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2022年1月26日 (水)

転売屋のやることは意味不明

 昔々,「駅蕎麦」が立ち食い蕎麦の代名詞だった時代がある.
 その後,牛丼屋に一歩先駆けて,立ち食い蕎麦屋は街中に固定屋台店として進出した.
 現在の吉野家は築地市場場外に昭和二十二年 (1947年) に開業した飲食店がルーツである.牛丼専業になったのは昭和三十三年 (1958年) のことで,十年後の昭和四十三年 (1968年) に二号店 (新橋) を開店し,多店舗展開を開始した.この頃既に,立ち食い蕎麦屋は駅のホームだけでなく,街中のあちこちに店が見られるようになっていた.
 カレーの外食チェーン店ができるのはずっとあとのこと (昭和五十三年にCoCo壱番屋) だが,大衆食堂ではカレーライスは会社員の昼飯の定番になっていたし,個人経営の小さなカレースタンドは昭和四十年代からあった.
 そんなこんなで昭和五十年代になると,立ち食い蕎麦,牛丼,カレーライスは「会社員の三大栄養素」と言われるようになった.誰が言ったかと言うと私ではなく,東海林さだおがエッセイの中でそう書いた.
 だが,西日本の事情はよく知らないが,2000年代に入ってからJR東日本は「エキナカ」事業開発に力を入れ,その一環として蕎麦屋の経営に乗り出した.
 
 現在,JR東日本の駅構内における蕎麦屋の形態は二つに分類される.
 一つは立ち食いではない蕎麦屋で,テーブル席で営業する一般的な蕎麦屋である.店内は小綺麗で厨房があり,生蕎麦を茹で,天ぷらを揚げて提供する.これはJR東日本の系列企業が経営している.
 もう一つは立ち食い店で,ホームの階段下などの非常に狭いスペースをJRから借りてローカルな事業者が営業している昔ながらの駅蕎麦である.
 かなり前からJR東日本は,自身が展開する蕎麦屋事業と競合するローカル事業者の立ち食い蕎麦屋の営業契約を,随時終了してきた.
 そのため駅構内の蕎麦屋はローカル性がなくなって,JR東日本系列の蕎麦屋ばかりになり,どこの駅でも同じ蕎麦屋の同じ味になった.
 こうして昔からある駅蕎麦はほとんど絶滅したが,先日また一つ,利用者に惜しまれつつ駅蕎麦が営業を終了した.小山駅のホームにあった「きそば」である.朝日新聞DIGITAL《人気アニメの「聖地」、小山駅の立ち食いそば閉店へ 1時間待ちの列》[掲載日 2022年1月13日 11:15] から引用する.
 
JR小山駅(栃木県小山市)の宇都宮線上りホームにある人気の立ち食いそば店「きそば」が14日で閉店する。SNSにも閉店を惜しむ書き込みが相次ぎ、店頭には年末からファンが駆けつけて長い列をつくっている。
 閉店は「大家」のJR東日本クロスステーションが賃貸契約の打ち切りを通告してきたため。関係者によると、閉店後は同社の系列店が開店する予定という。
 
 駅のホームの立ち食い蕎麦は,出張で移動途中の会社員が慌ただしく腹に入れたり,部活帰りで腹を減らした高校生が連れ立って食べたりする.茹で置きした麺のチープ感に何ともいえない昭和情緒があって,懐かしく思う人が多いかと思うが,JRとしては早くなくなって欲しいのだろう.
 上の記事の小山駅「きそば」にもファンが多かったとみえて,経営していた中沢製麺は茹で麺の通販を始めた.
 茹で麺と蕎麦つゆのセットの他に,「きそば」で使用していた丼と蕎麦のセットもあり,この丼が大当たりした.
 いかにも立ち食い蕎麦の丼という普及品なのだが,内側に「小山駅きそば」と文字が入っているのがウケたのだろう.
 最初に完売したあと,一月中旬に再販受注したのだがまた完売して,今は二月中旬にまた販売予定だという.
 入荷したらJREモールで買えるので,欲しい人は待っているとよい.
 ところが,丼だけをアマゾンで売っている転売屋がいる.(1/25現在)
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 蕎麦と丼のセットは¥3,300だが,この転売屋の,丼のみの価格は何とまあ¥6,980だというから驚く.
 暫く待っていれば本来の製造元である中沢製麺が販売するから,この転売品を買う人がいるとは思えぬのだが,転売屋の考えることは意味不明である.

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