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2021年6月 3日 (木)

事は人命に関わる

 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が各地で行われているが,連日,取り扱い方法の誤りにより廃棄を余儀なくされたという報道が続いている.
 人間の行動には誤りが避けられない.
 だがしかし産業界では,なんとかして偶発的な,不可避な事故以外の品質不良を回避すべく努力が行われてきた.
 それでは,不可避な事故はいったいどれくらい発生するのか.
 経験則として私たちは,事故率を1ppm以下に抑え込めれば,ほぼ満足すべき水準であるということを知っている.
 例えば,高度な品質が要求される製品を100万個製造する工程があるとして,その工程で発生する不良品が1個以上である場合,その工程の品質管理は不十分なのである.
 この許容限度は,製品によって異なる.
 自動車部品のように人命に関わる製品の場合は,高度な品質が要求されるが,食品のようなものの場合は,実用的には5ppmならなんとか許容できる範囲であるとされている.
 実際に,私が会社員時代に仕事をしていた食品業界では,消費者クレーム発生率が10ppmを越えたら取引停止が常識だった.
 
 今回のワクチン接種について言えば,取り扱いの事故が人命に繋がりかねないわけだから,もちろん事故発生は接種100万回につき1回以下に抑えることが妥当だと考えられる.
 しかし現実は,連日の事故発生報道である.
 しかも,そのミスのレベルが低すぎる.
 もしかすると,ワクチン接種に関与している自治体職員や薬剤師や看護師等は,現在接種に用いられているワクチンがどのような性質のものなのか (なぜ極低温での保存が必要なのか,など) を知らないのではなかろうかと疑われる.
 このことについて政府厚労省は,徒に「接種の加速」を号令するのではなく,国民が「安全安心なワクチン接種」を受けられるよう,ここで一度腰を落として,ワクチンの取り扱い方法についての教育,知識の周知徹底に取り組む必要があるだろう.
 このままでは,新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に反対する勢力の声が大きくなる可能性が高い.
 
[追記] なぜファイザー製ワクチンのようなmRNAワクチンは極低温で保管せねばならないか.それはmRNAが著しく不安定な物質だからに他ならない.このことについて,看護師と薬剤師に対しては,厚労省が詳細な文書を作成して通知することで済ませることは可能としても,自治体職員には二時間程度の取り扱い講習が必要ではないかと私は考える.

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