醜い仲間割れ
テレビ朝日系列《テレメンタリー2021「民意偽造~軽んじられた“名前”~」》[放送日 2021年6月13日 5:20~5:50]》を観た.
番組紹介ページには冒頭に次のようにある.
《愛知県知事のリコール運動で、事務局長らが署名を偽造した疑いで逮捕された。43万筆の署名のうち8割以上が「無効」と判断。事務局長に密着取材、署名偽造の真相に迫る。》
上の引用箇所には《署名偽造の真相に迫る》とあるが,残念ながら全く真相に迫っていなかった.
愛知県の大村知事の解職を求める運動を主導したのは河村たかし名古屋市長と高須クリニックの高須克弥院長の二人であるが,署名偽造を直接指揮したのは運動事務局長の田中孝博 (地方自治法違反容疑で既に逮捕) である.
番組《民意偽造~軽んじられた“名前”~》は,警察の捜査が田中事務局長の身に及び,田中がホテルを転々と渡り歩いて逃亡する状況の中で,記者がいわゆる密着取材をした.記者は,逃亡の車中では運転する田中の助手席に座り,伊豆のホテルで逮捕された時には田中と同じ部屋にいた.
しかしこの記者は,田中から何の証言も引き出せなかった.これでは記者は,取材能力を疑われても仕方ないだろう.
せっかく密着取材なのにもったいない.視聴者としては強い不満を持たざるを得ない.
事件が発覚した当初,高須院長は河村市長に利用されたかのような発言をした.しかし高須院長の秘書が,「署名偽造に関与」どころか,偽造行為そのものを行っていたことが明らかになって,あたかも被害者であるかのように装った化けの皮がはがれた.
河村市長は,田中事務局長に騙されたかのような発言をしたが,田中事務局長は,河村市長が黒幕であると示唆している.
「悪事の行きつくところは仲間割れ」というわかりやすい展開だ.
田中が署名偽造行為に使った費用,一千五百万円の出所が不明で問題となっている.
多額の闇資金をポンと出せる富裕な人物はいったい誰か.
そのような視点の追及がないのでは,《民意偽造~軽んじられた“名前”~》は調査報道として非常に低レベルであり,がっかりした.
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