棺桶に時計を
今朝がたの四時過ぎ,ふと腕時計を見たら十五分遅れていた.この時計はシチズンのアテッサという実用一点張りブランドの,最初期モデル GN-4W-S (2002年) である.
これは電波時計で,午前二時と四時に電波受信して時刻を合わせる仕様なのだが,その午前四時の時刻調整にトラブルがあったのかと思った.
何しろ十九年前の製品だから,もう取説はどこかに紛失してしまっている.
ダメかもなーと思いつつウェブ上に取説がないかと探してみたら,驚いたことにまだ取説は存在していた.
ついでに調べてみたら,中古品がまだヤフオクで売買されている.実用時計と言うのはまことに商品ライフが長いものだと驚いた.
ダウンロードした取説の「故障かな?と思ったら」を読むと,「基準位置の確認と修正」という項目が該当するように思われたので,その操作を行った.
すると,秒針が停止し,あっけなく逝ってしまった.
十九年間,入浴時以外は常に左手首に着けていた時計だから,私は暫し茫然とした.
若い人は腕時計をしない人が多いかも知れない.時刻を知るにはスマホがあれば足りるからだ.
しかし私のような年寄りは,腕時計に愛着があって,左手首に何も着けていないと落ち着かない.
それで,朝飯を摂ったあと藤沢のビックカメラに出かけて,シチズンの最近のモデルを購入した.
アテッサの機能を絞ったシンプルなデザインが私の好みなので,型式CB3010-57L にした.藤沢のビックカメラでは売れ筋の機種だという.
メーカー希望小売価格¥71,500 (税込) のところ,ビックカメラ店頭価格¥47,547であった.
正確な価格は記憶にないが,確か GN-4W-S もそれ位の値段だったと思う.十九年間もアテッサの価格帯が変わらないことに驚いた.
CB3010-57L は,私が死んだ時もまだ時を刻んでいるだろう.亡くなった GN-4W-S と一緒に棺桶に入れてもらおうと思っている.
年寄りにはわかってもらえるだろうが,長く使ってきた筆記具と時計には愛着がある.手に取れば懐かしい出来事も思い起こされ,陳腐な言葉をすれば,戦友のようだ.
ちなみに,私が会社員生活をリタイアするまで三十年近くを共にしてくれた二本のクロスのボールペンは,「父の形見だ」と言って娘に渡してある.
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