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2021年11月 3日 (水)

熊も虹の橋を渡るだろうか

 兵庫県の山間にある民家での話.
 その家にはウッドデッキがあるのだが,ある日,熊がやってきた.
 毎日新聞《民家に熊侵入、ウッドデッキで一昼夜 安楽死処分 兵庫・佐用》[掲載日 2021年11/1 19:09] から引用する.
 
熊は時折はうように庭に移動し、再びウッドデッキに戻って横たわり続けた。町職員ら4人が夜通し監視を続け、民家に暮らす男性と妻は敷地内の別棟で夜を過ごした。熊は1日午後2時45時ごろ、麻酔銃を撃たれた後に安楽死処分された。推定12歳の雌のツキノワグマで、老衰していたとみられている。民家敷地の柿の木に爪痕があり、冬眠を前に実を食べに来たらしい。
 
 その民家がある佐用町は県西部の内陸にある人口約一万六千人のちいさな町.町域の約八割が森林だ.
 熊がやってきた民家に住んでいる婦人の話によると,熊はウッドデッキと中の部屋を仕切っているガラス戸をトントンと叩いたそうである.
 ガラスを舐めたともいい,テレビの報道は,熊が舐めたあとを映した.
 そして翌日,熊は息絶えた.戸を叩いたのは開けてほしかったのだろう.
 
 この熊は,人間に助けてもらいたかったのかも知れない.
 生まれたばかりの子熊で,母熊とはぐれて人里をさまよっている時に,優しい人に食べ物をもらったことがあったのかも知れない.
 それから十二年して,老いて死期を悟り,子熊の時の記憶を頼りに里にやってきた.
 もう何日も食べていなかった.柿の木に登って実を取ろうとしたが,老いた熊にはもうそんな力は残っていなかった.
 ウッドデッキのガラス戸をトントンと叩いたら,親切な人が柿の実をくれるかも知れないと思ったのだろうか.
 
 

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