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2022年1月11日 (火)

非実用料理の先生ワタナベマキ

 NHK《きょうの料理》で《「豚と里芋のみそ蒸し」作り方》(←なぜか本家のNHKにレシピがないので,ある視聴者によるまとめで代用した) を放送した.
 講師はワタナベマキ (自筆のプロフィルはここ) という人である.上記のリンク先にレシピが掲載されているのだが,里芋の下ごしらえは省略されている.
 しかし実際の放送では,もちろん里芋の皮を剥いて料理に用いた.
 だが皮を剥いたはいいのであるが,講師は通称「六方剥き」というやりかたで皮を剥いた.動画は《【技術動画】専門学校の先生が教える里芋の六方剥き》にある.
 この剥き方は,芋が小ぶりの時はさほどではないのだが,片掌に一つ乗るくらいの大きさになると,捨ててしまう可食部が半端なく多い.
 料理屋さんでは料理は見た目が大切であるし,食材の食べられる部分を捨ててしまうという無駄なコストは客に払わせればいいから六方剥きにするが,家庭料理ではそんなことをしてはいけない.SDGsを掲げる国連が許さぬ.「もったいない」のマータイさんが草葉の陰で許さぬ.土鍋でなければご飯が許さぬ.何いってんのか自分でもわからぬ.
 で,昔からの知恵で,里芋は加熱してから剥けば,指でツルンと皮だけが剥ける.
 あるいは小さい里芋を買い求めて,ペティナイフくらいの小さな包丁で薄く皮を剥くのがよい.
《きょうの料理》は家庭料理の番組だと思っていたが,そうであるならこんなプロを気取った女を講師にするなと言いたい.
 
 それと,ワタナベマキは蒸し料理を作るのに,差し渡しが三十センチ弱くらいある蒸籠 (曲げ細工のプロ用) を使用した.
 横浜の中華街の店が,店舗前の路上で焼売なんかを蒸しているアレだ.
 ワタナベマキのうちにはこれがいくつもあるのだと本人の弁だが,一般家庭にこんな蒸籠はない.木製蒸籠の洗い方はコレコレ,と要らぬお世話の知識をひけらかしたが,嫌な女だ.
「豚と里芋のみそ蒸し」は,こういう大きな蒸籠で作る料理なのだが,そのため司会進行の廣瀬アナに「視聴者はまずキッチンにこのセイロの置き場所を考えなければいけませんね」旨の的確な批判を浴びた.
 
 もうすぐテレビ朝日の長寿料理番組《上沼恵美子のおしゃべりクッキング》が終了すると,テレビの料理番組の講師はアマチュアばかりになる.
《おしゃべりクッキング》は辻調の先生たちが講師である.彼らは「料理を教える」ことのプロだ.しかもコンテストに出れば賞を取る人たちである.これまで私はこの番組を視聴して,材料の下ごしらえについて色々な知識を得た.
 その点では,アマチュア (いわゆる料理研究家とか料理家と呼ばれる人たち) のツー・トップである土井善晴さんと栗原はるみさんも,辻調の先生方にはかなわない.
 土井先生はテレビではエンタメ系を演じている (汁粉の餅を焦がしてしまった時のごまかしかたの解説とか w) し,逆に栗原さんは口下手で視聴者としてはもどかしい.痒いところに手が届かない.そのため,このお二人の番組を観て「ああそうなのか!」と膝を叩く視聴者はいないと思われる.私は,このお二方の放送を見終わっても,何かしら身に付くということがない.
 
 業務用仕様の蒸籠を使って家庭料理を作って見せる勘違い講師を採用しているNHKには,《おしゃべりクッキング》以上の料理番組を作る力がない.だとしたら《家事ヤロウ》のようにエンタメに徹すればいいのに,NHKの料理番組は楽しい「しろうと料理自慢」になりきれていない.NHKは,とりあえず《きょうの料理》の在り方を改めないと始まらぬと思う.

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