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2022年2月 6日 (日)

インチキ蕎麦 /工事中

スーパーで最も高価な生そば。安曇野麺匠「信州安曇野道祖神そば」に惣菜コーナーのかき揚げを乗せて食べてみた感想》[掲載日 2019年11月19日] を読んで,愚かな消費者が馬鹿なことを書いていると思った.
 この記事を書いたのは「ななし」というペンネームの人で,自己紹介欄に《関東在住、アラフォーニートの独身女子(?)です(^v^)。笑って言うことじゃねーだろって気もしますが、究極の自由人として人生を謳歌中。 学生時代の偏差値は測定不能か38前後をウロチョロしていました》と書いている.まあそのような偏差値レベルの記事だ.
 
二食で三百円超えなだけあり スーパーの他の安価な商品と比べ しっかりそばの味がする。好みでかき揚げなどを加えるとなお美味しい。トッピング次第では、駅中にある蕎麦屋の味を軽く凌駕する。
 
 この人が絶賛している「信州安曇野道祖神そば」は,スーパーでよく見かけるインチキ&ボッタクリ食品である.
 加工食品を購入する時は必ずパッケージの裏面に印刷されている「原材料」表示を読まねばいけない.
 これを読めば,大抵のインチキ食品に騙されることはなくなるからである.(「大抵の」と書いたのは,食品業界の内実を知らないと騙されることがあるから)
 まず,製造者である「安曇野麺匠」の公式サイトを見てみよう.トップページに次の文言が掲載されている.
 
MESSAGE
 美しい自然が産み出す本場安曇野からの信州そば。当社では、添加物、合成保存料を一切使用せず、安曇野ならではの信州そばを自信を持ってご提供しております。信州そば品評会において数々の賞を頂きました。「信州安曇野道祖神そば」「信州安曇野山麓そば」と銘打ち、包装に工夫を凝らし、「生そば」を冷蔵庫保存で二週間の賞味期限を可能にしました。
 
 次に「信州安曇野道祖神そば」の商品情報欄を調べる.すると下の画像に《330円 (税込)》と価格が書かれているだけで,他に何の情報もない.
 
20220207a
 
 食品の特性における安全情報の重要性は改めて言うまでもない.
 安全性情報とは,原材料とアレルギーに関する情報である.
 しかるにこの安曇野麺匠という製造者は,宣伝文句には《当社では、添加物、合成保存料を一切使用せず》と書きながら,使用原材料もアレルギー情報も商品情報に掲載していない.こういうことをする業者は,まず間違いなく「掲載したくない」から掲載していないのだ.隠したい,ということである.
 しかし実際の商品のパッケージには,原材料表示等が法で義務付けられているので,隠したくても書かざるを得ない.
 そこで,安曇野麺匠とやらが消費者の目から隠したいと思っている原材料表示を,実際の商品から下に転記する.
 
原材料:(そば) そば粉,小麦粉,小麦蛋白食塩 
 
 蕎麦 (蕎麦切り) という伝統食品は,蕎麦粉と「つなぎ」を原材料とする.(ただし十割蕎麦は蕎麦粉だけで打つ)
 つなぎには一般には小麦粉を使用するが,海藻類やを用いることもある.(ex. 越後のへぎ蕎麦など)
 では,なぜ「信州安曇野道祖神そば」には,伝統的な「つなぎ」ではない小麦タンパクと,本来は蕎麦に添加しないはずの食塩が添加されているのか.
 
 昔から,うどんには,ふんわりと柔かな食感のもの (大阪のうどん,博多うどんなど) と,小麦タンパクと食塩でグルテン形成させて強い「コシ」を示すものがあった.
 それが,讃岐うどんブームの頃から,消費者が強い「コシ」のうどんを好むようになった.
 今では,テレビのグルメ番組では麺類に「コシがある」は誉め言葉になっている.口の悪い人は博多うどんを「腰抜けうどん」とか「弱腰うどん」などと貶すありさまだ.
 そして,そんな風潮が蕎麦に波及した.
 蕎麦粉よりも,本来は「つなぎ」である小麦粉を多く配合し,うどんと同じ食感を消費者が求めるようになった.蕎麦 (蕎麦切り) はいつの間にか「よく噛んで食べる」ものになったのである.
 ではあるが,これは好き好きであって,普通の二八
 

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