ドイツ語がトラウマで
先日 (9/17),NHK《あさイチ》に中谷美紀さんがゲストに招かれて,キャスターたちとトークした.
中谷さんはオーストリアと日本の二拠点生活をされているのだが,オーストリアの公用語はドイツ語 (オーストリアドイツ語) で,中谷さんは勉強を始めてから一年半くらいで,なんとか生活に必要なドイツ語を習得したとのことである.
ドイツ語の話題になったところで,鈴木奈穂子キャスターが「華丸・大吉のお二人は,ドイツ語講座に出演されていたんですよ」と語り,当時 (2007年) の映像を映した.
初回の放送で,華丸がドイツ語を話すことを知った大吉が「なんでドイツ語を知ってる?」と言うと,「大学のときの第二外国語がドイツ語だった」と答えた.
これを聞いて私は腰を抜かした.
私もドイツ語を第二外国語にとったのだが,講義が始まってすぐに定冠詞だの名詞の性だのというところで,大学はストライキに突入してしまった.
それからというもの,長い時間を全く勉強せずにいて,しかし年が明けて機動隊がバリケード封鎖を解除してストライキが終わったあと「定冠詞を知っていれば成績は可とする」という試験を受けて可をもらい,教養学部を追い出されて農学部に進んだので,遂にドイツ語はチンプンカンプンのまま現在に至る.
それ以後,英語が読み書きできれば仕事に支障はなかったので,ドイツ語がわからないというトラウマを抱えて生きてきた.
そんなダメ人間に比べて,中谷美紀さんは偉い.英独語だけでなく仏語もできるのだそうだ.
中谷さんはオーストリアでは,クラシックの音楽会に出かけたり,美術館に行ったりという暮しをしておられるようで,まことに知性派女優の面目躍如たるものがある.私なんぞとは生き方の真摯さが違うとしか言いようがない.
天下のNHKのドイツ語講座に出演した華丸も偉い.ああそれに比べて私は.
余談だが,中谷さんのお話では,コロナ禍のオーストリアでは,片田舎でも音楽や美術を市民は楽しんでいるようだ.
日本では,酒を飲みながら騒ぐ音楽会でコロナ感染していたりするわけで,彼我の違いに情けなくもうな垂れざるを得ない.
「マスクは無意味だ」「コロナは第五の風邪だ」「感染対策よりも経済を回せ」とか言っている木村盛世みたいなやつがテレビで旗を振ると,ここぞとばかり我が同胞たちは,音楽会ではなく劇場でもなく,飲み屋に駆け付ける.音楽会と称する会場では酒が販売されて大騒ぎする.
酒を飲んで騒ぐと体温が上昇し,アルコールは飲んだ分だけ炭酸ガスとなって放出される.体にいいことは一つもない上に,地球環境にも優しくない.
私たちに必要な「経済を回す」は,飲酒のごとき完全な消費ではなく,再生産だ.酒のでない音楽会に行こう.本を読もう.映画を観よう.美術館に行こう.芸術に親しむことは私たちの文化を再生産することだ.中谷さんのお話を聞いていて私はそう思った.
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