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2021年10月13日 (水)

それは海苔弁じゃないかも

 東京の人形町に海苔弁専門店がオープンして大人気のようだ.(テレ朝news《“高級海苔弁”1000円超えも大人気!11品で超豪華》[掲載日 2021年10月12日 20:10])
 この海苔弁当のお値段千円は《ぜいたくすぎ》だとニュースは述べたが,人形町というロケーションを考えれば,魂消るほどではないと思う.
 この辺りの会社に勤める会社員たちの普通の昼飯に,あと二,三百円足せば,なかなかおいしそうな弁当が食えるのだ.
 毎日となればちょっと考えてしまうだろうが,時々「今日のお昼は千円海苔弁にしよう」と奮発するのはいいんじゃないだろうか.
 
 ついこのあいだ,NHK《逆転人生》に梅宮アンナさんが出演して,海苔弁の思い出を語った.
 アンナさんが学生の時,お昼の弁当は故梅宮辰夫が作ってくれた.
 その弁当には海苔が何層にも敷かれていた (アンナさんはミルフィーユみたいにと言った) が,その海苔は,細かくちぎってから米の飯の上に敷き詰めたのだという.
 このやり方は私もする.家庭で作る「ミルフィーユ海苔弁」の定法だといってもいい.
 海苔が細かくちぎってあると,食べやすくて,おいしさも増すのである.
 
 で,件の千円海苔弁はどうかというと,弁当箱の大きさに切った海苔を,ビラーッとそのまま貼り付けている.忙しい客を待たせておいて,海苔をちぎって貼るなんてやっていられるわけがないからだ.
 そしてその上におかずがたくさん載っている.だから海苔は全然見えなくなっているし,醤油のしみた海苔と白い飯のおいしさは味わえなくなってしまっている.
 どこが海苔弁なんだかわからない.
 
 大量に作るコンビニ弁当と異なって,個人営業の持ち帰り弁当店は,少ない販売個数で売り上げを確保しなければならないから,弁当の単価が千円になってしまうのは致し方ない.
 そして千円という単価に見合った内容にすると,どうしてもおかずをたくさん詰め込むことになる.
 そういう弁当の名を「海苔弁」にするのはキャッチーだけど,ちよっと違うよねーと思わぬでもない.
 梅宮辰夫が娘のために作った弁当は,そして私たちが自作して食べておいしいと思う海苔弁は,手間はかかるけれど千円よりずっと安く作れて,そして温かいものだと思う.

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