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2021年6月15日 (火)

戦わないやつらが笑うだろう

 このところ,新型コロナウイルス感染症のワクチンに対するアンチの論調が現れている.
 例えば昨日アップされた女性セブン2021年6月24日号《ワクチン否定派の声「打ちたくない人はいないはずという風潮が怖い」》[掲載日 2021年6月14日 16:05] はその一つ.
 
新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんも、ワクチンには懐疑的だ。自身は打たない決断をし、辞職する覚悟で、職場に意思を伝えたと明かす。
「私の場合は運よく経営者に理解があって、意思を受け入れてもらえました。でも医療現場では、同じようにはいかずに退職せざるを得なかったスタッフも珍しくない。特に若い人は免疫が活発であるため、ワクチンを打つことで発熱などの強い副反応が起こりやすい。あまりのつらさに『もう二度と受けたくない』という声も耳にします」(岡田さん)
 
 この岡田という元大学教授の医師は,《という声も耳にします》という伝聞に基づいて自分の行動を選択した.
 医師ならmRNAワクチンについての論文を読めるはず.(読めないなら論外だが)
 その論文を自分の学問的力量によって評価し,その結果としてワクチン接種を忌避するのであればそれは妥当な態度である.
 しかし岡田医師は,mRNAワクチンの副反応として軽微なものである「発熱など」に恐れをなしたのである.とても医師とは思えぬ.
 そんなものは既に諸外国からの報告にもあるように,解熱剤で対処できる.それもクラシックなアセトアミノフェン系解熱剤が有効だ.
 すなわち今回のファイザー社製等のmRNAワクチンで発生する反応のうち,接種を避けるべきはアレルギー性ショックの可能性がある場合のみである.
 もちろん厚労省が公式サイトに記しているように,治験では明らかにならなかった未知の副反応の存在は否定できない.しかしそれを怖れていたのでは人類は感染症との戦いに勝てない.
 そんなこともわからぬ程度の知力と理解力で,よく今まで大学で教鞭を執ってきたものだと呆れて声もない.
 現在の職を辞さなかったそうだが,ぜひ国民としては辞職していただきたいものだ.
 
 岡田医師や私たち高齢者にとって,このワクチンの接種は,人類のお役に立てる絶好のチャンスだ.
 アナフィラキシー・ショックの可能性がほとんどない人に限っての場合だが,発熱だろうが筋肉痛だろうが「いざ良き敵ござんなれ」である.
 私自身は一回目の接種をした日の晩から,倦怠感と左上腕の痛みを覚えた.痛みは,腕が肩より上に上げられないくらいで,上腕が少し腫れた.
 しかし丸二日後には回復した.そして左腕を上に上げて私はガッツポーズをした.
 岡田医師に,この程度のわずかな勇気の持ち合わせもないのであれば,どうぞ医療の世界から退場して欲しいと思うのである.
 
 東京都のどこかの医療機関で,高齢者への集団接種を始める前に,医師や看護師たちが自らの接種を受ける様子を,テレビの報道で観た.この接種会場でテレビ局のインタビューを受けたある看護師が「コロナの患者さんのために私ができることは,すべてやります」と語っていた.
 航空会社の客室乗務員たちが職域ワクチン接種を受け始めている.彼女らは取材に対して「私たちがワクチンを接種することで,少しでもお客様の安全が図られるようになればと思います」と語っていた.
 この方々が接種を受けたファイザー社製等のmRNAワクチンは,数万人規模の治験が行われたのちに実用規模の接種が開始された.
 治験に参加した人々は,自分がmRNAワクチン実用化のための人柱になるかも知れないのに,敢えて治験に加わったのである.
 しかし岡田医師は,理由もなくワクチン接種を忌避することによって,彼ら治験参加者の善意を足で踏みにじったのだ.
 また治験は数万人規模ではあるが,全世界規模であるパンデミックに対する人類の戦いとしては,ささやかな予備実験といっていい.
 すなわち今,世界中で進行しているmRNAワクチンの接種は,人類が未経験のワクチンを用いた壮大な実験なのである.
 この実験において,世界中の諸国民の諸階層の人々が,例えば看護師が,例えば航空機の客室乗務員が,それぞれの職業倫理に基づいてパンデミックに立ち向かっている.
 だが,本来であればこのパンデミックに対し先頭に立って戦うべき医師と言う職業にありながら,怯懦にも戦線から離脱した者たちがいる.
 岡田医師はその一人だ.
 いつの世にも戦うべき時に戦わぬ者たちはいる.
 エッセンシャル・ワーカーとは,自分の職業倫理に則り,社会の危機に立ち向かう人々である.
 ワクチンは完全な感染防止力ではないから,接種しても感染リスクはゼロではない.そのために彼らがもし倒れたら,戦わぬ者たちは笑うだろう.「だからワクチンは信用できないと私は言ったのだ」と.
 だが信用できぬのは,戦うべき職業倫理的義務を負いながら戦わぬ彼らである.ワクチン接種を忌避する正当な理由がないのに,接種を受けるべき立場にありながら接種を拒否する者たちのことである.私たちは,彼らの名を覚えておこう.
 
[追記1]
 上のことは,ファイザー社製のmRNAワクチンについて書いている.血栓が生じる可能性のある他社製ワクチンは別に考える必要がある.
 
[追記2]
 メディアの報道にも,陰謀論的反ワクチンの論調が忍び込んでいる.
 接種会場での緊張のために「接種後に気分が悪くなった」人を取り上げて,副反応だとしたメディアがある.緊張が解けて元気になったその人について,これを「副反応が疑われる」とするのは悪意に基づく報道だと断じてよい.(東海テレビ《経過観察中に気分悪化し吐き気等訴える…副反応の疑いで緊急搬送 集団接種会場でワクチン接種した女性》[掲載日 2021年6月14日 20:52])

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