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2021年9月 5日 (日)

品質事故を起こしたチョコレートは珍しい /工事中

 珍しいものを見た.
 下の写真は,森永製菓のカレ・ド・ショコラ【カカオ70】である.
 外観で歴然としているが,完全に「ブルーム現象」を起こしている.割ってみると,表面だけでなく,中まで白っぽくなっている.またこのチョコレートは,本来の形はきちんと四角いのであるが,写真に見られるように形が崩れている.
 このチョコレートを購入したのは先月末で,店はダイエー藤沢店である.
 
20210904a
 
 上述の「ブルーム現象」とは,板チョコなどの成形されたチョコレートの表面が艶を失って白っぽくなる劣化現象のことをいう.
 この「ブルーム現象」は,食品科学の重要な用語なのだが,Wikipediaに項目が独立して立てられておらず,Wikipedia【チョコレート】の中で簡単に説明されている.
 そこで以下にその箇所を引用して説明に代える.
 
固形チョコレートは油分に粉乳や砂糖などの粉末が分散している状態であり、水に不溶である。固形チョコレートを水分と乳化させた物は、ガナッシュ、生チョコレートと呼ばれる。
 固形チョコレートは一般的に、熱に弱く溶けやすい。過度に冷却したもの、融解・再結晶化したもの、長期間保存したものなどには白い色がつくことがある。この白い部分をブルームといい、このような現象をブルーミング現象という。ブルームが生じたものを食べても問題はないが、風味や味は落ちる。ファットブルーム(fat bloom)は、チョコレートの油脂成分のうち融点の低い部分が融解して表面に浮出し、再結晶化したものである。シュガーブルーム(sugar bloom)は、冷却時などにチョコレートの表面に水分が付着した際チョコレートの砂糖が水分に溶解し、その水分が蒸発した時に砂糖が析出したものである。
 保存は、15℃ - 17℃、湿度50%以下が好ましく、香りを吸収するのを防ぐために他の食べ物から遠ざけたりラップに包むなどする。
 
 市販されているチョコレートに関しては,消費者がシュガーブルームを目にすることはまずない.チョコレート表面に水分が付くような状態と環境で流通することはないからである.(市販品チョコレートを買ってきて融解して固めた「手作りチョコレート」は,品質を云々するようなものではないので,以下の話からは除外する)
 これに対してファットブルームは,消費者がチョコレートを購入したあと高い室温の部屋に放置したりすると容易に生じる.
 製菓会社のチョコレート製造技術はかなり成熟していて,工場出荷後の商品温度管理が適正に行われていれば,ファットブルームが発生する可能性はほとんどない.
 しかし言い換えると,出荷後の温度管理に問題があるとファットブルームが生じる可能性はある.
 私が森永のチョコレートを買ったのはスーパーダイエーだから,店内の温度管理は厳格になされているはずで,店頭陳列後に融解した可能性はゼロだ.万が一店内の空調が故障すれば,チョコレートが融けてファットブルームができてしまったどころの騒ぎではない.生鮮商品が全滅だ.
 こう考えてくると,工場出荷後,店頭陳列までの物流過程で商品の温度管理に何らかの事故があったということになる.
 実をいうと,これは割と起こりやすいことなのだ.
 私が知っている例では,あるチルド食品が工場から出荷されたあと,トラックの業者が荷物の積み替えをしたために起きた事故がある.
 例えば,A市にある工場から,C市のスーパーマーケットに商品を納入するとする.
 A市からC市へ同じトラックで運べば問題はないが,トラックの手配など物流上の理由で,A市とC市の途中にあるB市の倉庫で荷物を積み替えることがあるのだ.
 このとき,チルド商品なのに,冷蔵庫ではないところに荷物を下ろしてそのままにするドライバーがたまにいる.
 荷を降ろすまではオレの仕事で,あとのことは知らないよという態度である.
 この例では,B市からC市へ運ぶドライバーの手違いで,冷蔵車に積み込むまでに夏の日中の二時間,放置されてしまった.
 結局,
 
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 筆者の私見だが,日本のチョコレート製造技術が成熟したのは昭和の中頃である.
 昭和三十年代の明治製菓や森永製菓の板チョコにはブルーム現象がよく見られたのであるが,原因は,(1) 製造技術が未熟だったこと,(2) 物流と販売の環境がチョコレートに適していなかったこと,の二つがあった.
 

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