪の量が多いときは,調理の時に肉や魚の水気を除くのに使用する厚手でふわふわした紙を使う.これはどの家庭でもやっていることに違いない.
さて御花畑マリコさんは「まな板シート」と「フライパン用ホイル」を推奨しているが,二つとも,私も使っている.
レビューは,まずはフライパン用ホイルから.
これはいくつものメーカーから発売されていて,フライパン用アルミホイル,フライパン用シートの名称も使われている.
性状は一般品のアルミホイルよりも厚手である.「フライパンを汚さない」という目的を達するためには,もちろん普通の薄いアルミホイルでも使えるのだが,箸の先で突っつけば簡単に破れるので厚いほうがいいのだ.
それに,薄いホイルだとフライパンに密着しにくい.アルミホイルとフライパンの間に空気が入ってしまうと,熱が伝わりにくいのだ.
使用法だが,フライパン用ホイルを必要な大きさにカットし,フライパンに載せて上からグッと押さえると,フライパンとの密着度が高まる.
これがうまくできたら,ホイルの上に鮭の切り身とかステーキとかの食材を置いて,焼けばよい.
使い方はそれだけ.というか,それしかできない.野菜炒めや焼きそばのように,箸やフライ返しで混ぜる操作が要る料理には全く使えない.ホイルが動いてしまって,熱の伝導が行われなくなるからだ.
魚はどうか.家庭で魚を焼く道具として優れているのは,ガスのグリル,魚焼き網などの直火で焼く道具だ.切り身でも丸々と太ったイサキでも,何でも焼ける.
しかしフライパンで魚を焼くには,切り身のように裏表が平面であることが必要だ.ワタ抜きしただけのイサキは全く焼けないし,身の厚い金目の開きのようにフライパンと接触する平面がないものは焼けないわけじゃないが,すごい時間がかかる.
こういう形の魚は,仕方ないからフライパンにフタをして蒸し焼きにするしかない.当然味は落ちる.
このようにフライパン用ホイルが使える調理シーンは多くない.しかし鶏のもも一枚を焼く場合は,皮側を下にして,鍋の底などで押し付けるようにすると,接触面積が増えるのでうまく焼ける.
以上,要するにフライパン用アルミホイルは,使い道を間違えなければ,使用に充分耐える.
これを使うメリットの一つは,いやメリットというのは言葉としてヘンだが,クシャクシャに丸めてしまうとすごく小さくなるので,ポイと捨てても資源を捨てる罪悪感があまりないことだ.
さてもう一つの,まな板シート.
メーカーによって多少の違いがあるようだが,厚みが1mmくらい.材質は,よく売れているカインズの製品は ポリエチレン酢酸ビニル樹脂である.(通称は「エチレン酢ビ」)
この製品,シートとはいうものの,かなり硬い.ま,そうでなければ包丁で簡単に切れてしまうわけだが.
おまけに厚い.
これが何を意味しているかというと,まな板シートとは薄いまな板なのである.
フライパン用アルミホイルのように,くしゃっと丸めて捨てられるようなものではないのだ.
台所から出るゴミのイメージからはかなり遠い.
ゴミを捨てる際に,諸兄は「減容」を心掛けておられるはずだ.何もせずに無神経にゴミ袋に詰め込むと,回収のコストが大きくなるのである.
しかしまな板シートは,丸めただけでは見かけ体積が大きくて,減容しにくいことこの上ない.
そこで鋏でチョキチョキ切ったりするのだが,非常に面倒だ.しかも,そのような作業をしていると,資源を捨てる罪悪感がどんどん胸に蓄積してくる.
というわけで,私はまな板シートを買ってはみたものの,まだ数回しか使用していない.まな板を使うたびに洗剤で洗い,消毒しているほうが気が楽だ.いわゆる「持続可能」な道具ではないまな板シートは,お勧めしない.
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