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2021年11月 2日 (火)

サイテーなたくあん

 先日の記事《昭和期の弁当を拵えてみる》に補足する.
 
 昭和初期の弁当を再現する際にネックとなるのは,おかずに添える漬物だ.
 梅干しは,伝統的な製法で作られたものが,それほど探し回らなくても手に入る.
 しかし,たくあんは,そもそも伝統的な製法自体が忘れられつつある.家庭で作ることがなくなってしまったからである.
 昔の流儀のたくあんの作り方と,味を覚えているのは,高齢者になってしまった.YouTubeでは味まではわからないから,若い人たちが自作する場合にも隔靴掻痒の感がある.(たくあん用のぬか床が市販されているので,それを利用すれば何とかなるかも知れないが…)
 
 たくあんは,糠漬けである.調味液に漬けて作ったものは,干し大根の浅漬けである.こういうものをたくあんとして売っていいものか.
 いいはずがない.食品偽装である.
 そういう偽装たくあんにも程度の善し悪しがあって,Amazonで販売されている下の画像の商品なんかは,最も悪質な例である.
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 原材料表示を最初から見て行こう.
 まず,甘味料として「ぶどう糖果糖液糖」を使うのは許容範囲だが,そのあとがひどい.
 糠漬けであれば,漬け原材料の最初に「米糠」が書かれるはずだが,干し大根の浅漬けである上の商品は,「梅酢」の次に「ぬか類」となっている.「本干したくあん」と書くといかにも本格的なたくあんのように聞こえるが,嘘をつくんじゃない.
 で,表示されている「ぬか類」とはなにか.
 食品の世界で単に糠と言えば通常は米糠を指す.大麦の糠は麦糠,小麦の糠は「ふすま(麬)」というが,これらは家畜飼料や工業原料として用いられる.
 もしかすると,この製造者は米糠に,麦糠および (あるいは) ふすまを混ぜ込んでいるのかも知れないが,その理由がわからない.
 コストダウンのためであるとすると,もうこの段階で,伝統的なたくあんの製法を踏み外している.鋸のおが屑だって,珪藻土だって,安ければ糠の代わりに使うかも知れない.
 漬け原材料の次から,もう狂気の沙汰としか思えぬ原材料が列記されている.
 実はスーパーの店頭でも,これに類するたくあんが堂々と売られている.
 諸兄は,くれぐれもこのような道を踏み外したたくあんをうっかり買わぬように,ご注意あれ.

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