« 事実を明らかにしたくない政府 | トップページ | ダメなコンニャク »

2021年4月11日 (日)

柴漬食べたい

 先日,藤沢駅北口のスーパー「ダイエー藤沢店」で食料品を漁っている時に,漬物コーナーにあった「しば漬」の小さな透明パックをカゴに放り込んだ.パックの表面には《国産 胡瓜使用 しば漬》である.
 
 私のような高齢者は,十年近く前に孤独死した山口美江さんを覚えているだろう.
 フジッコのテレビCМで「しば漬け食べたい」と言って評判となった美女である.
 美女はともかく,この頃の柴漬は,キュウリとナスを漬けたものだった.
 フジッコのテレビCМでも,不鮮明だが,山口美江さんが箸を伸ばした小皿の上の柴漬には,ナスが入っていたことがわかる.
 ところが,これがいつの間にか変わってしまったという話をする.
 
 Wikipedia【柴漬】に以下の記述がある.
 
柴漬
 本来の柴漬は、茄子を主体に、青唐辛子、胡瓜、紫蘇などを塩に漬け乳酸発酵させた漬物をいう(分類上は塩漬)。京都の伝統的な漬物である。
「紫葉漬け」であり「紫葉」とは赤紫蘇のことである。京郊外の大原は赤紫蘇が名産であった。平家滅亡後に大原に隠棲した建礼門院(平徳子)が、寂光院に隠棲した際に里人の差し入れた漬物を気に入った。そこから紫葉の漬物=「紫葉漬け」と名付けたという伝承がある。
 
 しば漬風調味酢漬
 一般に「柴漬」として流通しているものの多くは、塩蔵キュウリを主体として、茄子、生姜、紫蘇の葉、茗荷などとともに漬けた調味漬(しば漬風調味酢漬)をいう。巻き寿司に用いる芯のための業務用の製品もある。
 
 私は若い頃,四季折々に暇ができると京都に脚を運んだ.
 その当時の京都は,カメラを持って執拗に舞子さんを追いかけるパパラッチ外国人は一人もおらず,また道端で小便をする中国人観光客もいなかった.いい時代だった.
 若い人は知らぬだろうが,昭和四十年のヒット曲に「女ひとり」があった.(YouTube《デュークエイセス 女ひとり》)
 この歌の歌詞の一番は「京都大原三千院」で始まる.
 私は京都市内の名刹よりも三千院が好きだった.
 そして大原からの帰りには,柴漬を買って帰ることが多かった.柴漬は昔から大原の名産品だったからである.
 
 Wikipedia【柴漬】にあるように,伝統的には柴漬に使う野菜はナスだったのに,これをキュウリ主体にしてしまったのは,たぶんフジッコ等の大手食品企業だが,それでもまだフジッコの「しば漬け」は良心的だったかも知れない.
 冒頭に書いた,ダイエー藤沢店で買った「しば漬」を,帰宅してから子細に調べてみた.
 すると,内容量七十グラムの「しば漬」はほとんどキュウリであり,ナスはたった二切れだった.Wikipediaの記述の通り,柴漬は今やキュウリの漬物に変わってしまったのである.ついでに書くと,ショウガとミョウガは見当たらなかった.
 この商品の裏面表示を下に転載する.
 
名称:しょうゆ漬け (刻み)
 原材料名:きゅうり、茄子、生姜、みょうが、しそ、漬け原材料 [食塩、醸造酢、蛋白加水分解物、しょうゆ]/調味料 (アミノ酸等)、酸味料、保存料 (ソルビン酸K)、着色料 (赤106、赤102)、(一部に小麦、大豆を含む)
 原産地名:国産 (きゅうり)、中国 (茄子、生姜、みょうが、しそ)
 内容量:70g
 
 販売者は株式会社四季彩工房 (長野県千曲市),製造所は株式会社アイエヌフーズ (長野県千曲市) である.
「調味料 (アミノ酸等)」「酸味料」「保存料 (ソルビン酸K)」「着色料」と,消費者に嫌われる食品添加物が勢揃いしていて,漬物としては最底辺の商品であることがわかる.酸味料と保存料を使用していながら,パッケージに記載された賞味期限は 2021.4.27 であり,買った時既にギリギリとなっている.ダイエーは一体いつからこの漬物を棚に陳列していたのだろうか.w
 
 もはや昔ながらの柴漬はなくなってしまったのだろうか.
 そう思って調べてみたら,京都大原には今でも昔ながらの柴漬を作る業者がいて,通販をしていることがわかった.
 商品説明には,原材料の野菜はナスが主で,かつて私たちが親しんだ伝統製法による京漬物であると書かれている.
 しかも特に高価というほどの価格ではない.(通販だから相応の送料が必要なのは致し方ない)
 うれしく思って,刻んでないものと刻んだものと,二つを注文した.
 ああ,柴漬食べたい.そう口に出して言ってみた.届くのが楽しみである.
 
[追記/大失敗のこと]
 買ってしまった最低の長野県産「しば漬」の使い途を考えたのだが,これを入れた飯を炊いて炊き込み御飯を作ってみた.
 使ったのは,米二合に対して「しば漬」を四十グラム,白醤油を大さじ一杯,スティック包装の粉末昆布出汁を一袋である.
 炊いてみたら,炊飯器から嫌なにおいの水蒸気が出て,台所に充満した.
 これは酸味料の匂いだろうか.換気扇を回す必要があった.
 炊き上がった飯は,真っ赤であった.さすが「赤106」「赤102」は強力だ.もしもピンク色の飯を炊こうと思うなら,長野県産最底辺「しば漬」を米二合にほんのちょっと (五グラムくらい) でいいはずである.

|

« 事実を明らかにしたくない政府 | トップページ | ダメなコンニャク »

外食放浪記」カテゴリの記事