無知では上手な嘘をつくことができない
オトナンサー《コロナ禍で旅行や外食を我慢…「欲求を感じない」状態で大丈夫? 精神科医に聞く》[掲載日 2022年2月6日 14:10] がおもしろかった.記事の冒頭を引用する.
《長引くコロナ禍で、趣味や旅行、家族や友人との外食などを「今は我慢の時期」と自粛する期間も長期化しています。いわば、自分の興味や「これがやりたい」という動機を抑制し続けている状況下において、「自粛が当たり前になってしまったからか、『これがやりたい』という気持ち自体が起きなくなった」「物欲や食欲が、コロナ前より明らかに少なくなった」など、さまざまな「欲求」を感じづらくなったという人も少なからずいるようで、ネット上では共感の声が上がる一方、「“コロナうつ”の前兆では?」と指摘する声もあります。》
上に紹介したオトナンサーの記事の趣旨は「コロナ禍前後を比較すると人々の様々な欲求が減退したが,これは“コロナ鬱”の前兆ではないかとの指摘がある」だ.
この話は初耳だったので,ウェブ上の情報を丁寧に調べてみたが,そもそも「コロナ鬱」なんてものは存在していないのである.
医学的な意味のある用語ではなく,そういう風評があるに過ぎない.
オトナンサー編集部は《と指摘する声もあります》と言うが,私が調べた限り,そんな《声》は一つも見つけられなかった.
寝ぼけて夢でも見たのではなかろうか.
そのため,精神科専門医の田中伸一郎医師にインタビューをする編集部員は,なんとかして「欲求の低下が鬱に繋がる」というオトナンサーの主張に賛同してもらおうとするのだが,田中医師は次のように述べて,全く誘導に乗らない.
《欲求不満に陥るとメンタル不調が生じますが、いきなりうつ病を発症することはありません》
《刺激が減って欲求がなくなってきたとしても、常にうつ病を発症するわけではないということです》
《個人の資質によってはうつ病を発症することはあるでしょう。この辺りのことは、専門医でも判断が難しいところです》
捏造情報を用いて医師から言質を引き出そうとしたオトナンサー編集部は,火の無いところに煙を立てることに失敗し,一敗地にまみれたわけだ.w
もっともらしいデマをでっち上げるには,それなりの知識と頭脳が必要だということである.
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