不届きな薬剤師は「成分が同じなら…」と言う
注文してあった新潮社の雑誌『波』の古書が届いた.
その中に新刊紹介ページがあり,久里建人氏という薬剤師が自著「その病気、市販薬で治せます」(新潮新書,2021/6/17) を解説していた.
その一部を下に引用する.
《言うまでもなく、薬は成分で選ぶもの。成分が同じなら、効果は同じです。》
薬学の教育を受けたはずの薬剤師が,こんな阿呆なことを書いていることに,私は腰が抜けるほど驚いた.
医薬品の効果は,成分の他に,その薬物の効果が十分に発揮できるような製剤設計と調製方法によって左右される.成分以外のファクターについて研究する製剤学という分野があるくらいだ.
また,製剤設計が適正であっても,実際の医薬品製造にあたっては品質管理の方法論と技術が極めて重要である.
例えば昨今続いているジェネリック医薬品 (後発薬) メーカーの不祥事は,低レベルの製剤設計と不適切な品質管理,無能な作業員等に起因している.
だから私は,長年にわたり信用を得てきた製薬企業の製品を選んで購入している.そして適切な選択をするための勉強も怠らない.
その私に向かって「こっちのお薬がお安いですよーん」などと常套句をぶちかましてくるタワケな薬剤師がいる薬局には行かぬことにしている.
余談だが,藤沢駅の南口から歩いてすぐのところにあるH薬局で,処方箋を出して薬を買おうとした.この薬局は初めてであった.
すると五十がらみの 婆薬剤師が出てきて,私の血圧やら既往症とか生化学検査項目についてあれこれ質問してデータシートに何やら書き込み,挙句に「ドクターが処方したこのお薬はおすすめできませんねー」と言った.
理由を問うと,さもシロートに右斜め四十五度上方から教えてやるわと言わぬばかりに,あれこれと禁忌情報らしき御託を垂れた.
その前に私は医師から処方薬について説明を受けて納得していたから,当時の私は若かったせいで頭に血が上り,婆薬剤師に逐一反論し,そやつの講釈を完膚なきまでに粉砕してやった.
怒涛の反論に唖然とした婆薬剤師は,顧客データシートに「医療関係者?」と書き込んで,渋々と処方箋通りの薬を出してきた.
周知のように,薬局ではジェネリック医薬を客に勧める.それは,医師が先発薬を処方した場合でも,顧客に後発薬を勧めて店頭で変更させた場合,国から報酬が支払われる制度があるからだ.(ただし現在,これまでの「後発薬を多く販売した薬局に報酬が上乗せされる」制度から「先発薬を多く販売した薬局にペナルティを課す」制度に改悪されようとしている)
国の政策でこうなっているわけだが,先発薬と後発薬が品質的に全く同一ならこの制度に何の問題もない.しかし事実上,後発薬の品質は低い.それは後発薬メーカーの不祥事についての報道をよく調べれば明らかである.
だから《言うまでもなく、薬は成分で選ぶもの。成分が同じなら、効果は同じです》などと著書で述べる薬剤師が食わせ者であることも明らかなのである.
さてそういうわけで私は,調剤薬局に処方箋を出して薬を購入する際は,藤沢駅北口にある信用できるO薬局に決めているが,安いドラッグストアで目薬などの市販薬を購入する時は,予め調合されている薬品をウェブでよく調べてから選ぶことにしている.そうしないと,余計な成分が入っているせいでこじらせて,結局クリニックのお世話になりかねないからである.何ごとも自分で調べてから行うことが基本である.何よりも自分の身のためであるから,不届きな薬剤師のいる薬局は避けなければいけない.
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