ダメひなた
NHK朝ドラ《カムカムエヴリバディ》は「ひなた編 (京都編)」のまだ前半だが,るいの娘のひなたがダメ女として育ちつつある.
小学校の授業中には居眠りはするし,妄想にふけるし,夏休みの宿題はひとに手伝ってもらい,朝のラジオ体操は皆勤できなかった.
るいは,自分の子供時代を思い起こして,なんとか真人間に更生するように叱るのだが,これを父親の錠一郎が邪魔する.
ひなたがダメ女になりつつあるのは,誰あろうこの錠一郎のダメ遺伝子を受け継いだからである.
「るい編 (大阪編)」で,ジャズのトランペット吹きだった頃の錠一郎はさっそうとしていた.赤いステージ衣装もキマッていた.
ライバルのトミーは錠一郎の才能を高く評価し,錠一郎が奇病でトランペットを吹けなくなった時には,親身になって治療法を探してくれた.
錠一郎を愛してしまったるいは,音楽の途に挫折して入水しようとした錠一郎を抱きしめて「こわがらんでいい,わたしがまもる」と言ったが,しかしこれが誤りの始まりだった.
るいと錠一郎の共依存が始まったのである.
その後,るいに寄生して生きるヒモの錠一郎は,遊び呆ける娘のひなたを叱るるいに「勉強なんかしなくても困らない」と言い放つ.
《あんなに強く言わんでもええんちゃう?
僕も学校の勉強はろくにせんかったよ
でもるいみたいな人がお嫁さんになってくれた
何にも困ってへんよ》
お嫁さんとは何だ?
働きもせず家事もせず女に寄生することを恥じぬ錠一郎に,一方的に尽くするい.
そのるいに寄生できるから,自分は「何も困ってへん」と錠一郎は言う.男に寄生された女の不幸は思慮の外にあるのだ.
それがヒモの「お嫁さん」だ.
こういうロクデナシの父親にかわいがられて育ったひなたがダメになるのは,現実的にはお約束の展開だ.
私はいわゆる団塊世代で,私と同世代の女子たちは「将来はなんになるの?」と訊かれると「お嫁さん」と答えることが少なからずあった.
しかし,私よりも一世代下に生まれたひなたと同世代の女子たちは,自分がなりたい職業を答えたはずである.ヒモの「お嫁さん」になりたい女子は独りもいなかったに違いない.
彼女たちの夢は,いわく看護婦さん,幼稚園の先生,スチュワーデス,美容師さん,女優 etc.
このドラマの脚本家は,戦後昭和の女性たちの時代精神,男に頼らずに自立しようとした心意気を何一つ描こうとしない.むしろ女性の敵でありロクデナシの錠一郎をよい父親として描いている.これが脚本家から視聴者へのメッセージだ.
明日以降の放送では,話の辻褄合わせ (ばら撒いた伏線の回収) がめんどくさくなった脚本家が時を一気に進めて,ひなたの小学生時代は終わり,高校生になったという設定だそうだ.自堕落ゆえに何事もなく終わってしまったひなたの切ない初恋はどうするんだ.w
高校生三年生になっても,同級生たちが自分の将来をしっかりと見据えている中で,しかしひなたは,自分がこれからどんな者になりたいのか全く考えずに,のんべんだらりと高校生活を過ごした.
もう残り放送時間は二ヶ月ないのだが,ひなたは真人間に立ち直れるのか.期待せずに待て.w
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