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2021年11月21日 (日)

異物混入の思い出

 東京の赤羽にある居酒屋「魚民」で,もつ鍋に多数の異物 (虫) 混入があったと話題になった.
 この時の従業員の消費者対応が著しく不適切 (申し訳ないという誠意のかけらもなくいけしゃあしゃあと「料金を割引してさらにデザートをサービスします」と言ったらしい.これではまるでクレーマー対応である) だったようで,客を怒らせ,結局その店は保健所の指導を受けることになった.(東洋経済ONLINE《「魚民」もつ鍋の虫混入が世間に与えた本当の怖さ 部外者に見える人たちにとっても他人事じゃない》[掲載日 2021年11月18日 20:30])
 
 私たちは,外食店で口にした料理の微生物汚染については,目に見えないので寛容だが,虫は一発でアウトである.
 最近は昆虫食が流行っているようだが,たとえ昆虫食愛好家でも,居酒屋でもつ鍋を食べようとして,中に虫がうようよ入っていたら怒ると思われる.
 というのは,異物混入事案の中でも虫の混入は,消費者に衛生上の実害がなくても,精神的なダメージを与えるからである.
 毛髪も同じで,外食店は,料理に絶対に虫と毛髪は混入させてはならない.ましてや毛髪以外の毛は (以下略)
 
 私の郷里は群馬県で,昭和四十年前後,中学から高校にかけての頃に,鉄道とバスに乗って何度も尾瀬に行ったことがある.
 ある年の,尾瀬にミズバショウの咲く六月のこと.
 早朝に自宅を出て,当時の国鉄上越線新前橋駅から沼田駅行の電車に乗り,沼田駅で下車.沼田駅前から片品村方面へ行くバスに乗る.
 程なく尾瀬沼への入口である大清水バス停に到着し,そこの休憩所で蕎麦を食べた.
 六月の尾瀬は寒い.熱いかけ蕎麦を注文して代金を払い,半分ほど食べたところで,中に銀色に光る大きなハエが入っているのに気が付いた.
 おえーと思いつつ店の婆さんを呼び「ハエが入ってるんですけど!」と私は言った.
 すると婆さんは「あ,ほんとじゃ」と言い,丼を持って厨房に行った.
 私は代わりの蕎麦が出てくるのを待ったが,いつまで経っても婆さんは戻ってこない.
 そこで厨房に行き「あのー蕎麦は?」と訊くと,婆さんは「あれは捨てた」と言う.
「えーっ,捨てちゃったあ?」と私が驚くと,婆さんは「ハエが入ってた蕎麦はもう食えんじゃろうが」と言った.
 なんだか正論のような気がしたので,私はしょんぼりと店を出た.
 もう半世紀以上前のことだが,今でも糞婆ァの顔と「ハエが入ってた蕎麦はもう食えんじゃろうが」を思い出す.げに食い物の恨みは忘れ難い.

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