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2021年6月19日 (土)

言わんでもいいことなのに /工事中

 たまたまMSNを眺めていたら次の記事を見つけて,私は驚いた.
 管理栄養士の平井千里 (プロフィル) というかたが AllAbout《ギネス認定の低カロリー野菜、きゅうりは「ビタミンCを壊し健康に悪い」って本当?》[掲載日 2021/06/16 20:35] に書いた記事である.そこには次の記述があった.
 
「きゅうりはビタミンCを壊して健康に悪い」という説はウソ
 たまに「きゅうりはビタミンCを壊して健康に悪いというのは本当ですか?」という人がいますが、解答を先に書いておきますとこれは「誤り」です。
 ビタミンCには「還元型」と「酸化型」の2つがあります。以前は、このうち「還元型」だけがビタミンCとしての活性を持っているため、「酸化型」になると活性を持たなくなると思われていた時期がありました。この頃、酸化型になってしまうことを“壊れた”と称していました。
 きゅうりには、還元型ビタミンCを酸化型に変える「アスコルビン酸酸化酵素」が含まれているため、きゅうりは栄養を摂れるどころか、ビタミンCを破壊する悪いヤツだとウワサされてしまったのです。
 しかし、本当は「還元型」と「酸化型」は可逆的。つまり、一旦、変化してもまた元へ戻ることができるため、「アスコルビン酸還元酵素」で「酸化型」になってもビタミンCとしての効果は変わりません。よって、「きゅうりがビタミンCを壊す」ことはありません。安心して召し上がってください。》(引用中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
 
 予め断っておくと,平井先生が書いていることが間違っているという話ではない.小見出しの《「きゅうりはビタミンCを壊して健康に悪い」という説はウソ》は正しい.
 だがそこで私が驚いたのは,文字着色箇所の《以前は》である.
 平井先生は私よりもかなりお若いかたであるとお見受けする.
 余談だが,平井先生の経歴を記した資料はいくつもあるのだが,生年はもちろん経歴からも年齢がわからないように記述されている.これは女性研究者のプロフィルに普通にあるのだが,よくないことだ.女優のごとき人気商売ならともかく,科学者が自分の正確な研究歴を明らかにしないでどうすると思う.
 で,まず間違いなく平井先生は《以前は、このうち「還元型」だけがビタミンCとしての活性を持っているため、「酸化型」になると活性を持たなくなると思われていた時期がありました》という記述を,リアルタイムではその時期を知らずに,伝聞に基づいて書いている.
 なぜかというと,私が学生時代には既に,ビタミンCの「酸化型」すなわちデヒドロアスコルビン酸は生体における酵素反応によって容易に「還元型」すなわちアスコルビン酸に変換されることが知られていた (科学的常識だった) からである.
 だから,どういう理由で平井先生がそんな大昔の話を蒸し返して書いているのかが大いに疑問なのである.
 資料をいくつか挙げる.
 下に《アスコルビン酸とデヒドロアスコルビン酸の人体における代謝の比較》(辻村卓ら,ビタミン45巻3号,1972,136-147》の,冒頭の緒言部分を画像で示す.(画像中の赤い下線は私が挿入した)
 
20210619b
 
 この引用文中で,AsA はアスコルビン酸,DASA はデヒドロアスコルビン酸の略である.
 さてこの論文末に記されている参照文献で《DAsA は in vitro では不安定でこわれやすいが組織内ではそう不安定ではない (還元されるため)》の根拠とされているのは“Kagawa, Y. ,Takiguchi, H. t : Biochem.Biophys.Acta 51, 413 (1961) である.
 次の《肝,小腸粘膜などに加えた DAsA は容易に AsA に還元される》では
11),13)
 
《正常組織には DAsA 型はほとんどなく大部分は AsA 型である》
14)・15)

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