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2022年2月 3日 (木)

るいの産休が心配だ

 いいかどうかは別にして (いやよくないと私は思わぬでもないが),昭和には昭和のジェンダー観があった.
「男たる者,一家の大黒柱として女房子供を養う」がそれだ.
 とはいえそれは一般論であって,妻が夫を養っても後ろ指を指されぬ場合はあった.
 それは,夫が芸術家,芸能者の場合である.
 むしろこのジャンルの才能のある男は,銭を稼いだり家事に長けたりといった生活力は不問に付された.
 酷い場合は,呑む打つ買うの道楽で妻を泣かせても許された.
 それが昭和の価値観であることを,昭和五十三年の大ヒット曲,都はるみと岡千秋の「浪花恋しぐれ」が歌った.
「芸のためなら女房も泣かす それがどうした文句があるか」
 逆にいうと,芸もないのに働かぬのは最低の男として軽蔑された.それが昭和であった.
 
 NHK朝ドラ《カムカムエヴリバディ》でヒロインるいのヒモとして生きる大月錠一郎に対して,いい加減に働いてくれという視聴者からの声があるとウェブの芸能ニュースに出ていた.
 そりゃそうだろうね.
 働きもせず家事もせず,しかし,るいに第二子を妊娠させる方面のことは怠りなく行う.そういう錠一郎の 素敵な 生き方について,シナリオライターはこれからどういう具合に物語を進めて行くのだろう.昭和という時代の庶民感覚から,かなり離れて行くのではないか.
 るいに産休はあるのか.回転焼屋は日銭商売だ.るいが産後に仕事を休めば,ただちに家計が破綻する.さらには将来,回転焼屋の収入で,子供二人の教育費をどうするのか.脚本家がどう辻褄を合わせるのか,大変に興味の持たれるところである.

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