連載・お箸の国の人なのに (令和三年新春)
NHK教育《京都板前割烹 直伝・おせちの極意》は,桑子真帆アナウンサーが,京都の有名料理店である浜作の三代目主人に,おせち料理を習うという趣旨.
浜作の御主人は,店で料理の腕をふるうだけでなく,料理教室も開いているという.
その教室には全国から富裕階級の奥様方が集まる.
下の画像は,その奥様方である.
カウンター席にズラリと並んだ奥様方だが,全員揃いも揃って箸の持ち方が幼児である.
浜作の御主人は,日本料理について蘊蓄を傾けるのもよいが,箸の持ち方を教えてやってくれないか.
目の前に,箸ひとつまともに持てない無教育な連中が並んでいるのを見て,料理人として悲しくはないのだろうか.
話は横に逸れるが,桑田佳祐が坂本冬美に請われて作詞作曲した新曲「ブッダのように私は死んだ」を桑田佳祐は「歌謡サスペンス劇場」と言っている.その歌詞には,男を愛した女が,男の箸の持ち方を許さなかったために仲に亀裂が入り,女は殺されてしまうというストーリーが描かれている.上の画像は逆のケースだが,夫が妻の箸の持ち方を(以下省略)
次はやはりNHKの《にっぽん雑煮ジャーニー!》から.
番組の最初に登場したのは,海老名香葉子さんだ.若い人は御存知ないと思うので,Wikipedia【海老名香葉子】から下に一部を引用する.
《かつては上記の戦争体験やその家庭的な雰囲気からコメンテーターとしてワイドショー等に出演することが多かったが、別のバラエティー番組で長男である正蔵の箸の持ち方を指摘されて以来その教育方針を問われ、ワイドショーへの出演は控えている状態である。》
若い頃の林家正蔵 (当時は林家こぶ平) が箸をきちんと持てなかったのは有名だが,それは香葉子さんが教えなかったからである.
なぜ教えなかったかというと,香葉子さん自身が箸を正しく持てないからである.
それは,東京大空襲で家族をすべて失い,親戚をたらい回しにされるという生い立ちによる.
それはまことに同情に値することだが,しかしその後,いくらでも箸の持ち方を覚える機会はあったはずで,そのことを世間に非難されたのであった.
Wikipediaにはテレビへの出演を控えているとあるように,このNHKの番組が久方ぶりである.
上の赤い矢印 (←) を見ると,親指の先が人差し指と離れてしまっている.
その結果,下の赤い矢印 (←) のように箸の先が盛大に食い違ってしまっている.正しい持ち方では,二本の箸は一つの平面上にあるのだが,これでは,空間幾何学でいうところの「ねじれの位置」(*註;高校数学の幾何学で習う知識) にある.「イスカの嘴」状態だ.
この箸の持ち方では,箸の先が離れてしまっているので,餅のように大きなものしか挟んで持つことができない.
必然的に,椀の中の小さな食べ物は何でもかんでも椀に口をつけて箸で流し込み,見苦しく食べることになる.また,蕎麦をたぐることができない.皿の焼魚をきれいに食べることができない.鰻重は飯粒が汁ではらりと崩れているから食べることができない.(→ 鰻屋で,重箱に口をつけて飯粒を掻き込んで食っているやつを見かけることがある.箸が持てないやつは鰻重を食うなと言いたい)
里芋をつかめないので,幼児のように刺し箸をする.煮豆をつまめないので幼児のように匙で食う.etc. etc.
しかし正蔵は,今ではきちんと箸を持つ.「テレビのグルメ番組に出ているくせに箸を持てないとは,噺家としてどうなんだ」「こぶ平の仕方噺はインチキだ」という,噺家としての姿勢を問われて努力したに違いない.
その正蔵の一件を蒸し返されぬために,香葉子さんには箸をつかう場面のある番組に出て頂きたくない.といいつつ私が正蔵のことを蒸し返しているが.ヾ(--;)オイオイ
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