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2021年9月27日 (月)

久助

 久助という言葉がある.人名ではない.
 Wikipedia【久助】から記述を引用する.
 
訳あり商品のひとつ。米菓業界でよく使われている業界用語のひとつであるが、包装された袋に表記されることもあるため、消費者の一部にも知られている。米菓以外では、小麦粉の甘煎餅、洋菓子のラスクなどでも同様に使用される例がある。
 割れていて、形状が不完全でも味覚的には正規品と比べて遜色なく、大きな煎餅の場合は、食べる際にわざわざ割ることもあるため、自分で食べるためには気にしない消費者も多い。また、たいてい複数の製品が混合されていて、大きめの包装となっているために、安価にいろいろな味を楽しむことができる。
 ただ、煎餅などでは、形状は完全でも、少し加熱しすぎたものなどが入れられる場合もあり、その場合は風味が正規品よりも劣る。
 正規の販売ルートでは流通せず、製造直売店や、菓子や食品の安売り専門店、道の駅、ネット通販などで限定販売されることが多い。》(文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 着色文字部分は,現在は事実と異なる.
 確かに昭和の昔は,上の説明の通り「久助」とは「割れていて形状が不完全」あるいは「加熱し過ぎて焦げた」米菓製品であったが,私の記憶では,平成の頃から「久助」の語義に変化が生じた.
 
 今,私の手元に根本製菓 (茨城県) の「やっぱり日本のお米 醤油ミックス煎 久助」がある.Wikipediaは《正規の販売ルートでは流通せず、製造直売店や、菓子や食品の安売り専門店、道の駅、ネット通販》としているが,私が買ったのは製造直売ではなく上野アメ横でもなく,スーパーで購入したものである.
 
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 包装のラベルに書かれたキャプションは以下の通りである.
 
昔ながらのたまり醤油で仕上げた醤油煎、黒胡麻煎、青のり煎のお徳用サイズ
 
 中身の煎餅は,全く欠けていない.味も焦げてはおらず,普通の煎餅である.
 つまり根本製菓は,久助を「お徳用サイズの煎餅詰め合わせ」だと定義している.
 しかしこの定義は米菓製造業者によってさまざまである.
 ざっと分類すると,
(1) 正常品質の煎餅を数種詰め合わせた徳用品
(2) 割れた形に成形して焼き上げた煎餅を包装した徳用品.割れた断面のフチが丸くなっているのですぐわかる.わざとらしい「断面」にも醤油がしみている.
(3) 正常な形状に焼いた仕掛品の煎餅を,わざと割り,これを醤油等で調味したもの.割れた断面にも醤油がしみているのですぐわかる.
(4) 正常な品質の煎餅をわざと割り,特売用にしたもの.断面に醤油はしみていない.
(5) 正真正銘の久助.Wikipediaの説明通りの訳ありレア品である.当然だが本来の久助は,スーパーに出荷できるほどの量は製造工程で発生しない.零細な手焼き煎餅屋で売られていたり,中小の米菓製造業者の工場に併設の売店で販売されている.
 
 似非「久助」は,米菓メーカーが販売者の求めに応じて特売品を製造する際に,正規品の価格を維持するために作るものだ.
 無理矢理に作った割れ煎餅だから,不良品なのではなく,消費者としては現在の「久助」はお値段安めで歓迎だ.
 しかし店頭で,手で割るのが難儀なくらい堅い厚焼き煎餅の「久助」を見かけると,これはちゃんと作った製品を割っているわけだから,ご苦労なことですなあと苦笑する.

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