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2021年12月14日 (火)

風邪のときに食べるもの /工事中

 深谷かほる作『夜廻り猫』の第六巻の480話にジャガイモの味噌汁のことが描かれている.
 この話に登場する老人はこう言う.
 
風邪の薬は まず じやが芋と葱の味噌汁なんだって
 まずは じゃが芋をむいて 出汁で煮る
 子供の頃 病気になるとこれでね じゃが芋の栄養が溶けたゆで汁ごと 食べれば元気が出るからね
 
 そうだね.風邪のひき始めはジャガイモの味噌汁がいい.私も昔,そんなことを聞いた覚えがある.
 熱が出て本格的に寝込んでしまうと,リンゴのすりおろしという特別な薬が昭和にはよく用いられていた.発熱するとビタミンCが不足するから,これは理にかなっている.
 リンゴは身近な果物であったが,品種改良がまだ進んでいなかった昔の品種,特に国光は懐かしい.現在の「ふじ」は国光にデリシャスを交配したものだ.
 明治以来のリンゴ品種は他に紅玉が有名だ.紅玉は今でも根強い需要があるとかで生産が盛んだが,国光は過去の品種である.公的機関等に現存している国光の木は数少ない.中には天然記念物に指定されている木もある.
 しかしテレビで見たことがあるのだが,わずかな篤農家が栽培していると聞く.実は市場に出荷されるわけではないので入手は困難である.
 余談だが,「月刊「えこふぁーむ・にゅーす」というちょっとアレな個人サイトに《昔のリンゴ品種について》と題した記事が掲載されている.
 そこからスクリーン・ショットで下に少し引用する.
 
20211214a
 
 上の文章を書いた牧野時夫というかたは,プロフィル《北海道内外の農業関係者が集まるオーケストラ「北海道農民管弦楽団」は誕生から四半世紀。農閑期の数カ月に10回程度集まって練習し、1~2月に60~80人が演奏するコンサートを開いてきた。指揮者兼代表の牧野時夫氏(58)は「農業は土を耕す。音楽は心を耕す」の理想を掲げる。》が日経に載っている.
 また,月刊「えこふぁーむ・にゅーす」には,農民芸術とか有機農業はともかく,アナキズムやらハルマゲドンなんて言葉がみえる.上に「ちょっとアレ」と書いた所以である.
 それはよしとして,牧野氏はリンゴの品種「国光」を「国交」w と書いている.牧野氏の御年齢は私よりも一世代若いから,氏は実際には国光を食べたことがない.国光を食べた実体験がないならないで,よく資料を調べて文章を書けばいいのに,それを怠るから「国光」を「国交」などと書いて恥をかくのである.
 
閑話休題
 風邪からの回復には,免疫の役割が大きい.私たちの体の免疫が充分に働くためには,医薬と栄養が大切であることはよく知られている.
 まず感冒薬のことから書く.
 昭和二十八年 (1953年) 二月,NHK東京テレビジョンが放送を開始し,同年に日本テレビが民放の先陣を切って放送開始した.
 これ以後,テレビ受信機は徐々に増えて行ったが,昭和三十四年 (1959年) の四月,現上皇と美智子上皇后の御成婚の直前に全国に二百万台のテレビが爆発的に普及し,御成婚パレードの実況は推定千五百万人が視聴した.
 民放テレビは初期からCМを放送していたが,商品の広告宣伝においてテレビが主な媒体になった契機は,この御成婚パレードであった.
 製薬企業の中では三共が感冒薬「ルル」の広告で先鞭をつけた.昭和三十五 (1960年) 年に大空眞弓が商品キャラクターに採用されたあたりから高齢者の記憶に残っていると思われる.
 昔々,家庭の救急箱に常備されていた風邪薬といえば富山の配置薬「ケロリン」だ.
「ケロリン」は大正十四年 (1925年) に富山県の内外薬品 (現在は株式会社廣貫堂・大協薬品工業株式会社・内外薬品株式会社の三社が共同で富山めぐみ製薬株式会社を設立) が開発した.アスピリン (アセチルサリチル酸) と生薬の桂皮を配合した非ピリン系解熱鎮痛薬である.「ケロリン」は家庭に常備される風邪薬のデフォであった.「ケロリン」のパッケージは独特のデザインであったが,その他の風邪薬は袋に鍾馗の絵が印刷されていたのを記憶している高齢者は多かろう.
 しかし日本の経済成長と共に都市部に薬局が増えたおかげで,昭和の後半には配置薬という販売形態は衰退し,顧客は農村部が中心になった.「ケロリン」もまた勢いを失った.
 内外薬品「ケロリン」に代わって常備薬となったのが大空眞弓,いしだあゆみ,由美かおる,伊東ゆかりらがテレビCМに出演した三共の「ルル」であった.
 武田製薬「ベンザ」は昭和三十年の発売開始であるが,テレビCМは「ルル」の後塵を拝した.酒井和歌子のテレビCМ (1971年) は記憶に残る.
 昭和の後半には,インフルエンザは別だが,普通の風邪くらいなら病院に行かずに薬局で売っている風邪薬を服用して治すのが当たり前になった.風邪をひいたら「ルル」「ベンザ」「パブロン」を服用して,他にはアリナミンを飲んで会社や学校に行くのであった.病院に行っても風邪に特別な治療法はないのであり,お医者さんが出してくれる薬は対症療法の解熱剤とアリナミンであることが国民の常識になったからである.
 そうは言っても,風邪をひいたら薬だけ飲んでいればいいわけではなく,回復を早め,消耗する体力を補う食事が重要だ.
「ケロリン」の時代でも現在でも,風邪をひけば食欲が落ちるので,松屋の牛丼弁当とかKFCのチキンを食べたがる病人は多くない.w
 冒頭に挙げたジャガイモの味噌汁の他には,やはり果物がよい.昔は重湯が病人の食べ物の代表だったが,重湯にはエネルギーの補給以上の意味はないから,それよりも,エネルギーもビタミンも摂れる果汁がよろしい.リンゴのすりおろしは懐かしいけれど作るのが面倒だから,果汁入りの野菜ジュースが最適だ.
 二十世紀の偉人の一人であるライナス・ポーリングはビタミンCが風邪に有効であると主張した.Wikipedia【ライナス・ポーリング】には
 
ポーリングが後年に行ったビタミンCの研究は論議を呼び、最初は一部の医療専門家から似非療法と看做された。1966年にポーリングは生化学者のアーウィン・ストーン(英語)から高用量ビタミンCの概念を知り、風邪の予防のために毎日数グラムのビタミンを摂り始めた。その効果に興奮したポーリングは臨床文献を調査し、1970年に「ビタミンCと感冒」を発表した。
 
とある.

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