倉持先生奮闘す
日刊スポーツ《Nスタのキャスター固まらせた、怒りの発言「倉持先生」がトレンド1位》[掲載日 2021年8月3日 21:51] から一部引用する.
《倉持医師は、「中等症2とかで治療に介入していてはもう間に合わない。より早い段階で治療に介入しなければいけないので抗体カクテル療法を承認したはず。その治療は軽症者のうちにしなければならないが、入院しなければ薬は使えない。言っていることがめちゃくちゃです」。》
《レムデシビルや抗体カクテル療法の薬も、数が足りないので入院でしか使うなと厚労相から通達が出ている。外来にたくさん患者さんが来ていて、早く使ってあげたいがそれができないので非常に困っている》
我らが大暗愚宰相菅義偉は,記者会見の時の目が虚ろである.まるで生気がない.
心ここにあらずといった様子であり,テレビ局や新聞社の記者,あるいはフリーランスのライターたちの質問は,首相の右の耳から左の耳に素通りしているとしか思えぬ.
もし質問が聞こえているとすれば,あれほど頓珍漢で,質問と無関係のことは言わないはずで,要するに「聞いていない」のだ.
首相や各省庁のトップに対して,問題案件の関係官僚が政治的アクションに必要な知識をレクチャーするわけだが,超大暗愚宰相菅義偉と自称ワクチン運び屋の河野太郎大臣は,たぶんレクチャーを聞いていない.
二人とも,官僚が何を言おうと聴く耳を持たず,自分の思い付きを唐突にメディアに発表したりするのが得意だ.
今回の「重症患者しか入院を認めない」という方針も,それなりに官僚は理由付けを用意したものと想像されるが,ウルトラ大暗愚宰相菅義偉は全く聞いていないから,記者会見が支離滅裂になってしまった.
何が支離滅裂かというと,倉持医師の述べた通りで,軽症者に有効な抗体カクテル療法は入院を前提にしている治療法なのである.
これはテレビの情報番組でコメントを求められた大学病院の医師たちが既に説明しているから,テレビをよく視聴する高齢者国民には常識である.
しかるに何事も聴く耳を持たない菅首相は,在宅治療で抗体カクテル療法が可能だというデマを飛ばしてしままった.
一国の宰相自らが,デマを飛ばしたことを,私たちはよく覚えておこう.
今回の倉持先生の怒りのコメントに《数が足りないので入院でしか使うなと厚労相から通達が出ている》とあるのは,次の事務連絡を指している.(ただしこの日刊スポーツの記事中,「厚労相」とあるのは「厚労省」の誤りである)
その通達《新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」の医療機関への配分について (依頼)》は公文書であるから必要箇所を長文引用する.
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事務連絡
令和3年7月20日
都 道 府 県
各保健所設置市 衛生主管部 (局) 御中
特 別 区
厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部
新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」の医療機関への配分について (依頼)
平素より、新型コロナウイルス感染症対応に、格段の御高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」(販売名:ロナプリーブ™点滴静注セット300、ロナプリーブ™点滴静注セット1332。以下「本剤」という。) については、令和3年7月19日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として特例承認されました。
今後、製造販売業者 (「中外製薬株式会社」をいう。以下同じ。) から本剤が供給され次第、国内での使用が可能となりますが、製造販売業者が公表しているとおり、全世界向けの総供給量は限られており、日本への流通量も限られたものとなります。このため、当面の間、製造販売業者から厚生労働省が提供を受け、本剤を配分することとします。
つきまして、本剤の配分及び使用について下記の下記のとおりお知らせしますので、御了知いただくとともに、貴管内の医療機関(病院・有床診療所)へ周知いただきますようお願いします。なお、質疑応答集を別添のとおり作成しておりますのでご参照ください。
記
1 本剤は、現状、安定的な供給が難しいことから、一般流通は行わず、厚生労働省が所有した上で、対象となる患者が発生した医療機関からの依頼に基づき、無償で譲渡することとしたものです。この趣旨を踏まえ、必要以上の配分依頼、在庫の確保、投与対象者以外への投与及び対象医療機関以外での使用は控えていただくようお願いします。
(以下略)
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この文書が何を言っているかというと,要するに現状では実際の治療に使用できるほどの量がないということだ.
製造者は米国のリジェネロン社であり,中外製薬が日本国内の販売を行う.
誰に使うかと言うと,厚労省が指定した医療機関からの要請を前提として,厚労相が (実際には首相が) 決定するのだ.
この抗体カクテルは,あのトランプ前大統領が感染した時に使用された.
つまり,絶対に重症化させてはならない上級国民のみが,その点滴を受けられるのである.
トランプ大統領の「お友達 (inner circle)」のジュリアーニ元ニューヨーク市長も,リジェネロン社の抗体カクテル療法で回復・退院したと米国では報道されている.それは結構なことだが,日本でも既に報道されているように,退院後にジュリアーニ氏は「抗体カクテル療法を受けられるのはセレブの特権だ」と述べた.
米国でこれまでに抗体カクテルを投与されたのはトランプ,ジュリアーニとあと一人の三人であると推定されている.[出典] "Trump and Friends Got Coronavirus Care Many Others Couldn't" Stolberg SG. New York Times 2020-12-09 9:36 pm ET updated.
日本でも事情は同じだ.
我が国の軽症感染者で抗体カクテル投与を受けられるのは,私の推定するところ,菅,二階,安倍,麻生の inner circle だけではないか.
それくらいの量しかないことは,厚労官僚が爆暗愚宰相菅義偉に念を押しているはずだが,目の虚ろな我が国のトップは何も聞いちゃいないのである.
感染から回復したトランプが「みんなもこの薬を打てば大丈夫だ!コロナなんかこわくない!」と大統領選の集会で演説した.
セレブの対極にある貧しく愚かな共和党支持者たちは,これを聞いて大歓声をあげた.テレビでこの様子を観た私は,これは米国の暗部だと思った.
さて抗体カクテル療法が,現時点では画餅にすぎないことは,国会の閉会中審査で野党が追及するだろうが,目の虚ろな暗愚首相は,頓珍漢な答弁で乗り切るに違いない.
ところで,昨年のことだ.
大谷クリニックの大谷院長が,医療機関で必要なR95マスクが在庫払底してしまっている,アベノマスクどころではない,とテレビで発言したあと,首相を「がーすー」と呼んで崇める幼稚な子供たちにネットで攻撃にさらされ,クリニックの運営にも差し支える事態となった.
あの「がーすー」ファンたちは,まだ一定数いると思われ,この連中が倉持先生の攻撃に立ち上がらぬか,それが心配だ.
[追記]
重症者のみを入院治療の対象とするというのが,やはりただの思い付きにすぎなかったことが,翌日にもう明らかとなってしまった.
時事通信《「自宅療養」方針見直しに言及=公明議員は撤回要求―田村厚労相》[掲載日 2021年8月4日 11:21] から引用する.
《田村憲久厚生労働相は4日の衆院厚生労働委員会で、新型コロナウイルス感染者のうち重症化リスクの低い中等症以下の患者は基本的に自宅療養とする方針を見直す可能性に言及した。「病床確保のための対応であることを理解してほしい」と強調した上で「もしそうならなければ方針をまた元へ戻し、しっかりと(中等症患者も病院に)入ってもらえばいい」と述べた。立憲民主党の長妻昭副代表への答弁。》
メディアが伝えた世論の激しい反発によって,政府は既に死に体である.
方針撤回は不可避だろう.
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