不名誉を意に介さぬ大統領
読売新聞《バイデン氏、安全退避に向け国際連携強調…タリバンに圧力へ》[掲載日 2021年8月31日 07:34] から引用する.
《米国のバイデン大統領は30日、アフガニスタン駐留米軍の撤収完了を受けて声明を発表し、アフガンに取り残された米国人やアフガン人協力者の安全な退避に向け、引き続き国際社会と連携してイスラム主義勢力タリバンに圧力をかけていく考えを示した。》
この読売の記事にある《タリバンに圧力をかけていく》の一つは,国連安保理決議だ.(NHK NEWS WEB《国連安保理 タリバンに国外退避者の安全保証求める決議採択》[掲載日 2021年8月31日 11:44] から下に一部引用する)
《アメリカ軍が撤退したアフガニスタンをめぐり、国連の安全保障理事会は、現地で実権を握った武装勢力タリバンに対して、国外への退避を希望する人たちの安全を保証するよう求める決議を賛成多数で採択しました。
一方、中国とロシアは、アメリカ軍の撤退が混乱を招いたと改めて批判し、決議の内容に不満を示して棄権しました。》
しかし案の定,人間の基本的権利を認めないロシアと中国が,その「圧力」に対する反対に回った.
特にロシアは,タリバン政権が必要とする優秀な国民は国外退避を認めないと言う,全体主義独裁国家丸出しな主張を行った.
また中国も,敵国アメリカに塩を送るはずがない.
そもそも,アフガニスタンにいる自国民すら見捨てて敗走したバイデン大統領が安全地帯から何を言おうと,そもそもタリバンが聞く耳を持つはずがない.
この事態に関して,多くのメディアが,かつてのベトナム戦争の最終段階であるサイゴン陥落になぞらえて論評している.
しかしサイゴン陥落においては,米軍撤退と同時に米国人の南ベトナム国外退避作戦 (フリークエント・ウィンド作戦) が実行されたが,今回はまるで引っ越しのように,逃げられる軍人だけがさっさと逃げたという印象を与える.
国際政治の専門家は,この米国の敗走は同盟国との関係に悪影響を与えないと言うが,政府レベルではそうであっても,国民レベルではそううまくはいかないのではないか.
仲間を見捨てても平気という,アメリカ人の新しい不名誉なイメージを作ったバイデン大統領に,好感を持つ日本人は少ないだろう.
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